始まりの戦争
ちょっと長めです。
主人公と周囲の人々の噛み合いづらい会話が中心なので、どうしても多くなってしまいました。
ゴメンなさい。
序章は全部主人公が喋ってるのでカギカッコ無しです。
序章はちょっとした設定を喋らせてるだけなのでかっ飛ばしていただいて結構です。
「」が会話、『』が通信、「()」がヒソヒソ話、()が心の声もしくは補足です。
※が時間や場所が変わった時の記号です。
矢印の下から序章です。
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やあみんな!元気かね?
今から入隊前説明会始めるよ!
まずは俺の自己紹介からかな?
俺の名前は後畑空斗だ
「大和」の砲雷副長をやっている
そこの君、何で副長なのに入隊前の説明会に出ているのかって言いたそうな顔をしているね?
それはねぇ・・・
ウチの砲雷長が「めんどくせぇ」の一言で説明会を全部俺に押し付けてきたからだよ!
あのクソジジイめ!
スマンね……
ちょっとイラついて取り乱してしまった。
なんか皆疲れた顔してるね?
にゃははは……
多分俺のテンションが高過ぎるからだよね?
まあ大丈夫!
俺の後はしっかりしたしっかり締めてくれる連中ばっかり…なハズだ!
でも、砲雷科って説明会で喋ること全然無いんだよね……
簡単に言うと艦砲とか基地の要塞砲とか…あと駆逐,軽巡の魚雷とかをひたすらぶっぱなす仕事だね
大体はコンピューターが照準してくれるからチョッぴし人の手で手直しする感じかな
たまにいる歴戦のプロフェッショナルは最初ッから手でやるんだけどねぇ……
それはあんまり真似しない方が良いかな。
ついでに言うと俺は最初から手感覚だね
俺ってかなり大雑把だから。
いまだに要塞砲とかあるのかって顔してるけど…あるんだよね~コレが
第三次世界大戦以後、電磁波撹乱粒子のせいでミサイルとかみたいな高精度な長距離兵器が無くなっちゃったからね
う~ん……もう話すことが無くなった……
どうしよう…なんか話題は……
そうだ!
あともう少しあるし、最近の地理でもザックリおさらいしようか!
いきなりでごめんね?
まず、120年位前にアメリカはUSA、ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカからUNA、ユナイテッド・ネーション・オブ・アメリカに変わった
領土的には、キューバ以外の中南米を新たに支配下に置いている
ついでに言うと元祖ユナイテッド・ネーションの国連は130年位前に消えたね!
そして、ほぼ同時期にロシア連邦が色々な国々を吸収し、ソビエト共和国連邦となった
アダ名はソ連
昔のソ連は旧ソ連と呼ばれている
更にそこから数年後、中華人民共和国は朝鮮半島やマレー半島等の周辺の地域を確保し、大東亜共産連盟となった
アダ名は大共連。
EU諸国はほとんどそのままでつまんないんだよね・・・ちょっとばかし新ソ連に領土とられた位だね
なんか最近統合やら併合やらのめんどくさそうな話題が出てきてるケド!
技術だとかそういうのは・・・俺の領分じゃあないから聞かないでね? まあ地理もそうだけど!
ん? もう時間か。
あっ・・・最後に一つ聞きたいことがあるんだけど・・・良いかな?
じゃあ聞こうか。
訓練とは比べ物にならないくらい過酷な本物の戦場・・・。
君達は、生き延びることができるか?
