表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/6

5キャトルミューティレーション『元女騎士』

空には宇宙船が飛んでいた。

そこには2人の宇宙人がいる。

1人は姉のベルンガンゲル

もう1人は妹のシュペンガゲルである。

2人はグレイ型の宇宙人で

そしてそばにある大きな機械は知能機械ペルペルがいる。

そして今日も


「シュペンガゲル、キョウモキャトリニイコウ」

「イコウイコウ、マリョクアツマッテチジキモアツマッタガスベテノカイメイハデキテイナイソレガマホウノオクブカサ」


と言って異世界人をキャトルミューティレーションしようとしていた。

ペルペルはそれを聞いて


『今度は何をキャトルミューティレーションするんですか? 原石とか?』


と聞くと

2人は


「「ナニイッテルノ? ニンゲンニキマッテルジャン」」


と当たり前のように言った。

ペルペルは大きな音を立てて


『聖剣とドラゴンと来てまた人間に戻るんですか!!』


と2人の計算外の行動に驚きを隠せなかった。

いつも二人はペルペルを困らしていた。

突然機械ですら計算がいなことをして苦情が知能機械からマザーに来ていた。

しかしマザーは


「この二人は気まぐれが多いが運が強い、その運のために予想外にもこっち側の好都合なことが起こるからそれに任せるのがとてもいいのだよ、なぜならこの二人は変異種だからね」


と言って知能機械たちを納得させてきた。

もちろん今回の任務でペルペルは他の知能機械からこの情報を聞いていたが

気まぐれすぎてどうすることも出来なかった。

圭さんが間に合わないのが現状であった。

だがペルペルは新人知能機械で生まれたばかりのニュータイプだった。

そのため他の先輩知能機械たちに


『いくらバージョンアップだからってあいつらの面倒何て見れねえよなあ』

『全くだぜ』


といびられていた。

そのためペルペルにも意地が出来てしまった。

そして


『分かりました、だったら人間をキャトルミューティレーションしましょう』


と言って納得してくれた。

2人は


「トウゼン」

「トウゼン」


と言って我が物顔で腕を組んだ。

そして2人は窓を覗き込んで城の方へと目を向けた。

そして


「アソコナライイモノガキャトルミューティレーションデキソウ! アソコガイイ!!」

「ワタシモ!! オオキイオシロスキイイイ!!」


と子どものようにはしゃいだ。

それを見てペルペルは


『はいはい、分かりましたよ、行きましょうか』


と言って仕方なさそうに城へと近づいた。

2人はいつものように


「「キャトルミューティレーション、キャトルミューティレーション」」


と歌いながらお城へと向かった。


------------------------------------------------------------------------------------------


城内にて


「今日はここまで! 明日はこの続きをしましょう!」


1人の白髪で少し顔にしわがある初老の女性が模擬刀を持ってその場にいた女性たちに大声で伝えた。


「「「「「「「「はい!!」」」」」」」」


とその場にいた女性たちは模擬刀汗を掻きながら言った。

そして近くにいたたくましい女性が


「先生!! ありがとうございました!」


と嬉しそうに言った。

初老の女性は困ったような顔で


「全く、私は先生だなんて呼ばれるほどの者じゃないよ? こんなに年も取って昔ような力なんてないんだから」


と言った。

だが嬉しそうにしていた女性は


「何を言ってるんですか! ゼルセ様の伝説は我々の憧れなんですよ!! そんなことを言わないでください! それに今だって我々を相手にして全く勝てなかった! それだけの実力を持ってるんですから謙遜なんてお止め下さい!」


と言った。

ゼルセは笑いながら


「いやね~、こんなのただの実戦経験があなたたちより多いだけの話よ、あなたたちだって今はまだ若いんだからこれぐらいすぐに超えれるわよ? それにその伝説なんて私だけで達成できたわけじゃないんだから……さ! 今日は疲れたでしょう! しっかり休むんだよ!」


と言った。

それを聞いて他の者たちは


「「「「「「「「「「「「「はい!!」」」」」」」」」」」」」」


と言って解散し始めた。

中には


「本当にゼルセ様は謙虚ですてきなかたですね~」

「ホントホント!! 私! あの方に一生ついて行きたい!」


と顔を赤くしながら言っていた。

ゼルセは全くと言ったような顔をして立ち去ろうとしていた。

すると


「あの? ちょっとこれから一緒に食事を共にしませんか? お話ししたいことが」


と言った。

するとゼルセは


「メルッデュ、私はあなたのおばさんなんだから遠慮なんていらないよ、そうだねえ、近くで美味しいソーセージの店があるからそこへ行きましょう! あなた大好物だったでしょ?」


