2-04 エルフ少女との出逢い③
驚いて先ほど倒した魔物を見ると、たしかに倒した魔物たちは消えており、倒れていたとおぼしき場所に魔物たちが使っていた武器や防具が散らばっており、その間に小さな赤い魔石があちこち落ちていた。
(魔物は生まれてから魔力を吸収して育ち、それによって魔物の力の源泉でもある魔石も成長していくのよ)
「はい、シーノさんがご説明した通りです。長生きした魔物ほど大きな魔石をもっています。強い魔物の魔石も大きいですし、魔物の種類によって魔石の色も形も違ってきます」
「へーえ、そうなの?で、この魔石、何かに利用できるの?」
「お店で買ってくれますよ。」
「えっ、買ってくれるのか?どれくらいの値段で?」
「これは下等な魔物の魔石ですけど、この世界では人族も獣族もエルフも共同で魔物退治に乗り出しているし、魔石は魔力を使う武具にも不可欠なので魔石次第でいい値段で買い取ってくれますよ」
“つまり、エンチャントに使えるってわけだな... まあ、異世界に来たら、魔物に魔石は当然の設定だけどな”と一人心でなっとくしているレオだった。
亡くなったエルフの仲間たちの埋葬の準備をしながら、レオとカイオとイザベルはたった今終わったばかりの戦闘について話していた。
イザベルによると、どうやら彼女が使っている弓は魔法の弓らしい。
戦闘になって、彼女が最初の一本の矢を弓につがえて魔族目がけて射った直後に、弓に別の矢がすでにつがえられていたという。
そして、30メートル以上離れた敵にも百発百中で当たったそうだ。矢入の矢はまったく減らず、次から次へと連射で百発百中命中させることができる。
道理で、あれほどの素早い早さで射れたはずだ。
カイオの槍も似たような能力があるという。
長さ2メートルあまりの槍は、獲物目がけて突き出すとテレスコピック釣竿みたいに数メートル飛び出すのだそうだ。相手は十分の間合いをとったつもりでいても、カイオの槍は伸びて不意を突いて敵を刺すことができる。これほど危険な槍はないだろう。
あの武器庫にある武具は、すべて多かれ少なかれ、そのような理解に苦しむ能力をもったものなのだろう…
アイミとギブの話によると、亡くなったのは
魔法士 タムル (エルフ族)
神衛士 オーノル (エルフ族)
トロール戦士 バボル(トロール族)
ドワーフ戦士 ゴメヌ(ドワーフ族)
の4人だったらしい。
トロール戦士は身体が3メートル半以上もあり、体重も300キロを超えるため、埋める穴を掘るのも、抱えて持っていって穴に横たえるのもたいへんだ― とみんなは思っていたようだが、何のことはない。レオの百倍力で軽々と運ぶことができた。
“そう言えば、戦いの最中は夢中になっていて気がつかなかったけど、この4キロはありそうな大剣の重さもまったく感じなかったのは、力が百倍になったからなのだな...”
レオは見る見る間に巨大なトロール戦士を埋める穴を掘った― これも1分とかからなかった。
それを見て、カイオもイザベルも目を丸くして驚いていた。
「レオさまの方が早いし、お仕事もていねいそうですから、ほかの戦士の穴もお願いしてよろしいでしょうか?」というアイミのお願いに乗っかって
「そうだな、その方が効率がよさそうだし、同じ規格で穴を掘った方が埋められる戦士たちも安心して休めるだろう」
などと、理屈に合わない理屈を言ってカイオもイザベルも腕を組んでレオの仕事を見ているだけとなった。
まあ、そういうわけで、なんとか4人を丁重に埋めると、その即製の墓の上に彼らが持っていた武器を置いた。
アイミは即製の墓の前にひざまずくと両手を前で組んで祈り始めた。
ギブも同じようにひざまずいて、頭と耳をたれている。
三人は二人の後ろで立ったままであるが頭をたれて神妙に祈りを聞いていた。
創造主さまに選ばれたあなたは
この世において 見事に その使命を はたしました
もし あなたが この世において 何らかの過ちを おかしていたとしても
その 過ちの 完全なゆるしを 創造の主は きっとあたえることでしょう
創造主さまが 永遠の栄光と 幸せの世界に 導かれませんことを
こうして厳かに、使命を果たして亡くなった戦士たちの埋葬が終わった。
フラガラッハの剣