時は23世紀、第三次世界大戦が22世紀中盤に勃発しましたが、多数の国がそれを乗り越え、多数の国が無くなりました。
そして、第三次世界大戦の時に開発された電磁波撹乱粒子によって「近代的」な兵器の大半は廃れ、第二次世界大戦期のような「前時代的」な兵器が主流となっています。
第三次世界大戦は核戦争にこそなりませんでしたが、「核より安くて核より強い」兵器が多数生産、使用され、地殻変動が多発していました。
その一連の地殻変動によって、日本近海には、多数の新しい島ができていました。
その中でも、22世紀初頭に出来たのに、23世紀新島と呼ばれているそこそこ広めの島では、小さいながらも激烈な戦闘が続いていました。
この島は付近の海底に大量のレアメタルとかがある事が分かり、日本が領有権を主張したときに何にも言ってこなかった大共連が唐突に領有権を主張し、軍を派遣して占領してしまったのでした。
そんな恐ろしい島に二人の男が居ました。
二人の名前は後畑空斗と草架啓悟です。二人とも24歳で国防海軍舞鶴基地の所属です。
後畑は女よりな感じで中性的(決して男の娘ではありません)な青年で、草架はいたって普通の健全そうな青年です。
「何で俺は森なんかでかくれんぼしてるんだ?」
そう唐突に言ったのは後畑の方でした。
そんな台詞が出たのは彼の本来の職場が森ではないからです。
「俺は国防海軍の砲撃手だったハズなんだが」
「俺の本職だってここじゃないよ・・・ついでに言うと現在進行形で敵に見つかりかけてかくれんぼしてるのはお前のせいだぞ!」
そう返したのは草架です。
草架も国防海軍の見張員なのでした。
ちなみに、彼らは数m先の敵に見つからないようにずっと小声で喋っています。
「んえ~?オレのせいだっけ?」
「もーいいよ……」
「でもなあ」
「何?あと、『でもなあ』じゃあ文脈がおかしいと思う」
「やっぱり何で海軍の俺らがこんな意味わかんねー装備着けて森に居なきゃなんないんだぁ? 俺もお前も一応、国防海軍が誇る旗艦『大和』の乗組員だろ? こういうのはやっぱり海兵隊の連中の仕事だと思うんだけど」
現在、電磁波撹乱粒子のせいでレーダーやホーミングミサイル、レーザー等の電磁波を使う兵器が使い物にならなくなり、装備は第二次世界大戦の頃+SF兵器みたいな感じです。旗艦「大和」もその流れで建造された戦艦の1隻です。
そして、彼らはパワードスーツ的な何かを着けていました。まあ、ザ・軍用って感じののゴツイのではなく、普通の人でも(買える金さえあればですが)使ってそうな四肢にフィットするフレームみたいなヤツです。
「この装備の試験でしょ?あと、ついでに偵察」
「歩兵砲とバズーカと対物ライフルとシールド付きのよくわからんフレーム装着して偵察か?」
そう言って後畑が藪から顔を出して敵の様子を伺おうとした瞬間、彼らが隠れている藪にズガッという音と共に穴が開き、
その穴からは黒くて四角い無骨なフォルムの機械兵が見えました。
「うおっと」
「見つかった!?」
「んな訳ねーだろ草架・・・見つかってたら今頃アイツの12.7㎜弾で挽き肉にされてるよ」
「じゃあ何で撃ってきたんだ?」
「確かあの形は確か大共連の『13式機甲兵』だな」
「質問の答えになってないけど」
「わかんないか?」
「分かんない」
「アレにはAIが積んであるんだが、そのAIは何とテキトーに弾丸ばらまいて敵をいぶりだす機能があるんだよ。」
「じゃあさっきのもそれか?」
「多分な」
「良かった・・・」
ズガッ!
藪の穴が一つ増えました。
「「・・・」」
更にもう一発弾丸が飛んできて藪に穴を開けました。
「三発目飛んできたけど・・・」
すると、例の機甲兵が近づいてきて、こう告げました。
『警告しマす。降伏する場合ハ30秒以内に武装解除又はそレに準ずる降伏行動をとってくださイ。30秒以内に降伏行動が行われなかった場合速やかに武力排除いたします。繰り返します・・・』
ご丁寧に(?)日本語でした。
「ちょっと日本語おかしいな」
「あれって大共連のヤツなんでしょ?」
「のハズだ。まさかの日本攻略用の特化型とかか?」
「まっさかぁ」
『残り時間が10秒を切りました』
「うーん・・・やべぇな」
「うん」
「こういう時は?」
「せーのでいこう?」
「じゃあ・・・せーの!」
「「逃げろ!」」
『目標の逃走を確認・・・排除します』
ガシャッガシャッガシャッ!
すぐに機械兵が追いかけてきました。そして、ウィーンという嫌な予感しかしない音が鳴った直後、容赦なく重機関銃が火を吹きました。
ズガガガガガガガガガガガガッ!
