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第35話 出合いはドラマチックに

 

「そ、そんな……。『呪い』なんて……」

「あの魔族、レイエスはそれでもまだ力を隠していたよ。」


 マジか、これは恐ろしい。呪いなんて、そんな不確かなものがあるなんて。

 い、いや、それこそこの世界はそんなことばかりなんだ。どんなことがあっても不思議じゃない。魔族、関わったら只じゃ済まないぞ。


「そ、それでシャロン姫は?」

「それは、まあ……無事だよ。姿を変えられたと言ってもそれほど困ってはいない。問題は猶予がないことなんだよ。もってあと半年、それまでに何とかしないと娘は死ぬことになるだろうな」

「えっ! そんなっ」


 そ、それでか。その『呪い』からシャロン姫を救う為には不滅のレイエスを倒さなくちゃならないんだな。


「シャロンを救う為にはあの魔族から『呪い』を解く方法を聞き出すか、倒すしかないだろう。勿論、倒してシャロンを助けるがね。あの魔族は脅威だ。だが、奴は強い。迂闊に手を出せば二の舞か、娘を助けることは出来ないだろう。だからこそ、力ある者を集めているのだ」

「王様、話は正確にお願いします。あの魔族はシャーロット姫を助ける方法として1つの要求をしてきたでしょう。話すのが嫌なら私がお話しますが」

「……」


 え? 何々? 要求ってどういうこと? バーティッド王の顔が険しいぞ。


「まあ、あれだよ。そんなことは絶対に無いことだがね……奴は娘を差し出せば娘の命は助けるなどとふざけたことを言ってきたのだよ。つまり、シャロンを妻にするとね」

「! な、なんて不届きな野郎なんだ! 自分で呪いなんてことをしといて! しかもこの国の至宝を妻に? それは許せない、とんでもない野郎だ」

「その通りだよ、エノムくん。だが、あの『呪い』を解かないことには娘は助からない。だからこそ力を貸して欲しいのだ。私はあの魔族を倒した者にはどんな褒美も与える。それが例えこの国の王の座だとしても、娘を妻に望んだとしてもだ」

「はい? ……それ本気で言ってます?」


 おい、おいおい。マジか、バーティッド王。それは流石に、いいの?


「勿論だ。だが、王の座を望むなら私と一騎打ちして勝ってみせること、娘を妻に望むなら娘がそれを了承することが条件になるけどね」


 バーティッド王は満面の笑みだ。これはどちらも無理そうですね、はい。それならやっぱり褒美なら金銀財宝になるのかな? あ、神話級武器(アーティファクト)ってのもあるか。


 ……いやいや、俺にはそんな魔族を倒すなんて無理だけどさ。


「王様、そろそろ時間です。エノムくんにも考える時間が必要でしょうから」

「ああ、そうだね。エノムくん、君に会えてよかったよ。これは強制や王命などではないから断ってくれてもいいんだ。だが、考えてみてくれないか。あの魔族はこれからも何をするかわからないからね」

「は、はい。考えてみます」


 バーティッド王は玉座に戻る前に俺の肩にポンと手を置いた。その手はまさに歴戦の戦士、【武神】の手だった。


 うーん、なんか期待されてるような。すると玉座に戻るバーティッド王が 立ち止まり振り返った。


「最後にいいかな? エノムくんの瞳は黒いが金色に輝くそうだね? それは本当なのかい? ギルドの報告書に記載されていたのだが、その、気になってね」

「え? は、はい。えーと、それは魔眼術師の特有の病気みたいなものでして……」

「王様、私とここに向かう途中にもエノムくんの瞳は金色に輝きました。間違いなく、金色でした」

「そうか、すまなかったね。病気とは知らなかったんだ」

「い、いえ、いいんです。慣れてますから。それじゃ、王様。俺はこれで……」

「うむ。急に呼び出したりしてすまなかったね。また、近いうちに返事を聞かせてくれ」


 俺はバーティッド王に頭を下げて、謁見の間を後にした。

 色々と聞いたけど、全部が驚くことばかりだったな。宿に帰ってちょっと考えを整理したい。


 あ、その前にクロロだ。ランスロットの奴が暴れ回るからクロロが怖がって何処かへ行ってしまったんだ。探さないとな。


 俺はシルクの絨毯が敷かれた階段を下りてあのランスロットと戦った広間に来た。回りは綺麗に片付けてあった。よし、ちゃんと掃除したようだな、ランスロットは。


「おい貴様。王の要件は聞いたのか?」

「うわっ! な、なんだよ、居たのか。置物みたいにしてるなよ、ビックリしたろ、ランスロット!」

「俺は守護騎士なのだ、当然だろう。本来なら貴様のような奴は叩き出してやるところだがな」

「あ、そうだ、シルヴィア団長も守護騎士なの? 俺が来た時にここに居たけどさ」

「騎士団長なのだぞ。そんな分けないだろう。先程は……、その、たまたまだ。珍しくな、うむ」


 おいおい、嘘が下手な奴だ。きっと俺が呼ばれたからだよな。

 それに最後に俺の魔眼について聞かれたけど。やっぱり目が金色に光るなんてこの世界でも無いことなんだな。


「そうだ、クロロを見てないか? お前が暴れ回るからクロロが何処かへ行ってしまったんだ。迷子にでもなったら大変だよ。この城はデカいしさ」

「ん? あの獣人族の子供なら来ていないぞ。それより貴様、王にはなんと─」

「おーい、エノムー」

「ん? クロロか?」


 おっ、この声はクロロだ。呼ばれた方を見ると、淡い色のブラウスにホットパンツ、スラリとした足には洒落たブーツを履いている。


 なんだなんだ、クロロはいつの間にか可愛らし服に着替えている。

 居なくなったと思ったらどうなってんの? ん、誰か凄い勢いで走ってきたよ? え? 何?


「あれは、シャロン姫」

「!?」


 な、なんだって? シャロン姫? え? そんな分けないだろう? ランスロットは何を言ってるんだ? てか、え? 凄い走ってきたよ?



最後までお読み下りありがとうございました!

物語がやっと動き始めました。次回、ご期待下さい!


と、言ってみたかったです。できれば読んでみて下さい。

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