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不良軍人戦記  作者: postpone
始まりの戦争
1/7

プロローグ

結局、戦争は無くならなかった。


23世紀になったけれど、関係無かった。


どんなに科学が進んでも、国の一番上が笑顔で譲歩しあっても。


第三次世界大戦が勃発し、世界が戦禍に巻き込まれたけれども。


第三次世界大戦時には、多数の国が無くなり、新たに生まれていた。


アメリカは「アメリカ連合国」略称は「UNA」、ロシア連邦は「ソビエト共和国連邦」通称「ソ連」に、中国は「大東亜共産連盟」略称は「大共連」に。


第三次世界大戦のせいであまりにも唐突に国が滅び、生まれたため、海外はひどく治安が悪くなっていた。

これなら「火の七日間」の方がマシなんじゃないかって言う人も出てきた。


それでも、戦争は続く。


確かに、ずっと戦争状態って訳じゃあない。

今でも日本は平和そのものだ。


第三次世界大戦の時だって、最新兵器を過剰なほどに揃えて、いろんな所と戦火を交えたけれども、日本本土は戦場にはならなかった。

むしろ、今の日本は畏怖の対象だ。


第三次世界大戦の時、最初に滅亡したのは、朝鮮半島の国々だった。

南北でいがみ合い、戦争状態になっていた。


やはり韓国にはアメリカの、北朝鮮には中国とロシアの支援があり、さながら代理戦争の様相を呈していた。

大量の短距離弾道ミサイルが韓国に降り注ぎ、報復の爆撃機が北朝鮮に飛んだ。


最初は戦力は拮抗していると思われていたが、毎日何十発と飛んでくる弾道ミサイルを全て撃墜しきることは出来なかった。

韓国は日に日に消耗し、窮地に追い込まれて行った。


日本は支援を申し出たが、「侵略者に借りは作らない」と断られてしまった。

米軍が出動したものの、到着する頃には首都が陥落していた。


第三次世界大戦の時に日本が開発した「電磁波攪乱粒子」は戦争も、世界の暮らしも一変させた。

第三次世界大戦時、世界で主流だったのは、今はもう見向きもされない超巨大兵器だった。


その超巨大兵器は、色々な名で呼ばれた。

アメリカでは「ベルグランテ」、大共連では「武帝」、ソ連では「ツァーリ」と。

日本ではアメリカに倣い、ベルグランテと呼んでいた。


最新のエネルギー源だった大型核融合炉を、強靭で、分厚すぎる装甲で覆い、それに長距離レーザー砲やレールガンみたいな馬鹿みたいにエネルギーを使う兵器をありったけ載せた、ふざけた兵器だった。

対空レーザーによって航空機の覇権を奪い、一番小さな砲でさえイージス艦を真っ二つにする火力があった。


レールガン等の発射時の衝撃でも動かないように、重さは30万tを超え、高さだけでも40mを超える巨体だった。

対空、対地問わず圧倒的な火力で敵を捩じ伏せるベルグランテは、あっという間に世界の主流となった。


しかし、その覇権は脆く崩れ去った。

憲法との兼ね合いから、日本はベルグランテを持っていなかった。

それを好機と見た大東亜共産連盟(その当時はまだ中国)はベルグランテを主体とする大部隊で日本海を進撃してきた。


「武帝」という文字が書かれている40m以上の金属の塊が三機、三角形に並んで日本海を爆走してくる様子は、日本を恐怖のドン底に叩き込んだ。

だが、自衛隊には勝算があった。


海上自衛隊の旗艦「みかさ」には、古いボロボロのZ旗――――


かの東郷平八郎元帥が掲げたものと同じものが掲げられた。


自衛隊は当時、その存在を世界に隠していたある秘密兵器を使用した。

そう、電磁波攪乱粒子である。


電磁波攪乱粒子はレーザー砲を使用不能にしてベルグランテの圧倒的な対空火力を封じ、自衛隊が急ピッチで造った、ある兵器の火力は、ベルグランテの装甲を貫くには十分だった。

そして、自衛隊の全戦力を投入した迎撃戦で「旧式」と言われていた兵器によってベルグランテが撃破され、世界に激震が走った。


その当時、特に注目されていたのは、大昔に「製造価値無し」と言われ、すでに開発計画が凍結されていたはずのものだった。

それは、原子力長距離超重爆撃機である「呑竜」と「屠竜」だった。

ベルグランテ並の砲撃を空から一方的に撃ち込めるそれは、瞬く間に二機のベルグランテを撃破した。


しかし、最後の一機の攻撃により、屠竜が撃墜された。

屠竜も黙ってやられた訳ではない。

屠竜は墜落しながらも攻撃を加え、そのまま最後の一機に突っ込み、自爆した。


呑竜も甚大な被害を受け、戦闘終了後、日本海上に不時着大破した。

その後、自衛隊は敵の支援艦隊を徹底的に殲滅し、その強さを世界に示した。


大共連はベルグランテ三機と日本海方面の海軍力のほとんどを喪失した。

自衛隊は航空自衛隊の航空戦力の八割、海上自衛隊の海上戦力の七割、陸上自衛隊は戦力の三割を失った。


ベルグランテに対する通常兵器での勝利は、世界のテロリストを活性化させてしまった。

テロリスト達は言った。

「極東の憲兵は、今や我等の希望の星だ」と。


各テロリズム組織が世界各地で同時多発的にテロを実行し、戦争をしたがっていたアメリカの連中は、嬉々として社会主義国に宣戦布告した。


最初はアジアのみだったため、アジア戦争と呼ばれていた戦闘は、すぐに第三次世界大戦と改められた。

日本は大共連を無視して対ソ戦に集中し、東北や北海道に戦力を集中配備した。

ただ、日本の誤算はソ連が対欧戦に熱中し、日本に興味が無かったことだった。


ソ連は極東艦隊の内、主力である第一、第二艦隊とベルグランテを引き揚げ、日本に戦争をする気がない旨を大使館越しに伝えてきた。


まあ当然、日本も戦争なんぞ進んでやりたいとは思っていなかったため、喜んでこれを受け取った。

自衛隊の残りを再編するにあたり、名前が国防軍に変わった。


そして、国防海軍は電磁波攪乱粒子によって軒並み使用不能になったミサイル艦を退役させ、過去の軍艦の設計図を元に軍艦を建造した。


それが現在の国防海軍の中核を担う艦艇――――

大和以下数百隻に及ぶ艦艇群である。


そして、国防海軍は警備区を四つ設定した。


横須賀基地を拠点とし、関東地方と太平洋側の地域を守る「武蔵」旗下の第一艦隊


舞鶴基地を拠点とし、近畿地方と四国、その他の日本海側の地域を守る「大和」旗下の第二艦隊


函館、津軽基地を拠点とし、東北地方と北海道を守る「陸奥」旗下の第三艦隊


佐世保基地を拠点とし、九州地方、中国地方、沖縄を守る「長門」旗下の第四艦隊


そして、この物語の舞台は、舞鶴基地の第二艦隊である。

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