とウィンクしながらゼルセは言った。

メルッデュは照れながら


「おばさん、もう子供じゃないんですから……」


と言った。

そして少し城から離れた場所に

ベルべ食堂と呼ばれている店へと入って行った。


「おや? ゼルセ様ではないですか! うちの店にようこそ! こちらの席へどうぞ!」


と言って空いている席へと案内した。

そしてメルッデュは


「おばさん、あの大悪魔を倒した話の男性ですが、まだ会えなんですか?」


と心配そうに言った。

するとゼルセはハアとため息をついて


「言ったでしょ? あの人はもうこの世界にいないの、全く突然現れて突然消えるなんて……何を考えてるんでしょうね、って言ってもそれに関しては神の定めだから仕方ないのかな……」


と言って困ったようにしていた。


--------------------------------------------------------------------------------------


昔、ゼルセは女騎士の鬼と呼ばれたリーダーだった。

そして、大悪魔の討伐が必要であったがことごとくの兵たちが失敗をして生きては帰れなかった。

その中女騎士であるゼルセにもその命令は来た。


「ゼルセよ! あの大悪魔を倒せるものは少ない、だがお前で終わらせるのだ! 命を捨ててもな!」


と王に命令を受けて


「分かりました! お任せください!」


と言った。

だが勝算はなかった。

大悪魔を倒せるものはこの世にいないと言われるほどの強大な脅威だった。

そして世界は悪魔によって滅ぼされるという占いが出るほどの力を有していた。

だがゼルセは断れるわけがなかった。

王の命令は絶対

命に代えてでも部下を守りその大悪魔を見つけて討伐しないといけない


そんな時だった。


大悪魔退治のために遠征を続けていた。

部下たちは震えていた。

大悪魔の強大さを聞いていたからだった。

そんな強大な悪魔に勝てるという自信がなかったのだ、

自分たちより強い兵士たちが太刀打ちできなかった悪魔と戦って生き残れるとは思えていなかった。

途中怖くて脱走しようと企ててしまった者もいるぐらいだった。

いつ終わるか分からない遠征にゼルセも部下たちが先に潰れることを恐れた。

そんな時


「何だ! あの男は! まさか! 大悪魔にやられたのか!」


と言って心配そうに倒れている自分と年が変わらなそうな男に近寄った。


「おい! しっかりしろ! 大丈夫か!」


と聞いた。

すると男は気が付いて目を開けた。

そして


「俺は……そうだ、神様に大悪魔を討てって言われてこの剣を貰ってこの世界に来て……」


と言っていてそれを聞いたゼルセは


「錯乱しているようだな、おい! 水を飲ませてやるんだ!」


と言って男を介抱した。

そして、少し意識がしっかりした男にゼルセはここで何をしているのかと尋ねると名前は渚と呼ばれここにいる理由はやはり先ほどと同じことを言った。

それを聞いてゼルセは


「バカにするのもいい加減にしろ! お前みたいなやつが大悪魔を討伐できるわけがないだろう!」


と言って最初は認めていなかった。

渚も


「すまない、確かにいきなり現れてこんなことを言うのはおかしいだろうけど信じて欲しいんだ!!」


と言ったりしていた。

だがそれでもゼルセは信じられなかった。

そして見覚えのない剣

完全に名刀かどうかも分からない剣だった。

だが渚は神が魔力を宿した剣だと聞いたと言った。

だが魔法も使えるゼルセはその剣から何も感じなかった。

渚は使うときに解放されると言ったが信じることが出来なかった。

2人はそのため少し犬猿になっていた。

だがゼルセは立場上男を放置するわけにもいかず取り敢えず次の町まで遠征に同行させていた。

だがある日


突然のゴブリンとオーガ、そしてその中にはトロールもいた。

だが長い遠征の為疲弊しきっていた女騎士には勝ち目はなかった。

町へと向かってもかなりの時間をかけないと到着は出来ない為、

それなりの時間もかかるうえに大悪魔を早く見つけて倒さないといけない為

休む時間もほとんどなかった。

これはゼルセの誤算でもあった。

しかし


「はあああああああああああああああああ!!」


皆懸命に闘った。

その時


「解放されろ!」


と言って渚の持っていた剣から強大な魔力を感じた

ゼルセは唖然としてあっという間に倒されていくゴブリン、オーガ、トロールと見ているだけだった。

それを見た他の女騎士たちも

大いに喜んだ。

そして次の町で休みを取りながらゼルセは渚に謝罪をした。

そして大悪魔の討伐を手伝ってもらうように頼み込んだ。


「頼む! 恥ずかしい話! 我々では大悪魔を倒せることは出来ない! 倒すためなら手段を選んでいる暇もない! 民間人に頼むなんて恥なのだがもうそれでもいい! 皆を守ってくれ!」


