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第1話 異世界へ

初投稿です。色々と未熟な部分がありますが楽しんでいただけたなら嬉しいです。

「ふ、あはっあはははははははっ!!」


  やったー! 俺は遂にやり遂げたぞ。おっと俺が誰なのかは今は気にしないでほしい。

  俺が何でこんなに高笑いをしているかって? ふふ、笑いが止まらないんだ。なぜなら!


「俺がついに異世界に『転生』できたからなんだ! やったぞおぉぉぉー!!」


 さっきまで俺は転生を司るとかいう神の使いらしき女神様と手続きをしていたんだ。魂の手続きさ。みんな知ってるだろ? 


 さあて、始まりを聞いてもらおうかな。


 ◆◇◆◇


『ようこそ、ここは魂の転生所です。あなたは見事、転生する権利を手に入れました』



  俺は気が付くと現実にはありえないような場所に立っていた。そこは真っ白な空間が何処までも果てしなく続いている。歩けはするけど空も地面も区別できないほど真っ白な場所だ。


 少し歩いてみる、やはりどちらが空でどちらが地面かもう分らない。しばらく歩けばきっと倒れてしまうだろう。ここは動かないで声の指示に従ったほうが利口だ。


 今、確かに女の声が聞こえた。そして俺に転生する権利があるとか言っていた。間違いない、ここは転生を司る転生の間だ。


 ここには誰もいないけど俺の声も聞こえてるはずだ。 


「……ついに俺にもその時が来たんですね。俺はトラックに轢かれて死んだんですか?」


『いいえ、あなたは死んでここへ来たのではありません』


 おっ、女神か。やはり想像通りだ。それに休日はずっと家に閉じ籠っているようなインドアで周りが引くくらいの慎重派だった俺が簡単に死ぬ分けがない。もし、ここにこれた理由があるとすれば───それはあのことが関係してるはずなんだ。


『あなたは1日に1万回、それも10年間1日も欠かさずに転生したいと神にお願いしましたね。それは死なずに転生されるもう1つの方法なのです』


「そうですか。実はそんな気がしてたんですよ。で、俺にはどんなびっくりチートスキルが宿りますか?」


『その精神力はすばらしいですね。ですがあなたが期待してるようなことは何もありませんよ』


「……え、そうなんですか? じゃあ職業は? 勇者か皇帝、あ、王様は嫌です。遊べないんで」


『何を言っているのです? 何の経験も無しでそのような職種になっても何もできないでしょう?』


「それは、そうかもしれませんが。では、なんのための転生なんですか? 俺は転生したらモテたいんです」


『本当に何を言っているんですかあなた。もっと大事なことがあるでしょう』 


「他に何があるんですか? みんなそれしか考えてないでしょう? 俺は何のために毎日転生したいって願ったんですか! このためではないんですか? そうでしょう!? 結局行き着く先は誰しもがそこなんだ!! 男は皆、女性にモテたいんだ! それしかないんです!」


『……あなた、今までの人生に未練は無いのですか?』


「全く無いです。ろくな人生じゃない。それに転生なんて皆が望んでもできないことですから」


『わかりました。では、このままの貴方で転生させるとしましょう。今の貴方でも充分価値のある人だと私には思えます。』


「え? そんな、チートは? それじゃあ意味がない! 俺は何のために今まで……」


『では、1つだけあなたの望みを聞いてあげます』


「え、本当に? どうして急にそんなことを?」


『あなた次第ですよ。1つの望みを叶えそのまま転生して生きて行くか、なんなら初めから生まれ変わり別の世界でやり直すという生き方でもいいでしょう』


『そのまま転生するなら望みにもよりますが1つ叶えてあげましょう。しかし、そちらを選び叶えられないような望みを願うならその話は無しにして今までいた世界に送り返します』


「なっ!!」 


 なんだって!? 望みを聞いてくれるとは……どうしたらいいんだ。 なんてことを俺が思うはずもなかった。俺は何万回と考えてきたんだからな。異世界で生きて行く上で必要なもの、もちろんそれは『モテる能力』だ!!


 選択肢はそれしかない。異世界に行ってしまえば法や秩序なんてものは俺には関係ない。その世界のために戦う気もさらさらない。俺はモテてみたいんだ! 本当にそれだけなんだよ! それを可能にしてくれる世界がきっとある! いや、でも今までの会話の流れでそれをよしとしてくれるだろうか?


 絶対にいかがわしいと判断し元の世界に送られるんじゃないか? でも、その能力なくして異世界に俺のままで行く意味はない。生まれ変わったとしても何の能力もない俺のままだったら同じことだ。


 そう、女の子に囲まれない異世界になんの魅力がある? モテるために異世界が存在するんだ。女の子にモテない異世界ならとっくに魔王に滅ぼされてる。それがこの世の真理なんですよ、女神様!


