2-02 エルフ少女との出逢い①
実戦は初体験のレオとカイオ王子とイザベル。
敵は誰でしょうか?
そして悲鳴をあげたのは誰?
悲鳴が聞こえてきた方向へ森の中を枝葉を押しのけて走り続けたレオ。
突然、レオの視界が開けた。そこは森の中ではひかく的開いた場所だった。
十数メートルほど先に、一人の、夜目にも白いとわかる髪の少女がメイスを構えており、その前にかなり大きな犬が一匹彼女を守るようにいる。
敵の数は10人ほどで少女とその犬を囲んでいる。近くには倒れている者が数人見える。
カイオとイザベルが少し離れたところで戦っているのを横目でちらっと見る。
二人が相手をしている敵の数は14、5人ほどらしく、すでに数人の敵がカイオの槍とイザベルの矢で倒されたらしく倒れているのが木々の間から見えた。
シュッ、シュッ、シュッ!
見ているうちに、またたくまに3人の敵が矢に射られて叫んだり、胸に突き刺さった矢を握ったりしながら前のめりに倒れる。
(どんな連射弓を使っているんだよ!)
思わず心の中でツッコむレオ。
カイオもイザベルに負けじとすばやく間合いを詰めると、目にも止まらぬ速さで正面の敵の胸板を貫く。
その槍を抜いたと思うと、大きく振り回し槍の穂先に付いている三日月刃で斜め前の敵の首を切り払ったかと思うと、次の瞬間、もうひとりの敵の腹に深々と刺していた。
一瞬のうちに状況を見たレオは、小さく跳躍すると十数メートルとほどの距離をひとっ飛びし、少女と犬のそばに着地した。
「あ、だいじょうぶだよ、オレは味方。あそでで戦っているあいつらの仲間。君たちを助けに来た!」
一瞬身構えた少女と飛びかかりそうになった大きな犬に向かってレオは告げた。
“くーっ!カッコいいセリフ! こういうの一度言って見たかったんだ!”
「ギェ?」
「グギェ?」
「グゴッ?」
もうひとり現れた侵入者にとまどうような声を出す敵。
(こいつらは、正真正銘魔物だな)
そいつらは高さ150センチほどの、まるで中学生並みの高さだったが、横幅が広くがっしりした体格をしており、ロバのような長い耳、尖った鼻、それに赤い目をもっていた。
近くに倒れているのは、太った黒っぽいブチのまじった茶褐色の体毛、丸みをおびた耳と鋭いキバをもった犬に似たケモノだった。
魔物たちが手にしているのは三叉槍のような武器だ。
次の瞬間、レオは前に飛び出すと身体を捻りながらリーチを使って2メートル近い大剣を横払いしつつ半円形を一瞬で移動していた。
囲んでいた魔物たちは、何が起こったかもわからずに真っ二つに切られて、上半身と下半身が別々にドサっ、ドサっと地面に転がった。
レオの最初の一撃で7人の敵が切られ、ほぼ同時に後ろにいた敵3人には大きな犬が素早く飛びかかり、たちまち喉を噛み切って倒した。
この犬、かなり戦闘能力がありそうだ。
カイオたちの方を見ると、あちらも戦闘が終わったようだ。
驚いた表情の少女― あらためてよく見ると、両耳が細く上にでているではないか!
「えっ、エルフぅ?」
「あ… 助けていただいて、どうもありがとうございます」
レオの反応に少々戸惑いがちなエルフ少女だったが、礼儀正しく白い髪の頭を下げて礼をのべる。
ふたたび顔を上げたので、その顔をよく見るととてもかわいい。
白い髪と青い目。年のころは14、5といったところか。
胸は... 定説通り小さい。Aカップくらいか。
(かわいーい! 胸がもっと大きければ完全にオレ好みだったのだが…
こんなかわいいエルフ少女に逢えるなんてツイているぜ!)
レオはあまりの幸運にガッツポーズをとりそうになったが、奇妙に思われると思ってやめた。
(でも、なぜ、こんなかわいい少女が魔物のいる森にこんな大きな犬といるんだろう?)
そう思って、大きな犬を見ると、なんとその大きな犬が背を丸めて後足で立ち上がると、見る間に二本の腕、二本の足を変化して人間のような姿になった!
だが、その全身は灰色の毛で覆われており、耳はピンと立っている。
「こ、こ... これはオオカミ男?!」思わずどもってしまう。
「アイミさまを助けてくださり、ありがとうございます。オオカミ族のギブンテスと申します。」
180センチを超える長身で犬耳のオオカミ人は助けてもらった例を言うと自己紹介した。
「オレはレオン・オーコット。みんなレオって呼んでいる」
「あ、じゃあボクのこともギブって呼んでください」
「うん。いいよ。その方が呼びやすいしね。でも、そんなに敬語使わなくていいよ。オレまだ16歳だし」
「ボクは12歳ですので年下です…」
「ええっ、その体格で12歳!じゃあ、大人になればもっと大きくなるの?」
「ボクたちオオカミ族は成長が速いんです。なのでもうこれ以上背は伸びません。筋肉なんかはまだ増えますが」
「そうなんだ…」
「名を名乗るのが遅れました。申し訳ありません。私はアイミ・ キャロール・テフと申します。ご存知の通り、エルフ族です」
エルフ少女- アイミと名乗った- も丁寧に頭を下げ礼を言って名を名乗った。
(アイミっていうのか、このエルフは。それにしてもメチャかわいいな! ただ、胸が惜しい)
(あの...)
(なんだい、アイミさん?)
(先ほどから、“かわいい”“かわいい”と私のことを言ってくれていますけど... とても恥ずかしいんですが...)
(えっ、このエルフっ子、 オレが考えていることわかるの?)
...............
...............
...............
(... えええ――っ、ってことは、さっきからオレが考えていたことは全部筒抜けェ?!)
(はい... みんな聞こえました)
そう言ってエルフ少女は、なぜだか真っ赤になった。
そして、どういうわけか胸をかくすように前で手をクロスさせた!
当たり前だ?!
(ど、どういうことだ? どうしてこのかわいいエルフの女の子は、オレが考えていることまでわかるんだ?)
(あ、それは、あなたのお話している言葉が念話でも発せられているので、私やギブにもわかりますし、私たちの言葉もやはり念話でご理解されているのでしょう)
「おお、そうなのか!便利といえば便利だな、この念話というヤツは!」
アイミと名乗ったエルフの胸の大きさばかり考えていた- そしてそれがダダ洩れしていた- ことから話題をそらそうと必死なレオだった。
「あ、これは守護天使さまではないですか?」
すると、都合よく、頭上を回っているシーノを目ざとく見つけたアイミが訊いた。
「うん。これはオレの守護天使シーノ。よろしくね!」
「こちらこそよろしくおねがいします、シーノ様」
どこまでも礼儀正しいエルフ少女だった。
主人公はツイていますね。
異世界に到着早々、エルフの美少女を助けることができ、仲良くなりました!




