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始まり

「柚葉、行くぞ」

皆は待ちに待っていた宿泊研修の朝、俺と柚葉は憂鬱だった。

柚葉が俺の顔を覗きこみながら少し笑う。

「ちょっとは楽しみなんでしょ?」

そう言いながら首をかしげた柚葉に、かなわないなぁと思った。

「まぁ、ほんの少しだけ」

そっぽを向いてそう答える。

「それってすみれさんが委員会同じだから?」

そう言った柚葉の声色と唐突に彼女の名前が出たことに驚いて見つめると、柚葉はまたあの表情をしていた。

何かを隠すようなへらりとした笑顔。

「最近どうしたんだ、なんか言われたのか?」

俺がそう聞くと柚葉からその笑みも、表情ごと消えた。

無表情の柚葉はすっと俯いて、小さな声が俺を刺した。


「時雨は私のこと、見えてないんだね」


固まった俺を置いて柚葉はいつも二人で歩く道を走っていく。

柚葉の立っていたコンクリートには数滴の雫の後で濡れていて、泣いていたことがわかった。

その背中を見送ってしばらくしてから俺もゆっくり学校へ向かう。


いつからだろうか、

柚葉の様子がおかしくなったのは。

高校に入学してしばらくしてからだ。

正確には俺が委員に選ばれてからだ。

確かに柚葉と過ごす時間は減ってしまったが、

それでも家に来ていたりしたから気にしていなかった。

見えていない、か…。

初めての学校行事は柚葉とのすれ違いで始まった。



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