第2話 分析
どうすれば! そ、そうだ、弱点は『シスコン』だったな。どんな妹なんだ? その妹が来たようだ。やばい、ますますピンチだ。
「ど、どうしたの? マルスお兄ちゃん」
「!?」
うわっ、なんて綺麗な子なんだ! これが異世界なのか!? こんな美少女が存在するとは信じられない!! 思った通りだ、やはり異世界は最高だ。
「リーザ、来るなっていったろ? 今不審な奴がいたんだよ」
(こいつ、リーザが可愛いから絶対に変なこと考えてるな)(心の声)
「い、妹さんなんですか? あまりに可愛いからびっくりしましたよ」
「お、なんだお前。わかってんじゃねーかよ」
(こいつ、素直な奴だな。ひょっとしていい奴なんじゃねーか)(心の声)
「ちょっと何言ってるの二人共」
(お兄ちゃんはいつもだけど)(心の声)
「リーザさんですか、お綺麗ですね。びっくりしましたよ」
名前 :リーザ
LV :2
種族 :人間
職業 :村の少女
固有 :???
スキル:料理:A 鞭術:A 回復魔法
弱点 :昆虫系が大嫌い
▼
「うわっ、まただっ」
「なんなんだ、お前? さっきから変な奴だな」
う、しまった。また突然ステータスが出てきて驚いてしまった。
意識をその人物に集中すると分析してステータスを見れるってことだな。【分析】は自分だけじゃないんだな。それにしてもこの子、兄よりずっとすごいじゃないか。しかしまた怪しまれてしまった。こうなれば…。
「い、いやあ。リーザさんは本当に美しいです。幼さをあどけなく残しながらそれでいて大人の女性を思わせるような気品もある。サファイアのように美しい碧い瞳とほのかに色ずく桜色の頬。ハリのある肌ときたら水滴など滝のように流れるでしょう。その美しく長いサラサラの金髪、スラっとした体系にそのさりげなく大きい……」
あっ、やばい。これじゃあ変態だな。
「おう、お前! その通りだよな。悪かった、疑ったりして」
(こいつ、わかってるな。だけど、リーザが可憐だって言葉は抜けてるな)(心の声)
「それにとても可憐です。まるで天使のようですね」
俺はここぞとばかりに叩きこむ。マルスと呼ばれた若い男は満足げにしている。すごい、この【心眼】は本当にすごいスキルだ。なんとかなりそうだ。リーザちゃんは顔が少し赤くなってる。そんなとこもまた可愛いな。
……ん?
俺はその時あることに気付いた。なんだ? ▼カーソルがあるぞ。兄のステータス画面にはたしかになかった。どれ、頭の中で念じて押してみるか。──ピコンっと。
名前:リーザ 独身
年齢:16
身長:164
B :84
W :54
H :83
容姿:美人・極 魅力・神 金髪 碧瞳
攻略:可能
「うおぉあっ!!?」
「なんだよ、お前。ホント騒がしい奴だなぁ。今度はどんなリーザの可愛いとこ見つけたんだ?」
こいつの妹愛は本物のようだ。しかし、なんだこれは?
しかも、項目がヤバすぎるぞ。まじでやばい。これは興奮する。でも極ってなんだよ、極めてるってことか? それに神ってヤバくない? 魅力が神レベルってことだろ。これはきっと能力の高さのことなんだな。
リーザちゃんは本当に凄いな。
それに攻略:可能?
これの場合素直に異性としての攻略のことかな。しかしすごい能力だぞ。
やった! なんて素晴らしい。ありがとう女神様!