「伏せろ‼」
そう言って後畑はとりあえず草架を引き倒しつつ転ぶようにして伏せました。
その直後、伏せた彼らの上を大量の大口径弾が通りすぎていきました。
「え~っと・・・このボタンだっけ?」
後畑がそう言いつつパワードスーツの左手についているボタンをいじると、背中に付いているロボットアームが作動し、保持しているシールドを持ち上げました。
「改めて逃げるぞ!走れ!」
「俺のシールド展開完了まで待ってくんねぇ?」
「無理だって!後ろ見てから言え!」
「後ろって・・・うわっ!」
その時、ちょうど敵はロケットランチャーの照準を完了したところでした。
ファシュッ!
閃光と白煙を伴ってロケット弾が飛んできました。
「「あわー!?」」
二人がパワードスーツ頼りの大ジャンプをして左右に分かれると、ロケット弾はその間を通りすぎていき、一拍遅れて爆音が轟き、爆風が吹き荒れ、周囲の木々を吹き飛ばしました。
「機械兵は怖いねぇ」
「怖いどころじゃないよ!」
「じゃあアイツをサクッと撃破しますか」
「何でそうなるんだよ!」
「じゃあアイツに挽き肉にされたいか?」
「それは嫌だけど・・・」
「じゃあとっととシールド前に構えてテキトーに弾幕張ってくれや」
「うえぇ~・・・絶対嫌だよ!」
「はぁ・・・24年・・・短い人生だったなぁ・・・」
「分かったよ!やればいいんだろ!やれば!」
乗り気でないことを全面に声に出して答え、草架は持っているアサルトライフルを敵に向け、照準など気にせずに適当に弾丸をばらまきました。
結構な数の弾丸が機械兵に当たったのですが、どれもこれも装甲を貫通できず、激しい火花を散らすだけでした。
「うわあ!これ以上はシールドも俺も持たない!」
たった数秒で最新の、そして最硬の素材を使ったシールドがボロボロになってしまいました。
やはりこの時代でも、重機関銃の火力は絶大なようです。
「あらよっと」
いつの間にか後畑は背中のアタッチメントに付けていたハズの対物ライフルを構え、機械兵を見据えていました。
「くたばれ!」
ズダァン!
轟音が鳴り、音速の二倍を越える速度で12.7㎜徹甲焼夷弾が飛びました。
弾丸は容赦なく装甲を貫き、中の電子基盤を焼き、コンデンサをスパークさせ、中の火薬類をまとめて誘爆させ、恐ろしい轟音を響かせました。
「終わったぁ」
そう言って草架がへたり込み、
「この後どうする?」
後畑が何と無しに聞くと、
「え?」
と草架
「じゃあ偵察行くか」
そう言って勝手に先へ進んでいきます。
実にテキトーです。
「おいおい・・・大丈夫なのか?」
「フンフフ~ンフン」
「鼻歌歌うなよ」
「はーい」
「ハァ・・・っつーかさっきの機甲兵大丈夫かよ?! あれがやられたこと絶対全部相手にバレてるだろ!」
「もう少しで森を抜けるな・・・」
「人の話を聞け!」
「森抜けたら平原で匍匐前進かぁ」
「はぁ~・・・」
「大丈夫か? 草架・・・なんか残業でヘトヘトになった中年サラリーマンみたいだぞ」
「こうなったのも全部お前のせいだよ!」
そんな緊張感の欠片もない会話をしていた彼らですが、唐突に表情が固まりました。
「敵の野営地ってこんなに近かったっけ?」
「いいや・・・あと2,3㎞ぐらい離れたところの海岸沿いだったハズだ」
「じゃあ近づいてきたってことか!?」
「やっべえ」
「早く報告しないと!」
そう言って無線機を取り出そうとする草架を後畑が止めました。
「ちょっと待った」
「待てないよ!」
「いいから落ち着け!敵の基地のすぐそばで無線使ってどーする!?見つかるだけだろ!」
「え?ああそうだな・・・ゴメン」
「それに此処じゃあ電磁波撹乱粒子まいてるだろうからどうせ届かねえよ」
電磁波撹乱粒子は、21世紀末に新発見された新元素を基に、第三次世界大戦中に作られたもので、電磁波の波長や方向を乱すことにより電波等を攪乱します。