と言って涙を流した。

すると渚はハンカチを出してゼルセの涙を拭き


「大丈夫、そのために僕はここに来たんだから」


と優しい笑顔でゼルセを慰めた。

こうして渚はゼルセ達と遠征をした。

その中で盗賊やアンデットなど様々な敵に遭遇したが

全員で協力しながら進んで行った。

そしてゼルセは遠征の中渚に恋をした。

それは渚も同じだった。

そして、ゼルセは


「なあ、渚……その……何だ……これが終わったら一緒にすまないか? 嫌ならいいんだが……」


と緊張しながらゼルセは渚に聞いた。

同じ思いだった渚はゼルセがどんな気持ちでその言葉を言ったのかは痛いほどわかった。

しかし


「すまない」


と答えた。

ゼルセは悲しそうな顔で


「そうか、そうだな、すまない忘れてくれ!」


と言って行こうとしたが

渚はすぐに抱きしめて止めて


「聞いてくれ!」


と言って自分の事情を話した。

渚はこの世界とは違う場所から神に導かれて来ていた。

そして大悪魔を倒し欲しいと言われてこの剣を貰った。

そして、それが終わるとこの世界から元いた世界へと戻らない時計ないと神に言われていること

それを聞いてゼルセは


「そうか……そうだよな……分かった」


と無理やり自分を納得させた。

そして、大悪魔の居場所をついに見つけて

皆そこへと向かい

大悪魔との戦い

かなりの苦戦を強いられた。

その戦いで死んだ女騎士たちもいた。

しかしゼルセと渚の活躍もあり

大悪魔の討伐を見事成功させることが出来た。

だがその直後渚は光に包まれた


「ごめん、皆……お別れの時が来たよ……」


と悲しそうに言った。

他の女騎士も涙を流しながら行かないでと言った。

しかしゼルセは


「皆! 最後こそ! 笑顔でお別れをしよう! 渚が私たちに出逢えたことを後悔しないように!」


と言った。

それを聞いて渚は


「ありがとう、ゼルセ、優しいゼルセ、愛しているよ」


と言って涙を流しながらも笑顔を見せた。

ゼルセも泣きながらも笑顔でお別れをした。

そして、渚の伝説はその世界では伝わることはなかった。

いない者に伝説の歴史はつけれないと王に言われてしまったのだ、

ゼルセと共に女騎士は抗議したが聞き入れてもらえなかった。

そしてゼルセ達が大悪魔を討伐したという伝説だけが残った。


------------------------------------------------------------------------------------------------


そしてゼルセはその思いを忘れずにずっと結婚しないでいた。


「あれからどうしたのかしらねえ、渚は……」


といつも寂しそうにしていた。

メルッデュは


「おばさん、それでも私はおばさんを尊敬します、大悪魔を倒すのにおばさんの力は必要だと思います! その渚さんとおばさんが力を合わせて倒したって伝説は今でも我々女騎士の中で伝説となってますので!」


