第3話
ドアをノックする音で、目が覚めた。
目を開けると、まだ見慣れない部屋の景色が広がっていた。
(そうだ。昨日は誕生日だったから……)
意識が覚醒してきて、ぼんやりと昨日までの出来事を思い出してきた。
再び、ドアをノックする音。
そして、知らない女性の声がした。
「安地さ~ん、面談の時間ですよ~」
「あっ!」
ハッとなって時計を見た。
時刻は九時半。
「寝過ごした……」
誕生日の翌日には、電波が来たかどうか、確認の面談をしなければならない。
この時間は俺の番だった。
まさか寝過ごしてしまうなんて。
職員さんが起こしに来てくれたのだろうか。
慌ててベッドから飛び起きて、いそいでドアへと向かう。
「はーい! すみません! 寝坊してしまいました!」
ドアを開けると、そこには女性の職員さんがいた。
「寝坊ですか? ……仕方ないですね~。面談の時間はある程度は融通が利くので、担当者の時間が空いたらまた呼びます。いいですか?」
「はい。すみません、ご迷惑をおかけします」
そう言って、ペコリと頭を下げる。
「いえ、電波が届くかも、なんて思ったら緊張して眠れないのも分かります。たまにそういう子もいるので、大丈夫ですよ。それでは」
そう言って職員さんは去っていった。
それを見送ってから、ドアを閉める。
「……そうだった!」
思い出した!
《《俺は昨日、ヒーローになったんだ》》!
電波が届いて、ヒーローになって、それから……。
あれ……?
なぜか、よく思い出せない。
ひとまず、自分自身のステータスを確認することにした。
「ステータスオープン」
汎用スキル『ステータスウィンドウ』。
ヒーロー、ヴィランに共通する、自身の能力を確認できるインターフェースだ。
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名前:安地英雄
繝エ繧」繝ゥ繝ウネーム:『繧ク繝ァ繝シ繧ォ繝シ』
エナジー:9500/10000
スキルポイント:100
汎用スキル:『ステータスウィンドウ』
タップして取得
固有スキル:『譛ャ蠖薙�蝌�』
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空中に文字が浮かび上がった。
スキルが発動したことで、ヒーローになった実感が湧き、嬉しさで小躍りしそうになる。しかし、ほどなくして不審な点を発見した。
「んん? ……文字化けしてる?」
そんなことがあるのだろうか?
考えても解らないので、面談の時にでも聞こうと思う。