ただ、電磁波と言っても、流石に可視光線は減衰させません。
「じゃあどうやって知らせる?」
「う~ん」
「乗ってきたボートまで戻るか?」
「これ使う」
そう言って後畑は背中のアタッチメントから歩兵砲を外しました。
「歩兵砲で?どうやって?」
「実はこんな弾を持ってきたんだが・・・」
「それって砲撃支援要請用の特殊発煙弾だよね?」
「あったりぃ!」
「つまり・・・とりあえずソレぶちこんで味方に知らせるんだね?」
「そうそう。まあ沖に待機してる『大和』の艦長ならすぐに水偵出してくれるよ」
「でも・・・どっから撃つ?そこら辺から撃ったら間違いなくバレるけど」
「ん? 隠す必要ないと思うケド」
「隠さなかったら敵に袋叩きにされると思うんだけど」
「おいおい・・・この歩兵砲は無反動型だぜ?そんなに長射程は望めない。まあコイツが長射程だろうと見つかるぜ?」
「はあ・・・やるしかないか・・・」
「そうそう! 何でもやってみないと結果はついてこないぜ?」
そう言いつつ、後畑は歩兵砲を地面に設置すると、特殊砲弾を込め、草架に聞きました。
「目標の距離と風向きとその強さを大体でいいから教えてくんねぇ?」
「はいはい。」
そう言って草架は距離計付きの双眼鏡を覗き込みました。
「距離は約800m、風向きは東から南南西・・・強さは1.2m/s」
「微風か・・・じゃあ特に調整は要らねーな」
すぐに射角調整が済み、
「撃つからちょっと離れてくれや。バックブラストに巻き込まれんなよ!」
「え?バックブラストってどういう・・・」
「ファイヤー!」
そう言った直後、後畑は歩兵砲を撃ちました。
ズドォン!
大きめの砲撃音と共に出る激しいバックブラストにより、物凄い砂塵が舞いました。
「ゲホッゲホッゴホッ」
「いやあ予想より砂塵が酷いぞぉ?」
「砂塵が舞うって分かってたなら最初ッから言え!」
草架は我慢の限界が来たようで、思いっきり拳骨を後畑に叩き込みました。
バコッ!
「痛っ!何すんだよ!」
「うるさいそれはこっちのセリフだ!」
「何で?」
「もう良いよ・・・」
二人がこんなふざけた会話をしている間に、特殊発煙弾が見事に
敵の野営地のど真ん中に着弾し、そこそこ大きなパニックを引き起こしていました。
「ん?当たったんじゃね?やったぜ!」
「うん。見事にど真ん中に当たってる」
※ ※ ※ ※ ※ ※
《大和/艦橋》
後畑と草架(主に後畑)が無反動砲の直撃に浮かれてバカ騒ぎしている頃、「大和」の艦長は頭を抱えていました。
「全くアイツ等は何をやっているんだ・・・?」
艦長は呟きました。
「あの二人の事ですから死んではいないでしょうな」
副艦長が答えました。
「俺もそう思うが・・・アイツ等の事だ・・・何かよからぬ事をしているんじゃあないかと思うんだがなぁ」
「成る程・・・そっちの心配ですか」
すると、唐突に艦内無線が鳴りました。
副艦長が無線を取ると、すぐさま怒鳴りつけました。
「何事だ?!」
『副艦長!島で動きが!』
「何があった?」
『島の平原から砲撃支援要請の煙があがりました!』
「何だと?そこには何も無いハズだ」
『しかし・・・』
「何だ?」
「島の平原で発煙弾が使われたようです。どうしますか?艦長」
「水偵を出せ」
「了解」
副艦長は無線機を取り、水偵の整備士に繋げました。
「今すぐ水偵を出せ!」
『了解!もしかして島の煙の件ですかい?』
「そうだ」
すると、艦長が無線機を副艦長から取り上げました。
「大型の無線機を投下できるよう準備しておいてくれ」
『了解・・・急ピッチで準備しますんで!少々お待ちを!』
「よし。これでアイツ等が何をしてるか分かる・・・ハズだ」
《大和/水上偵察機用カタパルト》
「あらよっと」