と言って励ました。

それを聞いてゼルセは


「ありがとう」


と言って嬉しそうにした。


ゼルセはメルッデュと食事後自宅に戻り布団に入った。

そして夢で昔一緒に遠征をした渚のことを見た。

そして目が覚めてしまい


「全く、眠れなくなっちゃったよ……」


と言って外へと出た。

そして風に当たっていると突然あたりが明るくなった。


「!!」


ゼルセは警戒をした。

すると

自分の体が浮いた。


「! なんだい! これは! まさかお迎え! 死んでしまったらこんなものなの!」


と驚いたが


「まあいいか、今度生まれ変わったら渚と一緒の世界で生まれたね……」


と言って目を瞑った。


----------------------------------------------------------------------------


ゼルセは目が覚めた。

そこは見たことがない物が置かれていた。

置物かとも思った。

すると壁が突然左右へと移動した。


「これは……」


ゼルセは驚愕した。

するとそこに二匹の生き物が出て来た。

見たことがないモンスターだった。

すると2人は


「マリョクモラッタ、マエノセイキシオニイサントハチガッテニンゲンニシテハセンレンサレテイル」

「オシロカラメヲツケテオイカケテヨカッタネオネエチャン」


と言って二匹はとても仲が睦まじそうだった。

それを見てゼルセは


「あの? ここは天国ですか?」


と聞くと二匹は顔を見合わせて


「エ、チガウヨ……ココハワタシタチノウチュウセン、アナタカラマリョクヲモライマシタ、モウアナタハマホウハツカエナイヨ、デモベツノチカラヲツケテアゲルカラアンシンシテ」


と一匹が言った。

それを聞いて


「あらあら、勝手にとっちゃだめじゃない、いつもそんなことをしてるの?」


とゼルセは優しく諭した。

だがもう一匹は


「ダメナノ? デモホカノチカラヲアタエテルンダカラモンクナンテナイハズダケド?」


と言った。

ゼルセは


(ああ、この二匹にはあまりそういうことが分からないのね……)


と感じて


「あのね? そんなことをしたら悲しむ人もいるのよ? もうちょっと考えることできない?」


と聞いた。

だが2人は


「「ソンナコトハベツノチカラヲアタエレバイイダケノハナシ」」


とだけ答える。

それを聞いてゼルセはもうそういう種族だと思うことにした。

すると


『申し訳ございません、この二人は言っても聞かない上に地元でも同じように変な奴等でして……』


と代わりに謝った。


「あら? もう1人いたの? あなたも苦労しているのね?」


と優しそうな笑顔で言った。

それを聞いたのか


『全く私も苦労しますよ! でも2人のおかげで魔力調達も進んでるんですよねえ、マザーからはこの二人はこのままの方が良いという命も受けているので従うしかないんですよねえ』


と言っていた。

するとゼルセは


「そうなの? そういえばあなたの名前は?」


と聞いた。

すると


『申し訳ございません! 私はペルペルです! そこの箱の知能機械で作られているので多分わからない技術ですからそういう者だとお考えください!』


と言った。

すると


「私はゼルセって言うの、よろしくね」


と優しそうに言った。

ペルペルは


『ありがとうございます、で、申し訳ございませんがあなた様の魔力は貰わせてもらいました、私たちも必死なので、しかしあなた様に別の力を与えますがどうしますか!』


とペルペルは聞いた。

ゼルセは


「それって力じゃないとだめなの?」


と聞いた。

それを聞いたペルペルは


『どういうことですか?』


と確認をすると

ゼルセは


「会いたい人がいるの、でもその人は別の世界にいて……出来たらもう一度会いたくて……」


と言ってみた。

しかしゼルセは期待をしていなかった。

渚は神から導かれたと言っていたので

それが出来るのなら神しかいないと思ったからだった。

しかしペルペルは


『余裕ですよ!! ちょっと記憶を読んでも?』


と聞いてきた。

ゼルセは


「痛いのはいやよ?」


と言うと

ペルペルは


『大丈夫ですよ、では開始します!』


と言って二匹を無視して開始した。

そしてゼルセの頭に何か球体のようなものを被せて

ビーン!!

と音が鳴り


『終わりました』


と言った。

ゼルセは驚きながら


「あら早いのね」


と言うと


『えーっと、渚様、住まいは地球ではありますが確かにこことは別世界ですね、大丈夫です、てか我々が最初に目指した場所なので』


と言った。

それを聞いてゼルセは


「!! 本当に! でもこれって神しかできないのでは!」


と言った

するとペルペルは


『えーっと我々の住まいでは神は信じていなくて科学と言われるもので説明がつくのですよ、まああなたの地元で言う魔法みたいなものです』


と言った。

ゼルセは少しわからなさそうにしたが


「まあ、そうなの?」


とだけ言った。

二匹は


「デハレッツゴースルノ?」

「スルノ? ペルペル?」


と聞いてきた。

ペルペルは


『当たり前です!』


と言い切った。

するとゼルセは


「あ! 待って! 少し手紙を書きたいんだけど!」


と言った。

そしてペルペルは


『私が代筆しましょうか? あなたの字で書けますよ?』


と聞いてきた。

そしてゼルセは


「それはダメ、私自身で書きたい」


と言って手紙を書いて


「ペルペルちゃん? これを姪に渡してくれない?」


と言ってペルペルに託した。


『分かりました』


そう言って


「デハレッツゴー」

「レッツゴー」


と二匹は言った。


-----------------------------------------------------------------------------------------


