五話 TS勇者、自己紹介をする
遅れてすみません! 体調を崩しているので、しばらく投稿遅めになりそうです。では、転生勇者の異世界TS冒険録の第五話、お読みください!
~ルナが眠ったあと~(サラside)
「眠ったようね。睡眠が効いて良かったわ」
「で、話って何なのじゃ? 話を聞く代わりに願いを一つ叶えるって言っていたであろう」
「そうだったわね。サラ、今から話すことはルナ──ゼロの過去についてよ」
「何じゃと?」
実は、前々から気になっては居たのだが、今までルナに聞く機会が無かったのだ。
そうやって体を前のめりにして聞き入るサラをみて、レミアは溜息をついた。
「そんなに気になるの? まあいいわ。サラ、最強にして最凶と言われた暗殺者の死神や、漆黒の短剣を使う月影、昔剣術大会に乱入し、優勝して賞金を受け取ったきり姿を現すことが無かった少年──この人物達をしっている?」
「まあ、一応知ってはいるぞ」
死神と月影の噂はよく聞くし、我流の剣術を使う少年も一時期噂になったものだ。それがどうしたのだろうか。
「それがどうしたのじゃ?」
「実は、死神も、月影も、例のあの少年も、全てゼロなのよ」
レミアの話によると、ある日の深夜、この国の王の前に突如現れ、持っている情報を全て渡すから今までの罪を無くし、勇者かその仲間にしろと言ってきたのだそうだ。自分を攻撃した瞬間に皆殺しにするとも言っていたらしい。
その後緊急会議が開かれ、結果ゼロの持ち掛けてきた条件を承諾した。
ゼロの言っていた情報とは、自分の正体と魔王の居場所、魔王の指令で動いていないのではないかという疑惑だった。それと、今まで暗殺した全ての人の横領等の悪行の証拠だった。
最初は疑っていたが、中々信じないからしょうがないと言ってそこにいる全員の秘密を暴露していき、厳しく威厳のある王が重度の親バカだという事が暴露されたところで王に勇者になる事が了承されたそうだ。恐らく、ルナと言う名前が気に入ったのも、Lunatic──狂気と言う通り名を気に入っていたからだろうといっていた。
しかし、サラの記憶では勇者は銀髪に碧眼、あの例の少年は黒髪紅眼のはずだ。それに少年と死神、月影はそれぞれ固有武具が違うはずだ。それを尋ねると、
「ああ、それね。明日はアレがあるから、見てたらわかるわよ」
「アレって何なのじゃ?」
「秘密よ。それより、願いは何?」
「そうじゃったな。ルナにあんな感じの制服を義務付けるのはどうじゃ?」
「良いわね。早速作りましょうか」
こうして、ルナの制服制作は着々と行われていった。
「……………………」
ルナが寝ている間に
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フィーミット森林王国立レイトス学園校庭~(ルナside)
「それでは、学園長先生のお話です」
拡声魔法を使用したアナウンスが流れる。今は、学園の入学式の最中だ。そして、あいつの話が始まった。
「えー、皆さん。フィーミット森林王国立レイトス学園へようこそ。この学園では────」
そして、あいつの話が始まってから10分後の事。
「────という訳で、突然ですがテストを行います。ルールは簡単。光弾を一人につき十球飛ばしますので、どうにかして全て防いでください。万が一被弾しても大丈夫です。すぐに回復しますから。それでは始め」
そう言いながら、あいつは上空に光弾を大量に生み出した。ここには百六十人程いるので、千六百個程有るのだろう。しかも、あの威力の光弾を受けたらここらの生徒じゃひとたまりもない。恐らく僕が動く事を想定してやっているのだろう。
「仕方がない、やるか──紅蓮ノ魔剣・フォルムチェンジ【夜桜刀『月光』】」
すると、僕の腰につけていた剣が発光し、みるみるうちに黒い鞘に桜と月が描かれた漆黒の刀になっていた。
剣では4桁の光弾を無効化する事は出来ない。だが、これならいける。
僕は縮地で全校生徒の中央上空に移動した。縮地は一瞬で移動する技だ。普通は数メートルが限界だが、鍛えると距離が伸びるのだ。
「我流──百花繚乱」
僕は刀に手を掛けると、刹那全力で振り抜いた。振り抜かれた神速の刃は、周囲全方位を切り刻み、レミアの出した光弾を全て消滅させた。
魔法を全て消滅させたことを確認し、そのまま落下した。着地時には、前転をすることによって衝撃を無くした。流石に衝撃を全て受けると骨が折れるかもしれないからね。
振り返って皆の方を見ると皆目を白黒させて固まっていた。レミアとサラ、レオを含めて。サラとレオは良いとして、レミアはなんで驚いてんだよ。取り敢えず、念話で聞いてみることにしよう。
