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第6話

そう言って連れてこられたのは、ヒーローの訓練施設だった。

時には兵器をも凌駕するような破壊力を発揮することのあるヒーロー。

そのヒーローが訓練をするために設計された施設なので、とても頑丈な作りとのことだった。

一般人は入ることのできない場所まで通された俺は、正直ワクワクしていた。


訓練施設の内部は、一言で言えば殺風景な場所だった。

壁、天井、床まで材質不明の白い大理石のようなもので出来ている。

何とも不思議な空間だ。


「ここは、屋内演習場だ。主にヒーローの訓練を目的とした場所だね」


白衣の男性は、そう説明してくれた。


「ほんとうは、能力測定はヒーロー候補生が集団で一斉にやるものなんだけど、君みたいな特例の場合は、面談者の裁量で詳細に調べることができる。じゃあ、さっそくだけど、君の能力測定を始めようか」


「はい。よろしくお願いします」


「うん。まずは、ステータスウィンドウを開いて、スキルの欄を見て欲しい。“タップして取得”という項目があると思う」


言われた通り、ステータスウィンドウを開く。


―――――――――――――――――――――

 名前:安地英雄(あんちひでお)

 ランク:5

 ヒーローネーム:『ヒーロー』

 エナジー:9500/10000

 スキルポイント:100

 汎用スキル:『ステータスウィンドウ』

 タップして取得

 固有スキル:なし

―――――――――――――――――――――


“タップして取得”、これか。


「ありますね」


「うん。それをタップしてみて」


タップすると、ステータスウィンドウの上にもう一つのウィンドウが表示された。

スキル名と思われるものがずらりと並んでいて、それらが線で繋がった木構造のようなグラフになっている。


『変身』、『攻撃マスタリー』、『防御マスタリー』、『身体強化』、……様々なスキルがある。


「なんか、スキル名がいっぱい表示されました」


「それは、スキルツリーというもので、すでに取得済みのスキルや、これから取得可能なスキルが表示されているものなんだ。一番上の方に、『変身』というスキルがあると思う。それを取得してみてくれ」


言われた通り『変身』をタップすると、ウィンドウにメッセージが表示された。


――――――――――――――――

 スキル『変身』を取得しますか?

 必要スキルポイント:1

    はい   いいえ

――――――――――――――――


『はい』を押してみる。

その瞬間、このスキルの情報が脳内に流れ込んできた。


スキル『変身』。

ヒーローとしての基本スキルで、ヒーローの真の力を解放するスキル。

ヒーローエナジーを使いこなすには必須のスキルだ。


「……取得しました」


「よし、簡単だっただろ? 使い方もすでに理解していると思う。『変身』、使ってもらえるかな?」


「はい」


……少し、緊張していた。

初めてスキルを使うのだから。


「……いきます。……『変身』ッ!」


自分の中にあったヒーローエナジーが、体の芯から全身へ巡る。

それは、一瞬にして終わった。


(……できた、のか?)


自身の体へと視線を巡らせる。


(……!! これは……!!)


俺の体は驚くべき変化を遂げていた。

体を覆う、純白に黄金のラインが走った戦闘服(ヒーロースーツ)


俺が変身した姿は、俺の憧れのヒーローの姿に何故だかとてもよく似ていた。


「その姿は……!」


白衣の男性は、驚愕に目を見開いていた。


「なぜ、君がその姿をしている……? ありえない……!」


たしかに、ありえない。

俺だってそう思った。


だって、これは、俺の憧れであり、

人類の希望であり、

ヒーローの中のヒーローである、

ヒーロー『希望(ホープ)・ブレイブ』と非常によく似ていたのだから。

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