表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
DK世界に行ったら100倍がんばる!  作者: 独瓈夢
転生の章
13/526

1-13 グランデ城

イザベルにエルフの血が混じっている理由がわかりました。

そして、いよいよカイオ王子と会います。

 馬車はグランデの町に到着した。


「お父さまも町のどこかにいるはずなんだけど、別にお父さんに会いに来たわけじゃないからいいわ。ジョージさん、お城の前まで行ってちょうだい!」

「はい。かしこまりました、お嬢さま」

ジョージさんが手綱をもう一振りすると、馬車は石で舗装された町の大通りをまっすぐに走り始めた。

メーンストリートのかなたにはグランデ城の城壁と尖塔が見える。


 さすがグランデの町は城下町だけあってにぎやかだ。

大通りの両側にはずらっと3階建ての格調のある建物が並んでいる。

通りに面した一階部分は、さまざまな商店やレストランなどの店になっていて、二階、三階は住居みたいだ。馬車が行き来し、人通りは多く、さすがに国都にふさわしい活気を呈している。


 町に入ってから、レオはこれまでにも増してキョロキョロとあたりを見回してはじめた。

「どうしたの、レオ? レイナードの町がそれほどめずらしいの?いつも来ているのに?」

「いや、エルフや獣人がいないかなーっと思って。」

「えーっ!? やっぱり、今朝ベッドから落ちた時にアタマを打ったのは想像以上ににひどいみたいね…」

(レオ、エルフや獣人は、基本この世界にはいませんよ)

(えっ、そうなの? 残念だな! でも、待てよ…)

(……)

「あ、そうだった。エルフや獣人が人間と仲良く暮らしている夢をみたから、この町にももしかしたらいるんじゃないかなーっと思って…」

「いるわけないでしょ!」

即、否定された。


「でもさ…」

「なーに?」

「じゃあ、何でイザベルやマリー・フランソワおばさんにはエルフの血が流れていて、エルフの特徴の尖った耳の名残があるんだい?」

当然とも言える疑問を口にした。


「そのことについてはフェルナンドおじさんが詳しいんだけど、何でも神代の昔にエルフの世界とこの世界には交流があって、そのときにこちらに移り住んだエルフたちがいたんですって」

「えっ、そんなことが昔あったの?」

「そして、その時に人間と結ばれたエルフもいたらしくて、その人たちの子孫たちに、時たま先祖返りとして、耳が尖った子が生まれたりするんだってフェルナンドおじさんが言っていたわ。だから、私とお母さまにたまたまそういうのが現れたってことらしいの」


「ふーん。そうなんだ。でも、それなら町の中にもエルフの耳っぽいのをもった人が少しいてもおかしくないのにな...」

イザベルの説明を聞きながら、街を歩く人々の耳がふつうの人間と変わりないのを見て言う。

「ああ、それはね。エルフの血を強く受け継いでいる人たちは、ほとんど神職についているからよ」

「シンショク?」

「神殿で神に仕える人たちのこと。私のお母さまは結婚する前は巫女だったし、フェルナンドおじさんも大神官でしょう?」




 馬車は城門に入る跳ね橋の前で止まった。

城の周りは幅10メートルほどの堀で囲まれており、城に入るためには跳ね橋を渡らなければならない。

 平時なので跳ね橋は降ろされているが、一般人は許可がないと城内に入ることはできないし、馬車も同じだ。


「ジョージさん、たぶん1時間もあれば用事は終わるから、その頃に迎えに来てもらえるかしら?」

「かしこまりました。お嬢さま」

「さあ、カイオ王子に会いに行きましょう!」


 馬車が回れ左でもどっていくのを見送ったあとでイザベルは元気よく言うと、すたすたっと城門に向かって跳ね橋を渡り始めた。

 あわてて後を追うレオ。イザベルに追いつく前に予備知識としてカイオ王子についてシーノに聞いてみる。


(カイオ王子って、オレの友人らしいけど、どういう関係なんだ?)

(カイオ・イングラム・ゴッドスペッド、18歳。レイナード国王エンリケ5世の第三王妃の三男。気立てのいい王子だけど剣の腕はたしかだし、勇気もあるよ。レオとイザベルの幼馴染よ。小さいころからいつもいっしょに遊んでいたわ)


(そうか。助かるよ… って、オレ、王子様とおともだち?)

