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DK世界に行ったら100倍がんばる!  作者: 独瓈夢
転生の章
103/526

3-27 鬼人族国の大歓迎①

 約9時間の飛行ののち、レオたちは鬼人国の領土の上を飛んでいた。


 南ゾオル海(内海)を超え、西鬼海の沿岸にそって高々度を飛んでいたが、目的地に近づいたので三千メートルの高度にまで降りて飛び続けている。

ゾオル郊外の草原から飛び立ってすぐに守護天使シーノが現れると、やはりミユもフィラさんもビックリしたが、いつも通りの説明をするとなんとか理解してくれたようだった。


 アイミのくれたエルフの酔い止め薬のおかげで、女の子たちは誰も乗り物酔いしてない。

ただ、アールの高速急降下にはミユもフィラさんもかなり仰天したようで、ミユは何度もキャーキャー叫んでいた。

 フィラさんもかなり怖かっただろうが、目をつぶってしっかりホーンにつかまって耐えているようだった。そんなフィラさんの姿を見て、年上の女性の魅力を垣間(かいま)見る気がしたレオだった。



 女の子たちは、ホワイトドラゴンでの飛行にすっかり慣れたらしく、高高度の水平飛行中はイスのベルトを外してテントの中を行ったり来たりして ジャバリュー将軍が用意した食べものやジュースなどを食べたり飲んだりしていた。


 三千メートルの高度を巡航速度で飛んでいるのでテントの窓から地表の景色を見たりしておしゃべりをしている。レオもトリゴパンのサンドイッチを食べながら、注意深く窓から左側の陸地を見ている。

 彼の計算では、今は鬼人族国の時間で午後5時ころのはずだ。

鬼人国の首都ガジーマは沿岸から50キロほど内陸に入ったところにあるので通り過ぎないように注意しなければならない。


 まあ、レオの100倍視力をもってすれば、ガジーマほどの大きな町は見逃すわけはない。


「おっ、見えた!」

「えっ、見えた?」

「もう着いたの?」

「どこ、どこ?」


また女の子たちがガジーマの町を見ようと窓のところにやって来て、レオを押しのけて重なり合って- 重なっても窓はそれほど大きくないからよく見えないのだが- 見ようとする。


「どれ?どこ?」

「ちょっとー、ラン、私の髪!」

「あ、ランさん、私の耳!」


ランがモモとミユの頭に手をついて窓から見ているらしく、二人が苦情を言っている。

ランは見かけはおしとやかそうだが、かなりおてんばで押しが強い女の子のようだ。


「アール、左に大きな町があるのが見えるか?」

「ギューイ!」

「じゃあ、そっちめざして徐々に高度を下げて行ってくれ」

「ギュイ!」


「レオさま、ドラゴンとお話できるのですね?」

フィラさんが興味深そうに聞く。

「いえ、念話なんですけど、ついクセで声に出してしまうんですよ!」

「でも、その方がいっしょに飛んでいるほかの人にも何を指示しているかわかっていいじゃありませんか?」

「そういえばそうですね。」

そう答えてから、ランたちと窓から外を見ながら何やらしゃべっているミユを見てフィラさんに訊いた。

「そういえば、ミユちゃんの戦歴というか経歴とか全然聞いてないんですけど、どんな事をして来たんでしょうか?」

「ミユちゃんは、ほら、まだあの年ですし、ジャバリュー将軍さまも一人娘なので軍隊にはいるのは反対したんですけど、あの子、あれで少しきかん坊のところがありますので― まあ、ひとりっ子だから甘やかされて育ったというのもあるんでしょうけど― 14歳になったときに豹部隊に入りたいと言い出して、一週間もハンストしてから入隊の許しを将軍から得たのですよ。」


「えーっ、ハンスト一週間?!意地のある子だなー!」

「そこは父親似なんでしょうね...」

「で、ミユのお母さんはなんで亡くなったんですか?」

「あの子の母は人族だったんですよ...」

「ええっ、人族のお母さん?」

“道理でミユの顔はパパ似(豹顔)じゃないはずだ…”


「ジャバリュー将軍さまの部隊が『ウッソス』の戦いで敗北し、将軍も命にかかわるような大きなケガを負い、魔軍に囲まれて全滅すると思われた寸前に、人族連合軍のタケダ・ゲンシン将軍さまの軍勢が駆けつけ、助けられたのです。

そして、そのとき、重症を負ったジャバリュー少佐を献身的に看病したのがタケダ・ゲンシン様のご息女であったマリヒメさまで、寝食を忘れるほどの看病のおかげでジャバリュー少佐は一命をとりとめることができました。