「………」


『決めましたか?』


「…………」

「…………」


『あなた、いい加減にしなさい。何時まで悩んでるのです。あなたの考えていることも全て分るのですよ』


「えっ!!?」


 や、ヤバすぎるぞ。トンでもないコトばっかり考えていた。聞こえてるならそれを早く言えよ。この……! あ、やばい。


 そ、そうだ、それだ!! これしかない! これがギリギリのライン。頑張れ俺、今やるしかない!


「決めました。このまま転生をお願いします。」


『よろしい。では望みを言ってみなさい。ただし、私がダメだと判断した時はわかりますね』


「はい。望み、それは『相手のことが全て(・・・・)分かる(・・・・・)スキル』が欲しいです。俺は貴女のように考えを読みたい! 正直に言います。俺は全てを手に入れたいんだ」


『……なぜですか? あなたの言葉で言ってみなさい』


「それなら、誰にも迷惑はかけないからです。決していいことばかり聞ける分けではないと思います。嫌なことも聞いてしまうことがあるでしょう。いや、むしろその方が断然多い! 貴女は俺に最初、俺の考えが読めるとは言わなかった。それはなぜですか!? 心の声が聞こえることは決していいことではないからです!でもあなたは慈愛に満ちた宇宙のように広い心で俺を許してくれた。チャンスをくれました! 俺は貴女のような素晴らしい人間になってみたい! そのスキルなら俺にそのきっかけをくれる気がするんです。自分の力で全てを手にすることが出来る気がするんです。それに俺は何億何兆回と転生したいと願いました。このチャンスを逃したくない。貴女のように慈愛に満ちた心を持って、尚且つそれを有効に使いたいんです!」


『そうですか。わかりました』


「はい。結果がどちらであれ、あなたに会えてよかった。さようなら」 


『……そんなことを言ってくれたのは貴方が初めてです。ですが良いことばかりが異世界ではありませんよ、頑張りなさい』





 そして俺は今この異世界に立っているんだ。

 本当にあの時頑張ってよかった。今までで一番頑張った。まさに命を懸けたよ。

 本当に素晴らしい。それにこの能力(スキル)! あの女神様、本当にありがとう。


 さて、それでこれからどうするかだ。

 色々と考えてはいたんだが実際にこうなるとどうすればいいんだろうか?


 ◇◇◆◆



 さて、それでは俺は何を目指し何をするのか。そしてどんな能力なのかをしっかり検討しよう。

 この能力をはやく人間に使ってみたいんだけどな。もう一度こいつらに近寄ってみるか。


【メシ ハラヘッタ】(心の声)

【オオ イイメス ハッケン】(心の声)


 これしか考えないようだな。試す人がいないから仕方ない。こいつらはこんなもんだろう。

 そこで逃げもしない間の抜けたずんぐりとした鳥に俺はこの能力を試してみた。


 そう、俺がもらったこの能力【心眼】!その生物に近寄ると『心の声が聴こえる』能力(スキル)らしい。女神様は本当にこの能力を授けてくれたようだ。

 素晴らしい。なんと生き物全てに有効らしいぞ。言葉もわかる。


 ふっふっふ、これならいろんな使い道があるぞ。狩りなんてのもイチコロだ。なにせ獲物の考えてることが分るんだから。


 しかし、この世界。 まさか人間がいないなんてことはないよな。見渡すかぎり草原だ。

 しかも今いる世界と変わらないような草や木、青い空だ。


 まさか元いた世界なんて落ちはないだろうけど。いや、さっき空を飛行していたのは神話の世界で出てくるような小型の飛龍(ワイバーン)だ。あんな生物はもちろん今まで見たことがない。

 ここは間違いなく異世界だ。


 仕方ない、人間がいる所まで歩いて行ってみるか。しかし、もし人間の考えが読めたからといって俺自身の能力が変わった分けじゃないんだ。だから命のやり取りをする危険な世界ならいくら俺の能力でも意味はない。


 それに俺は戦闘がしたい分けじゃないんだ。この世界の魔王も国同士の戦争も知ったことじゃない。モテたい!モテたいんだ! とにかくモテてみたい。それだけなんだ!