メルッデュはゼルセの家に来ていた。

だが様子が変だった。

何処にもゼルセがいないのだ

心配になって探したが見つからなかった。

しかし一つの手紙を見つけた。

そこにはこう書かれていた。


『ごめんなさい、私は渚に会えるかもしれない、そのため、この手紙を書きました。

メルッデュ、本当にごめんね、どうしても彼に会いたいの……わがままを言っているのは承知よ、でもお願い、この我儘は叶えさせてください』


とだけ書かれていた。

それを見たメルッデュは


「全く、それぐらい大丈夫ですよ……おばさん、ずっと我慢してたんですからこれぐらい」


と言って涙を流した。

そして


「さようなら、おばさん」


とだけ言って空を見た。


------------------------------------------------------------------------------------------


1つの長屋があった。

そこには1人の老人が住んでいた。

するとひとりの少女が


「おじいちゃん、ご飯だよ」


と言って老人を呼んだ。


「ああ」


と言ってよろよろと歩いて行った。

少女は


「今日はね、おじいちゃんの好きな鮭だよ」


と言って渡した。

すると老人は


「ああ、懐かしい、遠征の時によく食べたよ」


と言った。

少女は


「おじいちゃんまたその話?」


と言って困ったような顔をした。


-------------------------------------------------------------------------------


ゼルセは見たことのない世界に来ていた。

ペルペルからは詳しい情報を貰った。


『これでこの世界でも何不自由なく過ごせるでしょう! それではお幸せに!』



と言ってここに降ろされた。

そこはビルの裏で出たところには人通りがあった。

そしてゼルセは渚に会うためにペルペルからもらった地図を開いた。

ゼルセにとって遠征時に地図を読む機会が多かったため

後はペルペルに聞いた情報と照らし合わせて突き止めることが出来た。

すると一人の老人と少女が長屋から出て来た。


「間違いない、渚だ……でもあの少女」


少女は手を繋ぎながら渚と歩いていた。

それを見てゼルセは


(ああ、そうか……そうですよね、いい人見つけたんですね、私と違って……)


と少し辛そうにした。

しかし


(でもせっかく来たんだからもう少し見てから家でも買ってこの世界に住もう、渚のいる世界にこれただけでも幸せなんだから……)


と考えて渚の後をつけた。


すると少女は


「ねえおじいちゃん? どうしておじいちゃんは結婚しなかったの? もしかしていつも話している遠征がどうとかの話?」


と少女が言った。


「!!!」


ゼルセは


(結婚……してないの……どうして!)


と思った。

すると渚は


「そうだよ、遠征の時のあの人が忘れられなくて見合いも断ってしまってね、気が付いたらこの年になっていた。もう会えないって分かっていてもついね」


と言って笑っていた。

少女は呆れながら


「まあおじいちゃんはお母さんのおじさんだし、私も見るのは嫌いじゃないけどその年でも結婚している人がいるんだからその人にでも見てもらった方がおじいちゃんも幸せじゃない? 恋は大切だよ!」


と言った。

だが渚は


「ありがとう……心配してくれて、でもワシは待つよ……」


とだけ言った。

少女は


「もう、頑固なんだから」


と呆れた。

それを聞いてゼルセは


(……バカだね、私の事なんて忘れればよかったのに……)


と少し安心した。

そして少女が


「じゃあおじいちゃん私飲み物買ってくるからこ・こ・で! 待っててね!」


と言って自販機へと向かった。

そしてゼルセはそれを見計り

渚へと近づいた。

そして


「お久しぶりですね」


と言った。

渚は


「アンタは……どうしてここに……」


と言うと

ゼルセは


「神様とは違うけど、私もこの世界にこれたんだよ……全く、私のことは忘れて結婚すればいいのに……」


と呆れながら嬉しそうに言った。

渚はそれに勘付いて


「お前はどうなの? ゼルセ?」


と聞くと


「私も同じだよ……バカ」


と言った。


--------------------------------------------------------------------------------------


こうして2人は結ばれた。

2人は年を取っているため長い時間は過ごせなく

子供も生まれることはなかったが

それでも幸せな時間を過ごして

一緒の日に仲良く添い遂げた。


5キャトルミューティレーション『元女騎士』 終わり


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