(そうよ。王子と言っても王位継承順位は8番目だし、レイナード王にはすでに後継と目されているしっかりした王子もいるし、カイオ王子の母親である王妃の教育方針もあって、小さいころから自由に庶民の子とかかわったり、遊んだりして育ったのよ)

(そうか。わが子を“ふつうの子どもと同じように育てる”という教育観をもったしっかりした親なんだな…)



 城門は開かれていたが、両脇に槍を手にもった衛兵が二人いる。

もちろん、ガチガチにプレートアーマーで武装しているわけではない。

あんなのはゲームの世界だけの設定だ。現実に30キロも40キロもあるオール金属製の鎧なんて日常に付けることなんてない。

 衛兵たちは、ユニフォームである青色の上衣と黒に上衣の青と同色のストライプが入ったズボンをきっちりと着て黒いケピ帽をかぶっている。結構スマートだ。


「おっ、今日も来たかレオ!」

レオはすっかり顔なじみらしい。

「今日はイザベルちゃんもいっしょなんだな。それにしてもますます美人になったね!」

「まったくだ!おうちにはイザベルちゃんへのプロポーズの申込みが絶えないだろう!」


イザベルも顔なじみらしく、衛兵たちは気安く話しかける。

「おはようございます!」

「おはようございます。あらあら、シルビオさんもカルロムさんも女性の褒め言葉がお上手ね?」

なんてあいさつしながら城門をくぐる。顔見知りなのでフリーパスのようだ。


 城門を通ると広い石畳の広場に出る。

三方を城の建物で囲まれた広場は閲兵式などに使われるほか、戦になって城門が突破された場合の第二の防衛線の役目もするように作られている。

 正面の建物の左右の端には5メートル幅ほどの通路があり、戦時には閉じられるように頑丈そうな鉄製の扉があるが今は開けられている。

 それぞれの建物には銃眼のようなものがいくつか開けられており、やはり頑丈な幅広い鉄製のドアがあり、その前には十段ほどの石段がある。正面の建物の鉄製のドアは両開きで幅3メートルほどだ。おそらく王様の居住区へと続くドアなのだろう。


イザベルは迷うことなく右側のドアへ向かい石段を上る。

あとにレオも続く。ドアに近づくとドアの脇の銃眼から衛兵の顔が覗き、すぐにドアが開けられた。


「やあ、イザベルちゃんにレオ。カイオ王子に会いに来たのかい?」

「はい。そうです。いますか?」

「たぶん中庭でレナート師範に剣の稽古をつけてもらっているはずだよ」

「ありがとうございます。じゃあ、中庭に行ってみます」


 建物の中に入り、左へ行ってそれから右へ曲がり、しばらく行くと明るくなり、中庭に沿った通路に出る。

 かなり広い中庭で、よく手入れされた花壇や芝生があり、噴水のある池もある、木陰をもたらす木々もあちこちに植えられており、庭の中央には石造りの東屋まである。

 左に中庭への出口が見える。東屋の向こうに砂利を敷き詰めたやや広い場所があり、そこで二人の人物が武術の稽古をしているのが見えた。


近づくに連れて

「エーイ!」

 カツーン!

「トーウ!」

カツーン!

「まだまだ。下がりすぎずに間合いをたもって!」

「はい。ヤーっ!」

打ち込みの練習をしているらしく、気合のこもった掛け声が聴こえてくる。



 東屋に入り、練習を見る。

 ブラウン色の髪をした少年が木製の剣を持って、顔中汗だらけにして懸命に相手に打ちかかっていた。この少年がたぶんカイオ王子だろう。

 その相手は黒い髪、中肉中背の落ち着いた感じの中年の剣士だった。

カイオは革製の半ヘルメット、胸当て、腕当て、脚当てをつけているが、剣士の方は薄そうな金属の胸当てをつけているだけだ。


「キエーッ!」

 ふたたび少年が上段から木剣を打ち下ろす。

「まだっ、甘い!」

 カツン!


 剣士は木剣で少年の剣を左に払うとそのまま少年の胴を鋭く打った。

流れるようなムダのない美しい動きだった。それでいてほとんどその場から動いていない。あれが間合いの極意というやつだろう。


「参りました!」

「うむ。上段からの打ち込みは受け止められやすいので、急襲やよほどの力の差がない限り成功しにくいという問題がある。上段からの斬撃が失敗した場合は、今のように相手が間合いを近くにとっていれば致命的な反撃を受ける可能性があるから十分気をつけるように…」

「はい。先生!」

「ご友人が来ているようだから今日の稽古はここまでだ」

「はい。ありがとうございます」

きちっとアタマを下げ礼をする王子。

レナート先生は静かに歩いて中庭から出ていった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