その後、二人は相思相愛(そうしそうあい)の仲になり、タケダ・ゲンシン様のお許しをもらってご結婚され、ミューロィナも生まれたのですけど、母親のマリヒメさまは、ミューロィナが小さいときに魔軍の襲撃でなくなられたのです。」


「え... ミユちゃんのお母さんが魔軍に襲われて亡くなった... それはジャバリュー将軍にとってもミユちゃんにとって大へんだったでしょう...」

「幸い、私の家族はジャバリューさんのお隣だったので、マリヒメさんが亡くなられたあとで、しばらくミユちゃん面倒を見てあげたんですよ。」

「そうか。母親は人族なのか... それでミユは人族の顔をしているのですね。」

「マリヒメさまをお亡くしになりました時、ジャバリュー将軍さまは、それはたいへん嘆かれて、ゲンシン将軍さまが末娘のキクヒメを後妻にと言ってきたのですが、私の愛した女性はマリヒメただ一人だとおっしゃって(めと)られなかったのですよ...」

「ジャバリューさんは大王様とはまるで正反対ですね」

「まあ、人はそれぞれいろいろな愛し方がありますからね...」


「キュイ」

その時、アールが一声鳴いた。


「ちょっと窓から見せて」

レオが窓に近づいて外を見ると、高度はすでに500メートルほどまで下がっていた。アールは賢いからゾオルのときと同じように首都ガジーマの人家から遠く離れた草原か森を探してるのだろう。


 レオがふと、下の方を見たとき、砂ぼこりのようなものが見えた。

100倍視力でよく見てみると、数十騎の鬼人兵らしい者たちがホワイトドラゴンの進行方向目指して疾駆している。


なんだかイヤな予感がした... 



「あ、あれ見て、あれ見て!レオさま、あれ見える?あの馬に乗った人たち?」

ランが横の窓から見つけたのだろう、大声をあげた。

「えー、どこ、どこ?」とモモがランのところに行く。

「あ、本当!30人くらいいるんじゃない?」とモモ。

「きっと私たちを見つけて、歓迎するために駆けつけてくれているのよ!」

「でも... 槍とか剣とかふりかざしている。歓迎じゃないわ...」

楽天的なランの言葉に、モモが真剣な顔で眉をひそめて言った。


そうしている間にも高さは300メートルほどに下がって、馬に乗っている者たちの顔が小さく見えるようになった。

「全員、イスに座ってベルトをつけろ!」レオが強い口調で言う。

「えー、歓迎隊じゃないの... どうして?」

などとランがブツブツ言いながら自分のイスに座る。

ほかの者もみんな座ってベルトを締めた。


「シーノ、防御バリアーを用意しておいてくれ!」

下を見ながらレオがシーノにアラートを出す。

(もう発動しているわ)

シーノは手回しがいい。

いつ攻撃されてもアールが傷つかないようにバリアーを張ったのだ。


「おっ、射って来るぞ!」

下を走っている鬼人族の騎馬隊と思わしき者たちの中の何人かが、弓をかまえてホワイトドラゴン目がけて矢を射って来た。


第一射がとどくが、パサッパサッパサッパサッとバリアーのため弾き返される。


「アール、気にしないでくれ。シーノがちゃんと守ってくれているから!」

とホワイトドラゴンを安心させるための言葉をかける。

「ギュイ!」


すぐに第二射が射られるが、これもパサッパサッパサッパサッとすべて弾き返す。


「アール、ちょっと速度をあげて、ななめ右に見える川を渡ったところにある小山の向こう側に降りてくれっ!」

「ギュギュイ!」


アールがこころもち速度をあげ、高度も100メートルほどあげて右に見える川を目指して飛ぶ。

速度をあげたので騎馬隊は後ろにおいていかれる。

川を超えたところにある標高30メートルほどの小山を越すと、アールは急降下した。


「キャー!」とミユが叫び声をあげた。


次の瞬間、アールはぐっと体を少々上向きにし、翼を数回地表に打ちつけるように大きく羽ばたかせて着地した。



「よし、ランは瞬間移動で小山のてっぺんまで移動して、さっきの騎馬隊の動きを監視。モモはミユが降りるのを手伝って。フィラさんは...」

「私はひとりで降りられますのでだいじょうぶです」

「オーケー、じゃあ、モモはミユといっしょにこのテントを外すのを手伝って!」

「はい!」

「わかりました!」


ランはすっと消えた。




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