『おいレミア! なんだよあの威力の光弾。あんなの生徒が被弾したら危ないだろ』
『…………え、ええ。すまないわ。力加減を間違ってしまったみたいだわ』
どうやら、ただのミスらしい。レミアにミスなんてあるのか。ミスしたところなんて見た事な……あ、いつも料理爆発させてたわ。
その後、全員が落ち着きを取り戻し、無事入学式は終わった。
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~一年二組教室~
入学式が終わり、クラス分けに書いてあったクラスで座っている。レオとサラも同じで二組た。しばらくすると、扉が開いて女性が入ってきた。そして教壇の前に立ち、口を開いた。
「こんにちは皆さん! 私は皆さんの担任になったリリィ=ミラスティといいます。よろしくね!」
その先生は、青い髪を腰あたりまで伸ばした、元気と言う言葉が似合う人だった。
「美人だ」
「よっしゃ! 俺たちの担任美人じゃん!」
そんな声がクラス中の男子から聞こえてくる。
「はーい、今から自己紹介…………の前に机に水晶が置いてあるよね? それは鑑定機と言って、手を置くことによって自分の固有武具やスキルなどが分かる装置です。結果は自分にしか見えないので、他の子に知られる心配はありません。それじゃあ、早速やってみて下さい。」
実は、この時を前々から待っていた。前世で持っていたスキルがこの身体でも使えるなら、チャンスはある。僕は、早速手をかざした。しばらくすると結果が出た。
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名前:ゼロ(ルナ)
種族:人族
性別:ーー
固有武具:紅蓮ノ魔剣
夜桜刀【月光】
死ノ宣告
神滅ノ黒槍
聖なる輝き
青蓮ノ聖剣
血濡れの短剣
スキル:フォルムチェンジ
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やった! フォルムチェンジがあって良かった。早速後で使おう。この後自己紹介があるらしいから丁度いい。嬉しすぎてにやけてしまう。
「はーい。皆、確認できましたね。では、自己紹介を始めます。じゃあ、そこの子から順番にお願い」
皆次々に自己紹介をしていった。もうそろそろレオの番では無いだろうか。
「俺は、レオ=ローザスだ。よろしく頼む」
その時僕は、とてつもない衝撃を受けた。
「れ、レオが……痩せてる?!」
「ルナ、お前失礼だな!」
「あの……あのレオが痩せてる?!」
「なんだよあのレオって! 俺も痩せるわ!」
こんな会話を五分ほど繰り返し、周りの皆は大爆笑だった。しかし、僕は一人だけこちらに舐め回すような視線を向けてニタニタと笑っている者が居ることを見逃さなかった。
あいつの身なりからして貴族だろう。そして、比較的美人な人の自己紹介の時は同じような事をして居た。何も無ければいいのだが。
しばらくして、僕の番が来た。早速、スキルを試してみよう。
「えー、初めまして! 僕はルナ。よろしくね!」
挨拶をすると、予想どうり男子からは歓声が聞こえてきて、逆に女子からは妬みの視線が送られてきた。
「あ、それと──フォルムチェンジ・【影】」
すると、僕の体がひかり、光が納まった頃には体は黒髪紅眼に赤メッシュの青年になっていた。なつかしいな。この体は勇者時代の僕を含めると、1番使用していた期間が長かったからなぁ。まぁこの体に生まれたんだし。
「よお、この体の時はゼロって呼んでくれ」
すると、先程とは違い、男子からはイケメンがあらわれやがった! と嘆く声が、一部の女子からは歓声が上がった。
「説明するが、これは俺のスキルで体を変えたんだ。性別も変わるから、性格も味覚も身体能力も全て違う。ただ勘違いはするなよ? 体は違ってもゼロもルナも、同一人物、俺だ。あと──フォルムチェンジ・【光】」
今度は、銀髪碧眼青メッシュの、優しそうな青年の姿になった。この姿は、勇者の時に使っていたものだ。勇者に黒髪紅眼赤メッシュはどうかと思い、真逆にしてみたのだ。それがこの体だ。
「この体の時は………どうしよっか? まぁ、僕もゼロって呼んでくれたらいいよ。まぁ、よろしくね」
聞こえてきたのは、これまた一部の女子からの歓声と、男子の嘆きだった。白馬の王子様キター! とかいってる人もいた。
「という訳で、よろしく──フォルムチェンジ・【月】」
ルナに戻り席に着いた。しかし、ここで湧き上がってきた問題が、「どの体で学園生活を過ごすか」だ。
マジでどうしよ。
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