そう言って水偵に乗り込んだのは、戦闘機パイロットの沼田雄大でした。
「おーい!出撃要請だ!とっとと出てくれ!」
「おいおい・・・いきなりだな」
「仕方ないでしょう・・・艦長からの要請です」
「俺はここの所属じゃないぞ?」
「じゃあなんでここに居るんですか」
「あのブッ飛んだ艦長に首根っこ掴まれて連れてこられたんだよ」
「へえ~」
「おい! なにそこで無駄話してんだ!とっとと行け!」
「了解! 沼田雄大、出るぞ!」
そう言って沼田はカタパルトによる凄まじいGに耐え、大空へと飛び立ちました。
※ ※ ※ ※ ※ ※
後畑が歩兵砲を片付けている時、草架が何かに気付いたようで自分のサブマシンガンのマガジンの残弾を確認すると、一発目を薬室に送り込みました。
「敵か?」
「なんか嫌な予感するし。それに変な音がする気がする」
「俺には何にも聞こえんが」
「聞こえないの?なんかモーターみたいな音しない?」
「スマン。サッパリ分からん」
「まあ良いや」
すると、そのモーター音は近づいてきて、急に無くなりました。
「あれ・・・?」
「どうした?」
「モーター音が無くなった・・・」
ザッザッザッザッ
「匍匐前進で逃げよう」
「いきなり何いってんだ」
「さっきブーツが草を踏む音がした」
「おいおい・・・んな訳ねーだ・・・」
後畑が「ねーだろ」と言おうとした瞬間、何m先からかは分かりませんが、コッキングレバーを引く音と、撃鉄を起こす音がしました。
「っ・・・マジかよ」
「ほらな?」
「お前って耳だけは良いのな」
「耳だけじゃないよ!」
「敵はどこだ?」
「ここら辺は背が高い草が多くて分かりづらい」
そう言いつつ、後畑はマシンピストルを、草架はサブマシンガンを構えました。
「何でマシンピストル?」
「俺が持ってる中で近/中距離戦に使えるのってこれぐらいしか無いんだよ」
「そっか。じゃあこれいる?」
草架は腰に付けていたサブマシンガンを後畑に渡そうとしました。
「いや・・・いいよ。どうせ俺の腕じゃ当たらんし」
後畑は狙撃銃、各種大砲類の命中精度は国防海軍内でも1,2を争うレベルなのですが、拳銃やサブマシンガン、アサルトライフルのような近/中距離戦用の銃火器はからきしです。
苦手な火器類の中でもまだギリギリ実戦に使えるのは拳銃のみです。
「お前って何で狙撃銃やら大砲やらは使えるのにこういうの使えないんだ?」
「だから前からいってるだろ?俺はデカイ反動に慣れすぎた」
「そんなもんかね?」
「そんなもんだ」
バサッガサッ
後畑の左側から物音が聞こました。
パパパパパパパパパンッ!
後畑が容赦なくマシンピストルをぶっぱなすと、ほとんど当たらないので、周りの草を盛大に散らしました。
バサバサバサバサッバチッ!
草を散らしたにしてはおかしな音がしたかと思うと、光学迷彩で身を隠していた敵兵が二人現れました。
敵兵達は見つかったことに酷く驚いたようで、驚愕した表情で固まっていました。
タタタタタタタタタン!
敵兵が見えた瞬間、草架がサブマシンガンをフルオートで撃ちました。
敵の内一人は腹と胸に大量の7.62㎜弾を叩き込まれ、あっという間に三途の川を渡り、もう一人は咄嗟に銃を盾にして銃弾を受け止め、すぐに逃げ出しました。
「んにゃろ逃げようって魂胆か!」
「お前が初っぱなから仕留めてれば良かったんだけどね!」
二人は敵を追いかけて駆け出しました。
「あっ」
「アイツ車で来てやがったのか!」
ドッドッドッドッドッドッブルォォォンブルォォォン!
大きなエンジン音がすると、逃げた敵兵が乗ったジープが走り出そうとしていました。
タタタタタタタタタタン!
草架がサブマシンガンをフルオートで撃ち込みますが、流石は軍用車というところなのか、全弾が弾かれてしまいました。
「任せろ!」
後畑はそう言うと、対物ライフルを構えました。
ズダァン!
