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第24話 道化師アバロン

 

「旦那、お目が高い! ワイは奴隷商人のアバロンいいます。この獣人娘のクロロは血統書付の奴隷なんですわ。しかも家事洗濯戦闘なんでもござれの最高級奴隷ですわ。それが今なら銀貨3枚! どないですか? ここで旦那に会えたのも何かの縁、特別価格でお売りしましょ」

(まあ、銀貨3枚が妥当やろ。こないな小僧っ子が金貨なんて持ってないやろうしな。それにしてもこの小僧っ子の身に着けてる装備品、見たことない材質やな? まさかレア装備なんか? それにあの剣、なにやら不気味な剣ですわなぁ。まさかホンマに魔剣士(ダークタイト)なんか?)(心の声)


「銀貨3枚か。君、クロロって名前なのかい? 他には何が出来るんだい?」

「…………」

「?? 喋れないのか? それとも俺の言葉が通じないのかい?」

「…………」

(喋るとお家に返してもらえない。アバロンは人間は悪い奴だから喋るなって言った。騙されて酷いことされるって。だからクロロは喋らないよ)(心の声)


「旦那、すいませんね。クロロは必要のないことは喋らないように躾けてあるんですわ。それがワイの奴隷方針なんや。もし旦那の奴隷にするならそうした躾をすれば喋りますわ。このクロロは優秀ですから直ぐにでも」

(それにしてもいい拾い物したわ。この獣人族の娘はワイがした必ず村に返してやるって約束を信じきっとるからの。それに人間は残忍な種族だと信じとる。まだまだ稼がせてもらいますわ(笑))(心の声)


「へえ。さすが流石奴隷商人だな。どうしようかな」

 この野郎、なにが(笑)だ。それにこの女の子を騙してるんようだな。俺は別に正義の味方じゃないけどこういう奴は許さないぞ。俺はもう魔眼術師エノムだ。やりたいように生きて行くんだ。

 よし、コイツを【分析】してみよう。このアバロンとかいうホビットを『アナライズ』だ!


 名前 :アバロン 

 LV : 5

 種族 :ホビット

 職業 :道化師

 ユニーク:詐欺師の心得【話術】

 スキル:【交渉術・A】【開錠・B】【手品・A】

 弱点 :欲深い


 コイツ、何処までもふざけた奴だな。詐欺師なのか道化師なのかはっきりしろよ。スキルにある【手品・A】か、意外にコイツのスキルはいいのがあるな。


 ユニークってのはその人物の生まれ持った個性が発現した固有のスキルらしいからコイツは生まれながらに詐欺師が向いてるんだろうな。

 だけど人を騙していい理由には勿論ならない。


 それに【開錠・B】って盗みまでやるのか? よし、適当作戦でやってみるか。


「でも、今は手持ちがないから諦めるよ。その奴隷は欲しいけどね」

「そないですか。それなら仕方ないですなあ」

(眼が金色に輝いたような気がしたのは光の反射やろか? しかし貧乏小僧め。それなら仕方ありまへんわな。コイツの装備品はかなりの高値で売れそうやけどな。なんとかして騙し取れへんかな)(心の声)


「でもさ、アバロンさんはなんでそんな格好してるんだい? もしかして手品とかやれるの?」

「え? ええ。ワイの趣味が手品でしてな。よちよち歩きの頃から手品しとりましたわ。こればかりは誰にも負ける気がしませんな」

「へえ、凄い自信だね。まあ、俺はそういうの直ぐに見破っちゃうから楽しめないけどな」

「ほう、旦那。偉いこと言われますなあ」

「ああ、俺はこう見えて魔眼術師だからね。俺にはどんな手品もトリックも通用しないよ」

「! 旦那、カッチーンときましたわ。ワイの手品を馬鹿にしてるんですかい?」

「いや、ごめん。そんなつもりじゃなかったんだ。謝るよ」


 よし、乗って来たな。詐欺師アバロン、俺がお前を騙してやるよ。


「じゃあ、こうしませんか? ワイの手品を見破れましたらこの奴隷クロロを旦那に献上しますわ」

「ええ? 本当かい? それなら是非頼むよ」

 よし、かかったな。こいつは欲深い、まだまだこれからだ。


「その代り、もしもワイの手品を見破れなかったら旦那のその剣を頂ますけどどないします?」

「へ? それは割りに合わないな。この剣は唯一無二の伝説の剣なんでね」

「伝説の剣? 旦那は本当に愉快な方ですな。だけど虚勢張るのはダメですわ。たった今、自分にはどんなことも通用しないって自慢気に言ったばかりですやろ。それじゃ旦那、魔眼紳士じゃなくて只の虚勢詐欺師ですやん」

「言ってくれるね。それに魔眼術師だから。そこまで言うならいいよ。その勝負、受けるよ」


(うひょっ! 馬鹿な奴だ。まんまとワイの作戦に乗ってきましたわ。だがまだまだ、全部を奪いましょ)(心の声)

「ですけど、もうワイも気分悪いわ。」

「なんだい? 怖じ気づいたの?」


「!? おっと、旦那! そこまで言われたらワイも黙ってられへん。それなら全部や。持ってるもの全て賭けましょう。その剣も身に付けてるその装備品も全部! ワイも奴隷は全部を賭けますわ」

(うひょー(爆笑) こんな簡単に話が進むなんてワイは天才や!その身に付けてる装備品、間違いないなくとんでもない額で売れまっせ!)(心の声)


「全部? いいよ。それなら受けてたつよ。俺の装備品は全部をうれば城一つは買える額になるよ。奴隷は何人いるの?」

「今んとこはクロロ一人ですわ。でもワイが負けたら100人の最高品の奴隷を用意しますわ」

(ワイが負けるなんてあり得んからの)

「そうか、わかったよ。もし嘘ならその首を跳ねるからね」

「くっくっく、旦那。二言はないですな? じゃあ、早速勝負といきましょ」

(ここまで来ればワイの勝ちや。これでワイは負けたことがない、いや、ワイに負けはない勝負やから勝って当然なんやけどな(笑))(心の声)


 こいつは心底クズ野郎だな。じゃあ、初めて負けて身ぐるみ剥がされるわけだな、お前は(笑)


お読み下りありがとうございます!


評価・ブクマして下さりありがとうございます。

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