部活紹介にて パート2
まばらな拍手をもらいながら、部長はスタンドマイクを自分の背丈に合わせる。
「皆さん、ご入学おめでとうございます。銃芸部部長の百瀬サクラです。今日の部活紹介では、銃芸の特徴や部活動の内容を紹介していきます」
そこでサクラは一度、話す内容をまとめた紙を見る。
「銃芸は日本発祥の戦闘スポーツであり、どのスポーツにもないスリルと興奮がある事で人気スポーツでもありますから、皆さんもテレビ中継で一度くらいは試合の様子を観た事があると思います。しかし、年齢制限により高校生からでないと銃芸はできません。ですからテレビだけでは不明な部分もあると思うので一から説明します。銃芸の最大の特徴と言えるのは、本物の銃を使用する事です」
サクラは腰のホルスターからリボルバー銃を抜き出し、部員たち三人は手に持っていたアサルトライフル、スナイパーライフル、ハンドガンを一年生に見える様に掲げる。
「使用する弾丸は特殊なもので、弾頭は鉛ではなく当たれば破裂するカプセルになっています。中には揮発性の高いゼリー状の液体とナノサイズの『チップ』が入っていますが、この弾丸が当たったとしても殺傷能力はありません。しかし、プレイヤーが『疑似痛覚伝達システム』を搭載した『チョーカー』を装着することで、身体に付着したチップに反応し脊髄から脳に電気信号を送り、弾が当たった個所に疑似的な痛みを引き起こします。そしてこの状態で戦闘行為を繰り広げます。以上の事が銃芸における特徴と言えます」
手元の資料に書かれている事を読み終え、安堵のため息を吐きつつ話を先に進める。
「では、難しい説明は以上にして、今からこれらの銃を使って射撃訓練をしたいと思います。部活の練習では、大会での上位を獲得するために、射撃訓練や集団訓練を行っています」
すると、人の上半身のような形の的が二体ステージ上に用意され、部員達は銃をガチャリと構える。
「今から行う射撃訓練では、弾丸の中身に塗料が入っていて的に当たった結果が見える様になっています」
言い終わりと同時にサクラは震える左手を軽く上げ、さらに手首を左に振る。
それを合図に、一斉に射撃が開始される。連続した銃声と、空薬莢の落ちる高音が体育館に響く。
大半の生徒はいきなりの音に驚き、耳をふさいだ。
三十秒ほどで全弾を撃ち尽くし、充満した火薬のにおいを追いだす為に、教師の数人が閉まっている窓を開けに走り出す。
唖然とする一年生をよそに鮮やかに染まった的を見せ、
「訓練を重ねれば、あの様に全弾を的に当てることもできます」
そこまで話すと手元の時計を見て、一呼吸を置いてから話しをまとめる。
「以上が銃芸部の特徴と活動内容です。活動曜日は月・水・金です。今日の説明で私たちと一緒に戦ってくれる入部希望者は今週の土曜日、つまり明日の午前十時までに動きやすい服装と室内用のシューズを持参して、部活棟四階の多目的室に集合してください。入部テストを行います。ではこれで銃芸部の部かちゅ…………。コホン。銃芸部の部活紹介を終了します」
サクラと部員達は一礼をして、舞台袖に帰って行くのだが、サクラだけが早足で帰っていった。




