第5話
「じゃあ、君のステータスを教えてもらってもいいかい?」
「はい」
スキル『ステータスウィンドウ』を使用して、ステータスを表示する。
――――――――――――――――
名前:安地英雄
ランク:5
ヒーローネーム:『ヒーロー』
エナジー:9500/10000
スキルポイント:100
汎用スキル:『ステータスウィンドウ』
タップして取得
固有スキル:なし
――――――――――――――――
あれ?
さっき表示したときには、文字化けのようになって読めなかった場所が、ちゃんと読めるようになっている。
そしてなんと、ランクが5だ!
5は実質的な最高ランク、大当たりだ!
でも、ヒーローネームが『ヒーロー』??
俺は首を傾げた。
その様子を見て、白衣の男性は聞いてきた。
「……何か気になることでも?」
「はい、何か変だなと思いまして」
「と言うと?」
「さっき、この面談のまえに、ステータスウィンドウを使ったんです。その時の表示がおかしかったんですよ。文字化け? みたいになっている所があって……」
「文字化け……? それは聞いたことがない症状だね」
「でも、それが今は普通に表示されていて……。あと、ヒーローネームもおかしいです」
「なんだい?」
「ヒーローネーム:『ヒーロー』となっています」
「ヒーローネームが『ヒーロー』??」
白衣の男性は、困惑の表情を見せた。
「……疑って申し訳ないけど……うーん、嘘はついてないみたいだね」
そして、少し考える様子を見せたが、すぐに止めた。
「……解らないことを考えても仕方ない。後で調べてみるしかないね。いま言えるのは、君はとてもユニークなヒーローらしい、ということだけだ。うん、ひとまずその話は置いておこう。つぎに、君の『ランク』と『エナジー量』、そして『固有スキルの有無』を教えて欲しい」
聞かれた順番に、ステータスウィンドウの表示を指でなぞりながら答える。
「ランクは5。エナジーは最大が10000で現在は9500。ユニークスキルは、……無いみたいです」
「それは本当かい!?」
白衣の男性は、身を乗り出して聞いてきた。
少し気圧されながらも答える。
「は、はい」
「ランク5は実質的な最高ランク……いや、それよりもエナジーの量が問題だ。10000はありえない。通常、ランク5の保有するエナジー量は1500~2000程度。君のエナジー量はランク5を超えた『希望』に匹敵する」
「ええ! そうなんですか?」
『希望』、それは最強のヒーローを示す等級だ。
『悪夢』と対を為す、この世界に指折りしかいない、まさに人類の希望といった存在だ。
「ああ。それに、仮にランク5だとして、それで固有スキルが無いというのもおかしい。たしかに固有スキル持ちは希少だが、ランクが高いほど保有率は高い傾向にある。ランク5ともなればほぼ100%、何かしらの固有スキルを持っているんだ」
「な、なるほど……じゃあ、なんで俺にはないんですか?」
「それは私が聞きたいくらいなんだが……。君のステータスについては詳しく調べる必要がありそうだな。すぐに能力測定に移ろう」