第31話 シルヴィア
「さあ、それではバーティッド王がお待ちです。今回は特例としてその剣は帯剣したままでもいいでしょう。私が許可します」
「なあ! 何を言ってるんですか、団長!!」
「いいのですよ、エノムくんに危険はありません。それにその気があるならバーティッド王が直に対処されます。お気をつけて」
「……確かに。その程度の腕なら危険はないでしょう、王には」
ランスロットは不貞腐れたように吐き捨てた。けど、アンタその程度の奴に負けたんだからね! 面倒くさいから言わないけど。
「なんだ? 何か言いたいことでもあるのか?」
「……何もないですよ。でもクロロがいなくなったから探しに行ってもいいかな?」
「馬鹿者、小娘と王とどちからが多忙か考えろ」
くっ、確かに正論。コイツめ、デカイ図体してさっきから理論派じゃないか。まあ、クロロに危険が及ぶことはないだろうからいいか。
クロロも先程のことで王様に会うのが嫌になったかもしれないしな。
「さあ、ここからは私が案内します。行きましょう、あの子なら大丈夫ですよ」
そう言うとシルヴィアと名乗った白銀の騎士はフルフェイスの兜を脱いだ。
「おおう!?」
あっ、変な声出ちゃった!
「? どうしました」
「い、いえ、なんでもにゃいです」
あっ、噛んじゃった。って、メチャメチャ美人じゃないか!
てっきり歴戦の猛者みたいなゴツイ女性だとばかり想像してましたけども。それにしてもこんな華奢な体で騎士団長? これは何か秘密があるのかな? これは是が非でも裏分析を……じゃない、【分析】をして強さの秘密を覗き……じゃない、調べてみよう。行くぞ、シルヴィア団長を『アナライズ』だ!!
名前 :シルヴィア
LV :35
種族 :ハーフエルフ
職業 :王国騎士団 団長
固有 :エルフの血縁 【精霊魔法】
スキル:剣術:S 盾:A
弱点 :ツンデレ
▼
「!!」
げげっ! マジ?? ハーフエルフって何? まさかの半分人間、半分エルフってやつですか?
って、これ大丈夫なのか? 俺すごい秘密を知っちゃた? 公けの情報なのかな。道理で凄い美人なわけだ、エルフってかなりの美形な種族らしいからな。レベルが35ってめちゃ強いし。
それに、この女性、ツンデレ?
「どうしたのですか? 私が何か? その眼、それが魔眼なのですか?」
シルヴィアさんは俺の眼が金色に輝くのを見逃す筈はないよな、ヤバい。
「あ、いえ。たまにこうなります。気にしないで下さい」
やっべー、こんな子供みたいな言い訳、俺ってアホなの? でもここまで来たら裏アナライズだ!
いけー! ▼ ぽちっとな!
名前:シルヴィア 独身
年齢:20 (人間的年齢)
身長:171
B :83
W :52
H :83
容姿:美人・神 美乳 褐色 銀髪 銀瞳
攻略:可能
「おおっ!!」
なんだとっ
なんだって?
美乳とな!? しかも色々と意味が、人間的年齢って?? 謎多き女なのか? そうなのか?
「なんだ、貴様。急に焦り出しておって、さっきの余裕は何処に行ったのだ? まさかバーディッド王に会うのが怖くなったのか?」
ランスロットも俺の様子がおかしいことに気が付いたようだ。くっそう、コイツの情報はいらないな!
よし、コイツは無視だ! ここは何とか誤魔化して王に会いに行こう!
「いや、シルヴィアさんって団長なんですよね? それなのにそんな若くて美人だからびっくりしたんですよ。その銀色の髪の美しさにその褐色の肌なんて組み合わせはまさに『美のコンボアタック』じゃないですか! それにその美しさという言葉を具現化させたようなその顔立ち! その冷たく感じさせる瞳の奥には聖母を思わせるような温もりがある! 俺には解るんだ、貴方は超美人だ!」
あ、ヤバい、これじゃ只の馬鹿。やり過ぎた。二人とも引いてるぞ……。
「……貴様何を言ってるんだ? 本物の馬鹿者のようだな、団長、やはりコイツは……団長!?」
「…え!? ど、どうしたのですか、ランスロット? あ、貴方はここを片付けていなさい、いいですね。さ、さあ。エノム、エノムくん、王がいる謁見の間へいきまちゅ、行きますよ」
お、おい、まじか? シルヴィア団長どうしたの? さっきまでの凛とした態度が見る影もないんですけど? 噛んだ? いきまちゅって言ったぞ、俺は聞き逃さなかったぞ!
「ご、ごほん。失礼、さあ、行きますよ。あそこの扉ですから、どうぞエノムくん」
「は、はい。では行きますか。おっと、そうそう。ランスロット君、君が壊したんだからその床もそのオブジェもちゃんと片づけるんだよ」
「な、なんだとこの野郎! いつか貴様とは決着をつけるからな!」
くっくっく、ざまあ。ムカつけムカつけ、ランスロット。俺を蹴った罰だ。
あっ、なんか俺って凄く嫌な奴になったような気がする! って、これが本来の俺なのか。
はあ、それにしても遂に俺を呼んだ王様に会うのか。やっとだな。一体どんな用件なんだろう。
そして俺とシルヴィアさんは大広間からシルクの赤い絨毯が敷かれた階段を上がる。
そこには豪華な装飾のデカい扉と左右に鷲とライオン?が合体したような金の像が置かれている。
ここから先は勿論、武神と言われるラザ・ジュエル王国の王『バーティッド・ルディ・キスタック13世』がいる。
さあて、どうなることやら。 って、シルヴィア団長、めっちゃ顔赤いよ!? こっちはこっちで心配なんですけど!!
最後までお読み下さりありがとうございます。やっと第二章のメインまできました。
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