「あのう、大丈夫ですか? 顔色悪いですよ。なんだか目も金色になってるように見えるんですけど」
「!?」
目が金色だって? やばい、なにか考えないと。
「大丈夫か、お前? 目が金色に? 黒目だったよな確か」
(なんだこいつ、病気なのか? リーザにうつらないだろうな)(心の声)
「すいません、俺あまり目が良くないんです。たまにそうなって見える時が……不快な思いをさせて申し訳ありません」
「あ、ごめんなさい、私もそんなつもりで言ったんじゃないんです」
「気にしてないよな? リーザが言ったことだもんな。むしろ嬉しいだろ。俺はマルスで妹がリーザだ。お前とはいい酒が飲めそうだよ。お前、名前はなんていうんだ?」
え? ……名前? 俺の? 考えてもいなかった。
◇◇◆◆
俺の名前だって? そうだな考えてなかった。俺の名は「ない」。いや、やっぱりそれじゃ困るな。
どうする。俺にはこの最強の能力さえあれば何もいらない。
うーん、名前か。
「俺はえの……エノムといいます。よろしく」
「エノムか、よろしくな」
「よろしく、エノムさん」
しかしあれだな、警戒はなんとか解いてくれたがどうしようか。
当初俺は、「異世界にきたら女は全部俺のだ―」とか「異世界に来たから手当たり次第×××するぞう」
とか色々考えてたけど、どうもそうはいかないな。
所詮、俺は俺だってのか。いや、そうじゃない、そうじゃないだろ。何の為にここにいる!!
「おい、お前どうしたんだ? 大丈夫か?」
「いや、すいません。ちょっと目眩がして。もう平気です」
「おーい、リーザー。何してんだあ?」
何? ヤバいぞ。また誰かが来たじゃないか。これほど人と関わるのは久しぶりだ。交戦的な民族じゃなくてよかったけど。おお、なんだこの女は。踊り子? いや戦士か?
「おはよう、マイア。 ちょっとね、今この人と話をしてたんだ。」
「よう、マイア。今日はハントに行かないのか?」
(相変わらずいい女だ。それに胸もデカい。それにこの鎧も俺を誘ってんだろ? よし、ちょっといいとこでも見せておくか)(心の声)
「いや、不審者がいたから俺が取り押さえたんだよ。そしたら、こいつめちゃくちゃ謝るからさあ。悪い奴じゃなかったし、1人のようだから大丈夫だよ」
(よし、俺のマイヤの好感度アップは間違いないな)(心の声)
「へえ。珍しいな。この辺は滅多に知らない奴はこないのに」
(ふうん、みたとこ戦闘能力は無いに等しい。ゴミだね)(心の声)
こ、こいつら。まあいい。よし【分析】をやってみよう、女の名前は『マイア』だな。くっくっく。
いくぞマイアを『アナライズ』だ!!!
名前 :マイア
LV :8
種族 :人間
職業 :踊り子戦士
固有 :戦士の踊り【舞踊】
スキル:剣術:B 舞:A
弱点 :単純
▼
お、きたきた。! レベル8だと? それに【舞踊】? これはマイアの特殊スキルだな。おいおい、マルスくん。君よりよっぽど強いじゃないか。これは諦めた方がいいよ。それにしてもなんだこいつの危なそうな鎧は?
【危ない鎧】:Dランク
[説明]見た目どうりの鎧。水着のような鎧のため防御力は極めて低い。女性専用装備。
おお、なんだ【分析】か!? マイアの装備の詳細まで見れたぞ!! 凄い、凄すぎる。それじゃあ、武器はなんなんだ?
【ソードブレイカ―】:Cランク
[説明]短剣の一種だが刀身による凹凸で相手の武器を叩き崩したり凹凸に絡めとり折ることに重点をおいた剣。
「ん? なんだこいつ? 目が金色に光ってないか?」
やばい、そうだった、この【分析】を使うと俺は目が金色に変わって光るのか!?
ど、どうする? この女は手ごわいぞ!?
「その人はエノムさんっていって目の病気らしいんだ。だからそうなっちゃうんだって。さっきはごめんね、エノムさん」
(皆に言われてきたんだよね、傷ついてきたんだよね。それなのに私)(心の声)
「気にしないで下さい。もう慣れてますから……」
ああ、なんか悪いことした気になるなぁ。ホントは君たちの【分析】してるんだから気にしないでくれ。
でも、リーザちゃんかやさしいんだな。
おっと、そうだ。マイアの裏情報はっと。
行くぞ『裏アナライズ』!! ぽちっとな。
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