彼が撃った弾丸は敵兵の顔付近を通り、頑丈な防弾ガラスの窓をまとめて撃ち抜きました。
「もう一発!」
ズダァン!
今度は確実に敵兵の頭部をぶち抜き、ジープはそのまま突き進み、近くにあった樹木にぶつかり、止まりました。
「これ使えないかな?」
後畑は敵の死体を引きずり出しつつジープを指さしました。
「使えると思うけど・・・うぅっ・・・吐きそう」
「はぁ?変なもんでも食ったか?」
「・・・頭吹っ飛ばされた死体見て平気なお前が信じられないよ」
「何言ってんだよ。こんなのフツーに耐えれるだろ」
「何言ってんだ映画やゲームじゃねえんだそんなの見て吐き気を催さない方がおかしいだろ!」
「ん~?」
対物ライフルは余りにも威力が高過ぎ、人を撃つと酷いことになってしまいます。
「なあ草架」
「何?」
「お前って運転できたよな?」
「そりゃあできるけど・・・お前まさか」
「運転してくんね?」
「死体が乗ってた席で運転なんて絶対嫌だね!自分でやりゃあいいだろ」
「えっ・・・?俺が運転して良いの?」
そう言われた瞬間、草架はふと後畑と一緒に行った釣りの事を思い出しました。
「っ・・・やっぱり俺が運転するよ!」
「俺にやらせるんじゃないの?」
「いや良いよ俺がやるからさっさと運転席から退きなさい!」
「そう?じゃあいいけど」
運転席に座ると、草架はものすごくホッとしました。
(後畑の運転がマッド○ックス並みに乱暴なの忘れてた・・・)
「とりあえず敵の野営地付近までいこうぜ?」
「了解。それより野営地って言うのそろそろ面倒臭くない?」
「じゃあテキトーに・・・Δで良いかな?」
「良いと思う」
「このジープ乗り心地悪すぎだろ」
「軍用だから仕方ないよ」
「トランクの上結構広いな」
「そうだね」
「あっ・・・これこのスペースに歩兵砲置けるんじゃね!?」
そう言うと、後畑は即座に歩兵砲をアタッチメントから取り外し、設置し始めました。
「やったぜ出来た!」
ただのちょっと古めの軍用ジープが自走砲に変身してしまいました。
「後畑・・・砲撃か狙撃の準備しといてくれ」
「敵か?」
「うん。これとおんなじジープの奴等が来てる」
「どんくらい?」
「後ろから三台、左右から挟み込む感じでそれぞれ二台」
「合計七台か・・・丁度だな」
「まだ射程外なの?」
「う~ん・・・後ろの連中は歩兵砲の射程内なんだけど・・・」
「なんだけど?」
「後ろに撃つとバックブラストが俺達に直撃しまっす!」
「狙撃は?」
「ギリ射程外」
「左右の連中は・・・俺でも分かるな。普通に射程外だ」
「ヤバイな」
「見た感じ相手にはこれといった決め手無さそうだけど・・・ん?」
「どしたの?」
「来てるヤツの内それぞれ一台になんか載っかってる気がする」
「ちょっと双眼鏡貸して」
「はい」
後畑は双眼鏡を覗き込むと、表情が険しくなりました。
「こりゃあマズイかもな」
「何故?」
「アイツ等20㎜機関砲載っけてやがる」
「お前の砲より射程短いだろ?」
「一番イヤなのが後ろのヤツだな」
「お前の狙撃銃は?」
「あっちの方が若干射程長い」
「マジかよ・・・どうする?急旋回して最高速で突っ込むか?」
「それも良いけどね」
そう言いつつ、後畑はものすごく不気味な感じでニヤニヤ笑っていました。
「なんか策でも見つかったか?」
「うん!すっごく良いのがね!」
「うええ嫌な予感しかしねえ」
「それでは説明しましょう! その驚くべきさくs」
ギュオォォォオオオオオオオオオン!
