6 異世界到着
「ふぅ、着いたな」
俺は周りを見渡した。美恵、逸樹、勇気が居ることを確認しホッとした。よくありがちのバラバラに飛ばされることは無かった。これだけでもかなり嬉しい。バラバラに飛ばされたらもう二度と会えない可能性もあるからね。
「みんな無事か?」
「ヒロヒロ、大丈夫だよ」
「おう」
「パパ、森だよ」
そう、俺たちが飛ばされたのは森だった。木々の背は高く日の光も入りにくい、けど、空は見える。太陽は高くないしちょっと涼しい感じがする。午前中かな今の時間がわからない、今までの感覚なら午前中、植物を見た感じなんか寒そうな地方の植物じゃないな。そして人の手が入っていない森だろう、周りを見渡しても人が歩いた形跡はない。
不味いなこのパターンなのか、この森には超強い魔物がいる可能性があるのか。人が立ち入らない森は危険だが、初っぱなから死ぬわけにはいかん。
「よし!みんな集合」
初めのみんなキョロキョロ周りを見てたけど呼ばれると急いで集り自分たちの姿に気が付いた。みんなさっきまで着ていたジャージじゃなかったのだ。何処かのRPGで初期装備の布の服みたいな服装だった。腰には刃渡り20センチ位の短剣があった。靴は何かの皮で出来たサンダルだった。
「とりあえず、異世界到着だな。服装が変わったのはびっくりだったな。ジャージよりましか、でもパンツとTシャツはそのままだし、そしてこの短剣は女神アイシャからのサービスだろうな。皆の衆、女神アイシャに感謝を。」
みんな胸の前で手を組み、感謝のポーズ。みんなノリがいい。横で小さな声で美恵が「もっといい服にしてほしかった。」ってぼやいてたけど無視。勇気に至っては「宝くじ当たります様に」ってなんじゃそりゃ。
「感謝止めー。しかし、森のど真ん中に転移とかドンだけ焦ってるんだよ。今度会ったら文句言ってやるか。」
とか、みんな笑いつつ話を続けた。
「まずは村に行きたいけれど、多分無理だ。この森ヤバそうだ。」
「その根拠は」
逸樹のツッコミ。
「俺のゴーストがそう囁くからさ。」
誰からも応答なし、お父さん負けないぞ、っと。
「えっと、とりあえず村に行くまでに魔物にやられたくないけど、村の方向が判らんから、まずは水、食料、安全な拠点、今は午前中と俺の勘が言っているのでそのつもりで行動するで。」
そう言うと周りをよく見た、そして、聞いた。水の音は無いな。どうしたもんだか。水場の近くに拠点を作りたかったんだがな。水場探しに逸樹の召喚獣はつかえないか?
「おい、逸樹、召喚で狼出して水場探せるか?」
「あいよ、やってみるわ、【召喚】ホワイトウルフべべ」
すると逸樹の前に魔方陣が光り狼小が出現した
「よし、来たなホワイトウルフべべ、ちょっと名前長いな、よし、お前はホウベだ。お前に仕事を与える。この周辺で水場を探してこい。敵との遭遇時は逃げろ。行け!」
逸樹がそう命令するとホウベはワンと吠え走り出した
「ありがとう逸樹、そして、次は安全な拠点だな、まずは仮拠点だ。勇気、【ブロック】のスキル使ってそこら辺整地している。中を5×5高さ2壁厚2で家作れ、中が暗いから女神の所で取ってきた光るブロック天井にはめとけ」
「了解であります。」
壁厚2メートルあれば土でもかなり耐えられるだろ。次は食料かこれは美恵だな。
「よし、美恵、とりあえずお前の【完全鑑定】でそこら辺の植物食べられそうなの集めて、そして、勇気、ゴーレム一体創って、お母さんの手伝いさせろ」
「【クリエイトゴーレム】」
すると勇気の前に魔方陣が出て小さなゴーレムが出現し、それに向かって勇気が命令をした。
「ゴーレム、お母さんの助手に任命する。お母さんの言うことをしっかり聞くように。」
すると、ゴーレムはシュタっと敬礼をし美恵の方に歩いて行った。
ゴーレムのその行動に俺は、思わず口が開いてしまった。なんか、俺の考えていたゴーレムの行動と違うな。創った人の性格とか影響するのか?
「じゃ、ヒロヒロ行ってくるね。じゃ、行こうかゴーレム」
そう言うとゴーレムは美恵の後を付いていった。
これって、普通なのか?ゴーレムの命令権の移譲ってこんなに簡単なのか。まっ、いいか。
「あんまり遠くに行くなよ。それと逸樹も手伝わせるわ。逸樹も行ってこい。いざとなったらゴーレムを囮で逃げてこい。」
「へ~い」
「は~い」
なんかザルな計画だな、怪我人が出ないと良いな。
それじゃ次は自分の出来ることの確認だな。【アイテムボックス】の使い方と、なし崩しにもぎ取った【クリエイトスキル】か、とりあえず、【クリエイトスキル】【異世界転移】と念じてみた。すると、《ブブー!レベルが足りません》、なんじゃそりゃ、じゃ次は【スキルクリエイト】【不老不死】、《ブブー!レベルが足りません》、ヤバいレベル低すぎってことか。何が創れるか片っ端からやってる時間が惜しいな。とりあえず後回しだ。
次は【アイテムボックス】の使い方だな。そこら辺の石でも拾って収納って念じてみた。すると手のひらから石がなくなった。次は取り出しか、こういう時は【アイテムボックス】と念じてみた。すると目の前に半透明のウィンドウが出てきた。石のアイコンの横に石と名前が出ていたのでそれを押してみた。すると目の前の地面に石が置かれていた。
次の実験だ。もう一度石を【アイテムボックス】に入れ、次は【アイテムボックス】のウィンドウを開けずに石を取り出すイメージをしてみた。すると石は先ほどと同じ様に地面に置かれていた。もう一度、石を収納し今度は広げた手のひらの上に石を取り出すイメージをしたら、予想通り手のひらの上に石が出てきた、そして、もう一度、石を収納し今度は、目の前の高さ2メートル位の所に出すイメージをした。すると石はイメージした場所に出てポトリと落ちた。そして、繰り返し出現位置の確認し、自分を中心に半径約3メートル高さ3メートルの円柱内に出現出来た。次はこれが出来たら攻撃に使える。俺は木の近くに行き、木の中に石を出現させるイメージをした。しかし石が木の中に出現した感じはなかった。【アイテムボックス】の中を見たが石は消えて無かった。
まだまだ、俺の実験は続く、収納範囲と条件だな。ここら辺であるもので実験だ。地面から生えている木とか花、草は地面を離れないと収納出来ない、大きな岩は明らかに埋まっていない物はそのまま収納出来た。次に接触していないと収納出来ないのか?結論から言うと出来る。距離が安定しない。最長で10センチメートル位しか離れて収納はできなかった。取り出しに比べて余りにも微妙、なんか有りそうだな、次は飛来してくる物の収納は、石を自分の頭の上に投げ落ちてくる時に収納、成功した。手に当たる前に収納出来た。
そんなとき、勇気の声が、
「パパ家出来たよ」