 だが、一体何をすればいいのかだな。どうすればモテる? こればかりは俺1人では何も始まらないからまずは人のいる所にいかないとな。

 おっと、そういってる間に人間が居そうな所に来たようだぞ。


 その前に自分のステータスを見てみよう。これも既に試してみた。これはもう1つのスキルで【分析】らしい。これも実に嬉しかったな。もう一度俺を分析(アナライズ)してみようか。


 行くぞ、魔法の言葉 「ステータスオープン!」


 すると俺の頭の中で不思議な画面が立ち上がる。


 名前 : なし

 LV : 1

 種族 : 人間

 職業 : 異邦人

 固有 : デビルアナライズ (女神からの贈り物(ギフトスキル))

【心眼】【分析】【ラーニング】

 スキル:

【   】【   】【   】

【   】【   】



 よし。って、なんじゃそれ。『デビルアナライズ』とは。悪魔の分析力だって? なんて能力名だよあの女神様。せめてゴッドアナライズとかにしてよ。

 まあ、いいか。俺がこの能力なのは誰にも知られない。そんな名前で落ち込む必要もない分けだ。

 しかし、やっぱりレベルは1なんだな。10くらいにしてくれればな。

 どれどれ。


【レベル】熟練度合い。上がれば身体能力等向上するみたいだな。


 それにしても俺の能力はデビルアナライズで3つのスキルがあるようだぞ。


【心眼】生物の心が読めるらしい。全ての生物に有効。

【分析】読んで字のごとくブンセキするようだ。

【ラーニング】? 綺麗にすることか? そりゃクリーニングだよな。


 ラーニングはともかく他の2つはすごいな。やったぞ、スキルゲットだ! 

 リ野獣を目指せるぜ! おっとリア充か。

 それにスキルってとこに空欄が5つあるけど? なんだこれは。 


 しかし、こんなステータスを見ると戦闘になりそうでちょっと怖い。俺は喧嘩もしたことがない。それにクラスの女子でさえ魔王並みに恐ろしかったビビリだ。いやいや、元いた世界のことは忘れよう。

 俺は自分の名前すら忘れてしまった地球人だ。


 おっと、どうやら村があるぞ。中々感じのいい中世風の村だ。村の周りもそれとなく城壁で囲われているぞ。村の入口はあそこしか無いようだな。それに丁度門番みたいな若い男がいるじゃないか。


 むう、しかしどうする?


 このまま行けば俺は明らかに不審者なんだ。他の勇者達(異世界先駆者)はなんだかだで皆乗り越えている。だが、今の俺にはとても出来そうもない。

 勇者(ラノベの主役)はコミュ力がずば抜けている。引きこもりでも無職でも実際は最強の素体だったからな。俺もやれるんだろうか……。


「おっと、何を弱気になっているんだ。これは俺の望んだことじゃないか」


 向こうの若い男も俺に気付いたようだ。こっちに来る。く、ダメだ。やはり怖気づいてしまう。


「お、おい、なんだ貴様! 見ない奴だな。この村に何の用だ!? 何しに来た!?」


「あ、いや、実は道に迷ってしまって……」


(このやろう、見たこともない服を着ているな。まさか盗賊の類いか? みんなを呼んでフルボッコにしてやろうか)(心の声)


「えっ!? いや、ちょっと待ってくださいよ! 盗賊なんかじゃありませんって!!」


「なんだ、お前? 俺は一言もそんなこと言ってないだろ?」


 や、やばい! 今のは心の声だったのか!? 【心眼】スキルだと区別が難しいな。


(なんでこいつ俺の考えていることが分かったんだ? ますます怪しいぞ)(心の声)


「なんだ、お前? 何驚いてるんだ?」

(なんだこいつ。俺にびびってるのか? それに悪い奴じゃなさそうだ。弱そうだし)(心の声)


 お、なんとかなりそう展開だぞ。と思ったその時だった。向こうから1人の少女が駆け寄ってくる。


「おーい、マルスお兄ちゃーーん。どうしたのー?」

「リーザ、だめだ。こっちに来るなよ! 向こうへ行ってろっ!」


 その時だった。


 名前 :マルス

 LV :3

 種族 :人間

 職業 :村の若者

 固有 :???

 スキル:剣術:C

 弱点 :シスコン


「なんだって!!?」


 突然目の前に、いや俺の頭の中に流れ込んできた。これは奴のステータス画面じゃないか!

 しかも、弱点付きだ! 何故だ? いや、そんなことよりこいつ弱点がシスコンって……。


「なんだ、お前! やっぱり怪しい奴だな!」 

(こ、こいつ、リーザが来たとたんに大声を出しやがって。みんなを呼ぶしかないぞ)(心の声)


 くっ、どうすれば? いきなりピンチになってしまったぞ!?


お読み下さりありがとうございます! 内容は変えずに細かい部分を修正しました。

叫んだ時などの「」を二重に使ってましたが、わかり難いので1つに変更しました。

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