第44話 新たな力、魔力
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「やった! 凄いぞ、金貨50枚だ!(5000000G!G=円。日本円で500万円ほど)」
「凄いっ、エノム、凄いよっ!」
「クロロ、旨いもの食べにいくぞーっ!」
「うん! やったー!」
◇◆◇◆◇◆
俺は今、王都の中央に位置する噴水広場にいる。クロロと豪華なランチに洒落込もうと掲示板にある地図でレストランの場所を確認しにやって来ていた。
――いや、ごめん。大金を手に入れたからちょっと浮かれている。
だってまさかまさかの金貨50枚だ。あり得なくない?
ちなみにギルドから貰えた報酬の内訳はこうなっている。
『辺境のオロビアのダンジョンの攻略』
⭐⭐
『オークの討伐』
⭐⭐
『スライムロードの討伐』
⭐⭐⭐⭐⭐
『ゴブリンロードの討伐』
⭐⭐⭐⭐⭐
『タリナムの街の防衛とゴブリン軍の討伐』
⭐⭐⭐⭐⭐⭐
羊紙皮に書かれた内訳を見ると星6つのタリナムの街を救ったので金貨30枚だ。スライムロード、ゴブリンロードはどちらも金貨10枚だった。(銅貨一枚は千円、銀貨一枚は一万円、金貨一枚は十万円ほど。通貨はGで1G=1円)
くっくっく。これは笑いが止まらない。これで当分はお金に困らない。
あとは……、このギルドプレートさえ使えれば最高なんだけど。
「うーん、マナを込める、マナを込める……。できない! これが使えないとお金が払えないから何もできないじゃないかっ!」
「頑張れ、エノム、頑張ってよー!」
「くっそー、どうすればいい? マナってどうやれば使えるんだ?」
俺はギルドプレートを右手に持ち、左手の掌をギルドプレートに向けて、魔力を込めるような気持ちで力みまくってみた。
しかし……、ダメ。一向にギルドプレートに変化はない。ヤバイぞ、俺って魔力ないのか?
「あのう、エノムさん。どうされたんですか? 何かお困りのようだけど……」
噴水の前で四苦八苦している俺に声かけてきた少女が一人。
今まで気が付かなかったけど、朝に俺を訪ねてきたあの女の子だった。
「あ、キャロット、だよね。ははっ、偶然だな。……全然気が付かなかったよ」
「ええ、私も少し前に気が付きました。でも、なんだか一生懸命だったので……。どうされたんですか?」
あー、ヤバイ。恥ずかしい。めっちゃ恥ずかしいわ。数少ない俺を知っている人物にこんな所でこんな恥ずかしいとこを見られるなんて。
「あのね、エノムね、ギルドプレートが使えないからレストランに行けないんだよ。」
クロロが正直にそのままを告げる。やめて、恥ずかしいから。
「あら、可愛い。お名前は? 私はキャロット・オリバーっていいます」
「クロロだよ。あのね、エノムがね、ギルドプレートの使い方がわからなくて大変なの」
「? ギルドプレートの使い方? マナを込めればいいのよ?」
キャロットは至極当然のようにマナが使えるのだろう。こうなれば恥ずかしいなんて言ってられないぞ。死活問題になりうる。
よし、聞こう。聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥。……だっけ?
「あのさ、マナってどうやって込めるの?」
「え? えーと、そうですね、ギルドプレートに魔力を込めるには言霊から始めればやり易いと思います。というか、子供の頃にはこのやり方から始めます」
「……言霊?」
「はい。言霊です」
「……言霊ってなんなの?」
「え? 言霊は、えーと、そうですね、マナを使用するためのキーワードみたいなものなんですが……本当に知らないんですか?」
「うん。……変だよね。俺」
キャロットは驚いたような表情で最初は戸惑っていた。
が、暫く考えこみ、俺が本当にマナの使い方を知らないと信じたようだった。
「最初は私をからかっているのかと思いましたが、本当に知らないのですね。正直、信じられないです。エノムさんの強さからしてマナの使い方、ましてや言霊すら知らないなんて……。ですが、その様子だと本当なのですね」
「うん。驚きだろうけどね。もしかして俺って魔力ないのかなとか思ってる」
「ふふ、そんなことはないので大丈夫ですよ。この世界の全ての命にマナは宿っているそうですから。そして言霊とは決まったものでもありません。なんでもいいんですよ。マナを使う時のスイッチみたいなもので慣れればそれも必要なくなります。……そうですね、この場合は「生命の源にして全能たるマナよ、ギルドプレートに宿りたまえ!」みたいな感じでいいと思いますけど」
「なるほど、よくわかったよ。イメージは掴めた、ありがとうキャロット」
キャロットの説明はすごくわかりやすかった。さすが主席ね騎士候補生だな。
なるほど、言葉に出して言うことが結果としてマナを使うスイッチになると。思うだけや力むだけじゃ形にもならないってことだな。
「よーし。やってみるか、マナよ、俺に宿る生命の源よ、ギルドプレートに宿れ。ギルドプレート、オン!」
何となくノリでやってみた。だが、直ぐに信じられないようなことが起こったんだ。
ギルドプレートは銀色に輝き、その表面には文字が浮かび上がる。
何となくギルドプレートを持っている右手が虹色に光ったような気がした。
「おおっ、スゲー! 出来た!」
そこには俺がギルドで登録したこと、それに5000000Gの文字が浮かび上がっていた。
「やった! ありがとう、キャロット。君のお陰だ、やったぞ、クロロ!」
俺はこの世界に来て初めて、新しい力、マナの力の一端に踏み込んだんだ。
最後までお読み下さりありがとうございます。
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