後畑が格好つけて何かを言おうとした瞬間、ちょっと変わったジェットエンジン音が聞こえました。
「あれって・・・」
「んええ?!」
「良かった・・・水偵がやっと来た」
すると、水偵が急降下しつつ、後畑達に何かを投下してきました。
「ぎゃああ!爆弾か?まさか敵だと思われてる?!」
「いや・・・あれパラシュート開いたけど」
「え・・・?」
「あれって通信阻害粒子ぶち抜ける大型無線機じゃないか?」
「やったぜ早速報告だ!」
しかし、小さなパラシュートでは減速仕切れなかったようで、
「ピぎゃあああ!」
という意味不明な効果音とともに、受け止め損ねた後畑が大ダメージを受けていました。
「うーわー・・・ダサ」
「うるさいうるさいうるさい!知るか!んなもん!」
「早く連絡してくんない?」
「ぐぬぬぬぬ・・・」
そう言って後畑は無線を悪戦苦闘して使い、どうにか大和に繋げました。
『はいはーい!みんなのアイドルサクラちゃんだよー!』
そう言って恐ろしい位のハイテンションで無線に出たのは、大和の通信機器担当の岡嶋桜でした。
彼女はセリフからも分かる通り、電波な感じの少女です。
「あ~・・・その声メッチャ癒されるんだよね~」
『あれれ~?間違い無線かにゃ?じゃあ切っちゃお!』
「ちょっと待って間違えてないですごめんなさい許して!」
『一言足りないぞ~?』
「切らないでください」
『そっちじゃないよう』
「・・・」
『よし切っちゃお!』
「ああもう分かったよなんでもしますから許してください!」
『もう一回』
「なんでもしますから許してください」
『よーしじゃあ後で私の部屋の前来てねっ☆』
「・・・分かりました」
『素直でよろしい』
「ってかそんなことよりこっちの状況を伝えたい!」
『分かった!じゃあ手短にドーゾ』
「まず、今はジープ七台に追われて・・・」
ドガドガドガドガドガドガドガドガドガドガドガドガドガッ!
恐ろしい射撃音と共に、水偵の20㎜機関砲が火を噴き、容赦なく全てのジープを吹き飛ばしました。
『ジープが何?』
「ゴメンやっぱ何でもない」
『そっかぁ』
「俺等は乗ってきたボートで帰るよー」
『じゃあ救援は要らないかにゃ?』
「取り敢えず準備だけはよろしくです」
『りょーかい!艦長に伝えとくね!』
「じゃあヨロシク」
後畑が無線切った途端、深刻そうな顔になりました。
「どしたの?」
「アイツの部屋とか・・・絶対男としての尊厳とか色々奪われる気がする」
「あーなるほど」
「うわ・・・もうイジられまくる未来しか見えない」
「まあガンバレ」
「んむ~・・・他人事だからってそんな気楽に・・・」
「っつーかどうする?」
「ボートに戻ってとっとと帰ろ!」
「言うと思った・・・こっちの方向だよね?」
そう言って草架はハンドルをきりました。
「うんそっち」
※ ※ ※ ※ ※ ※
後畑達がボートのある砂浜に着くと、二人は揃って絶句してしまいました。
「嘘だろ・・・」
「何でこんな所まで敵が来たんだぁ?」
彼等の目の前には、爆破された無惨な鉄の骸が鎮座していました。
「ん?ちょっと後畑・・・こっち来て」
「何で?」
「いいから・・・早く」
「ハイハイ」
後畑が草架に近付くと、唐突に草架はヒソヒソ話を始めました。
「(後畑・・・気付いたか?)」
「(何がだよ)」
「(敵がそこそこの数近くに居る)」
「(マジかよ)」
「(どうする?結構ピンチだぞ!)」
※ ※ ※ ※ ※ ※
後畑達のボートが壊されている事を後畑よりも早く(偶然ですが)確認していた沼田は、基地に居る二人の知り合いと無線で喋っていました。
「おい岩本、鷹田・・・後畑達がピンチだぞ」
「ふむ・・・それは助けないとな」
「ウンウン。やっぱり友達だしね~!」
「よし・・・俺達の部隊を出そう」
「だね~」
「後で司令にどやされても知らんぞ・・・?」
そして、二人の結構ヤバめな二人組が動き出しました。
初投稿なので色々不満があると思います。
改善していきたいのでコメントお願いします。




