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第42話 新たなステージへ

これにて第2章の完結となります。楽しんで頂けたら嬉しいです。

 

 朝食を食べてから部屋に戻り、出かける準備をする。マントを羽織り、魔剣のレーヴァを腰に下げる。女将さんにはもう一泊することを伝えてから出かけることにしようか。


 けど……金がギリギリだな、これも問題だ。だけど――。


 正直、俺はこれからのことを悩んでいた。

 何を悩んでいるかって? それは俺がシャロン姫を救いたいってことさ。うん、助けてやりたい。


 シャロン姫の呪いをなんとかしてやりたいし、シャロン姫を狙っている魔族もなんとかしたい。

 ――けど、なんとかしたい、ばっかりじゃ何もできない。俺にこの状況をなんとか出来るような力は無いんだ。


「どうしたの、エノム? なんか難しい顔してるよ」


 隣で歩く獣人族の女の子、クロロが俺の顔を不安げな表情で見上げていた。ダメだ俺は。クロロにこんな顔させるなんて。


「ごめんごめん、考えごとしてたんだ。これからどうするかをね」

「これから? ギルドって所に行くんでしょ?」


「いや、さっきまではそう思ってたんだ。ギルドの冒険者になってダンジョンを攻略したり、魔物を倒して経験値とお金を稼ごうとか考えてたんだけどね……」


 果たしてそれでいいのか? バーティッド王はシャロン姫の呪いの猶予は半年程だって言っていた。


 ――つまり、半年以内で俺は強くならないといけない。

 勿論、俺が何かをしなければならない訳じゃないし、バーティッド王も準備が出来たらシャロン姫を救うために行動にでるだろう。


 俺は――――。強くなりたい。そうだ、俺は強くならなくてはならないんだ。

 タリナムの街がゴブリンの大群に襲われた時のことを思い出せ。

 ゴブリンロードを倒した時のことを思い出せ。


 もしあの時、女神アルティシアからレーヴァとこの装備を受け取ってなかったら? 俺は何かを守れたろうか? 考えただけでゾッとする。


 いや、考えられない。考えたくないんだ。この世界での運命はまさに紙一重。力を持たない者は力を持つ強者には逆らえない。

 守れなかった言い訳に何の意味もない。


 守れないなら守れるようになれ。それがこの世界の生き方だ。

 今、俺には選択肢も猶予もある。考えろ――。


 ――俺ならやれる!


「…。 ……! エノム!」


 クロロの俺を呼ぶ声に我にかえる。また考え込んでたらしい。


「……ごめん、なんだい、クロロ?」

「エノム、大丈夫? クロロって邪魔になってる?」

「え? 何を言ってるんだよ、そんな事は無いよ、違うんだ。ごめんな、心配かけてるよな。俺、正直迷ってるんだよ」

「え? 迷うって、何に?」


 クロロはきょとんとした表情で俺を見上げる。クロロのこういった仕草に救われる自分がいることに気が付く。

 守ってやりたいって気持ちか、こんな気持ちになる自分に驚く。


「俺はさっき、オランドゥさんに会えたことに感謝しなくちゃな」

「?? 意味わかんないよー、エノムー」


 そうだ、迷うな。俺が何をやれるかはもうハッキリしてる。


「いや、うん、決めたよ。俺は魔法を身に付けるよ、クロロ。俺は魔法を使いたい。自分の可能性を高めたい。俺は魔法学院に行く!」

「魔法学院? 魔法のお勉強するとこ?」

「そう、オランドゥさんが言ってたろ? この王都には魔法学院っていう魔法使いの為の学舎がある。俺はそこで魔法の勉強をする、そして魔法を会得してみせる!」


「うん、やれる、エノムならやれる! 魔法! がんばれー」


 クロロは、無邪気な笑顔で俺を応援してくれる。俺に感覚(センス)があるかはわからないけど、やることにも意味はきっとある。魔法が使えれば俺の視野も広がるはずだ。


「それじゃ、その魔法学院にこれから行くの?」

「ん、そうだな。――まずはやっぱりギルドに行くよ。ギルドでも知りたいことがあるから。俺もこの世界のこともっと勉強しなくちゃな」

「? この世界? よくわかんないけど頑張ってエノム!」

「ああ、クロロも一緒にやろうな」

「え? いいの?」


 クロロは驚いた表情で俺を見上げた。


「ああ、勿論だ。一緒に勉強だ!」

「やったー! ありがとうエノムー! ――でも、クロロは獣人だよ!?」

「ん、そんなの関係ないだろ? それにもし断られたら俺がバーティッド王に頼みにいくよ、大丈夫。」

「うっわーい! やったー! エノムと頑張る、エノムと一緒!」

「うん、でももし嫌なったりした時は言ってくれよ? その時は相談しような」

「ひっひっひ。大丈夫大丈夫! クロロは出来る子だから」

「頼もしいな、俺も負けないぞ、クロロ!」


 そうだ、やれる! 剣術も魔法も知識も、全部を手に入れてやる。

 それからだ。それからが俺の本当の魔眼術師としての冒険譚の始まりだ。


 先ずは、魔法だ。魔法学院、そこで半年以内に魔法を極めてやるぞ。その後に剣術だ。こっちはそれなりに自信はあるし。


 それからだ。きっちりと力をつけてからシャロン姫の呪いをなんとかしてみせる!


 ――いや、先ずはギルドでお金を稼がないといけないかな。



最後までお読み下りありがとうございます!


これから、また違うステージへと進むエノムを応援、よろしくお願いいたします。

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