2-01 異世界初バトル
さあ、いよいよ異世界突入です。
そして初バトル!
どんなバトルがくり広げられるのでしょう?
ゲートをくぐって出たところは、先ほどの祭壇とまったく同じような祭壇で、やはり2メートルほどの幅の床があり、それから下へ向かって十段ほど階段があり、それから先は石の床がやはり50メートルの長さで広がっていた。
唯一の違いは天井がないことで、照明などまったくない聖堂の上には夜空いっぱいに星がきらめいていた。
いつの間にかシーノの光はふつうの大きさ― ホタルの光より少し大きいサイズに- なっており、どういうわけか、イザベルの肩に止まっていた。どうやらイザベルが気に入ったようだ。
イザベルも満更でもない顔をしている。
「ここは先ほどまでボクたちがいた地下の遺跡の聖堂とウリ二つのようだな… しかし、こちら側の魔方陣はなんだ? ずいぶんと傷ついているし、抉られたりしているようだけど…」
「まるで誰かがゲートを傷つけたみたい… それに、もう夜なの? 通り抜けるのにそんなに時間がかかったということなのかしら?」
(いえ、そうじゃないわ、イザベル)
(えっ、シーノちゃん?!話ができるようになったの? それにどうして、ここは夜なの?)
突然、シーノの念話が頭の中に聞こえてきて驚くイザベル。
(ボ、ボクもシーノちゃんの声が聞こえているよ!)とカイオ王子。
(この世界は魔力にあふれているから、素質のある者は魔力を使えるし、念話も使えるのよ)
((それは便利!))
ハモるイザベルとカイオ王子。
(ここが夜なのは、ミィテラの時間は私たちが来た世界の時間と違うからよ)
「ふーん。ここはミィテラっていう国なの?」
(いえ、この世界というか星の名前がミィテラというの)
「ああ、ちょうどボクたちの星がテラと呼ばれるようなものだな?」
(えっ、あの星はテラっていう名前なの?)
シーノにだけ聞こえるように聞くと
(そうよ)と答えた。
今、通って来たゲートが完全に閉じて黒い大理石にもどったのを確認しながらカイオが誰にともなく言う。
「同じように、こちらでもゲート通過の儀式が行われていたのだろうな...」
その時
「キャー!」
どこか近くで女の子の叫び声が聞こえた。
(みんな、急いで助けに行ってあげて!)
シーノが強い念話を使って指示を出す。
「よっしゃ、まかせとけ!」
「行くぞ!」
「もちろーん!」
めいめい、武器を手にもって叫び声のした方へ向かって走り出す。
叫び声が聞こえたのは、聖堂の前方だ。
カイオとイザベルはレオよりいち早く祭壇の前の階段を飛び降りると全速力で走り始めている。
一瞬遅れたレオは、同じように聖壇の前の階段を飛ぼうと、足を蹴って飛び出したが...
ピョ――――ン!
なんと、長さ50メートルはあろうかという聖堂の床を飛び超え、さらに30メートルほど先の森の中に飛び込んでしまった!
バサバサバサーっ ズン!
面食らったのはレオだった。
まるで人間大砲のように飛んだかと思うと森の中に落ちたのだから。
落ちる途中で木の枝に引っかかったらしく、服のあちこちが破れているが幸い傷らしいものはないし、どこも痛くない。剣もしっかり右手にもっている。
ただただ、びっくりしていた。
(レオ、注意して!この世界では、あなたは100倍力と100倍能力を使えるのよ!)
(って、そのアドバイス、遅すぎないか?!)
(何事も実体験で体得するのがベストなのよ!)
(そんなものか!)
「レオーっ!」
「オーイ!」
聖堂の方から、心配そうな声が聞こえる。
(オレはだいじょうぶだ。心配ないっ!)
(どうしたんだ、投石機で打ち出された石みたいに飛んで行って?!)
(ケガはないのー? いったい、何が起こったのよ?)
念話に切り替えて聞いてくる。二人とも超ビックリしている。それも当然か。
(いや、だからだいじょうぶだって。それよりも早く悲鳴の上がったところへ向かってくれ!オレのことはあとで説明する!)
(よし、ならいい。言われなくても、今、向かっているよ!)
(今、聖堂から出て森の中に入ったところよ!)
(よし、オレもそちらに向かっている!)
(レオ、叫び声が聞こえたのはこちらよ!)
シーノが前を飛んで先導する。
(よっしゃ~!)
バサバサバキバキッ!
枝葉をかきわけ、へし折り、シーノの道案内で戦闘の行われていると思われる場所に― 今度は恐る恐ると足を踏み出しながら― つまりダッシュ力をかげんしながら― 小走りで向かう。
ガッキーン!
ギェーっ!
ギギー!
ガオオォー!
どこかで戦闘が始まったらしく、金属がぶっつかる音と獣の叫ぶような声が聞こえて来た。
と、急に誰かが誰何する声が聞こえた。
「ギギー!何だお前たちは?!」
「グゴォー!こいつらの仲間か?」
「いっしょにやってしまえ、ギェーっ!」
「キエーッ!」
「ギャッ?!」
「アギェー?!」
どうやら、カイオとイザベルが戦闘を開始したようだ。
ふたたび獣のような叫び声が聞こえ始めた。
進む方向を修正し、レオはバサバサっと枝葉を押しのけて戦いが行われている場所を目指した。
初めての戦いなので心臓がバクバク高鳴っている。
大剣を握っている手も汗だらけだ。額からも汗が目に流れ込むのを敗れたシャツの袖で拭きながら進む。




