これからも
智乃を見送ってから三人も歩きだす。一ヵ月、それ程しか経っていないにも関わらず、随分と慣れた道に変わっていた。
いつも通り別れ道で静と別れ二人に減る。歩き続け、麗華とも別れる辺りまで来た。
「ねえ文人。今死ぬほど疲れてる?」
「死ぬ程ってことは無いけど……」
死ぬほどではないが、疲れている事に違いはない。体力的というよりは、精神的に疲れている。今日は家に着いたら何もせずに眠りたい欲求が芽生えている。
「今からウチで反省会に付きあってよ」
考えたくない誘いが来た。自分に反省点が無いかと問われれば山ほどある。しかし、緑制高校単体の反省会は月曜日に部活で行うはず、麗華がそのことを忘れているわけは無い。だからこれは、今日の事を忘れないうちに振り返ろうという事なのだ。
「せめて明日にしない?」
ささやかな抵抗を見せるが、同時にそれが無意味なのも理解していた。
「嫌よ」
わざとらしく可愛げたっぷりなウィンクをぶつけてくる。その間にもぐいぐいと腕を引かれ、近屋家に向かっている。
もう逃げ道は無い。諦めて素直に連行される。
高校生活三年間の内の一ヵ月が終わった。これから先はどうなるのかわからないが、少なくとも数回では終わらない程、こんなことが繰り返されるのだろうと思うと、文人は自然と苦笑が漏れる。
かといって後悔しているわけでもなかった。麗華のこの強引なところにも慣れているし、銃芸部だって楽しい。出来るならこのままの高校生活が続く事を、文人は願うのだった。
終わり




