表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【タイトル変更】                ダイナマイト転生。またやらかした!?〜今日も爆発は止まらない〜  作者: 田舎浪漫


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/8

第五話「普通にムカつく」


 おお、まさかのマリー・アントワネットだった。しかし何でアークリッチになってるんだよ。


「ふむ、赤字夫人と言われたフランス王妃様だったか。その姿は閻魔大王からの罰だったのか」


 ロザリーの言葉にマリーが反応し、書いたメモを見せてきた。


『私は多くの罪を着せられましたが、良心において自分を責めることはありません』


「ロザリー、俺も罰じゃないと思うぞ。マリー・アントワネットは時代に翻弄された被害者だ。家族を愛した一人の女性だよ。まあアークリッチになった理由は分からないけどな」


 俺がそう言うと、マリーが長々と書いた数枚のメモを俺たちに見せた。


『アルさん、ありがとう。

私はすべての人を許します。そして、私に害を与えた人々にも何の恨みも抱かずに死んでいきます。最後にそう遺し死を受け入れました』


 これは、俺がフランス滞在時に読んだことがある。マリーが書いた最後の手紙の内容か。俺たちは二枚目を読んだ。……………。


『恨まないはずないじゃない。やっぱり普通にムカつくわよ。夫殺されて怒らない妻がいる訳ないわ。子どもたちだって……』


 …………三枚目。


『だから閻魔様にお会いした時にお願いしましたの。亡霊に転生させて下さいと。害を与えた人々を呪ってやろうと。なのに……あの馬鹿上司。転生先の世界が違うのよ!!』


 そんなメモを書いたマリーは、優雅に紅茶を飲んでいる。メモの内容との温度差に俺が困惑していると、ロザリーが口を開いた。


「閻魔大王が上司なのか?」


 マリーが紅茶を置き、またメモを書く。


『儂の眷属になれば亡霊になれると言われてなりました。あぁ、ロザリーさん、私があれと連絡がとれるのも眷属だからですわ』


「ああ、マリー。慰めにはならんだろうが、ロベスピエールの最期はクーデターが起きて処刑されたぞ」


 マリーはコクリと頷き、台所へと消えていった。


「しかし私の旦那様はやはり博識だな。私は化学一辺倒だったから史実を深く知らなかったよ。ただ…」


「ただ…なんだ?」


「アル……『アルフレッド・ベルンハルド・ノーベル』のことは誰よりも知っていると自負できるよ。私の憧れだったからな」


 あかーん。騙されて結婚させられたこと、まだ納得してないのに……今ので好きになっちゃうやん。いや、結婚はどうせ破棄できないし好きでいいのか。うん、ロザリー好きだ。


「だから、憧れのアルとダイナマイト作るのが夢だったんだ。二人の初めての共同作業はダイナマイト開発だな」


「あぁ、そ………あっぶな!?」


 危なかった。もう少しで【言質】をとられて今世でもダイナマイトを作らされるところだった。だが、俺はもう発明を利用されるマヌケではないのだ。


「チッ。少し焦りすぎたか」


「まあ、ダイナマイトは置いといて、人工シルクにフェイクレザーでも一緒に作らないか?発明は好きだからな」


「……今はそれで手を打とう」


 よし!転生を思い出してから俺はずっと気になってたんだ。着ている服の素材。チクチクしすぎたろ。ああ、人工ゴムも作ってパンツも作ろうかな。ちんポジも悪いし。


 ――と、そんな平和な思考に浸っていた、その時だった。


 コンコン、と扉がノックされた。


「アル。おるかの?」


 グリーンウッドさんの声だ。


「います!どうぞ!」


 俺がそう答えると、扉が開いた。そしてグリーンウッドさんは固まった。


「あ、二人が、いること忘れてた」


 視線の先には、当然のように食卓に座るロザリー。そして、その隣でエプロン姿のマリーがロザリーに紅茶を注いでいる。


「…アル…説明してもらおうかの」


「えっとですね……結婚しました?」


 グリーンウッドさんは額を押さえ、ロザリーを見た。


「ロザリー、説明してくれんかの?」


「アルに、酷いことをされてな。責任取ってくれと言ったら求婚された」


「!?ロザリー!!!言い方ー!誤解を招くだろー!」


 グリーンウッドさんの顔がドン引きしてるじゃないか。俺は慌てて経緯を説明したが、時すでに遅しだった。


「……アル、言い訳は見苦しいぞ。ロザリーを幸せにしてやるんじゃぞ」


 そして、マリーに目を向ける。


「アークリッチよ。今は良いが、夜の墓場見回りは頼むぞ」


「え?グリーンウッドさん。マリーを知ってるんですか?」


「ここ、百年ほどの知り合いじゃ」


 マリーもメモを見せてきた。


『ロザリーさんに出会う前に、墓守りを頼まれましたの。私がいれば悪霊は来ませんし』


「子どもが夜遊びせんように、いい怪談にもなるじゃろ?だから墓守を頼んだんじゃよ」


 グリーンウッドさんはドヤ顔で説明してきた。百年来の知り合いってどういうことだよ、とツッコもうとしたところで、長老の表情が変わり―――。


「まあ、今は本題じゃ」


 集会の議事録が、テーブルに置かれた。


「最近、村の若いエルフが数人、行方不明になっておる」


空気が変わった。


「……拐われてるのか?」


「その可能性が高い。争った形跡もあるしの。相手は力任せの集団じゃ。頭は使わんが数だけは揃えてくる。お主らも何か対策を考えてほしいんじゃ」


「私に任せろ」


 ロザリーが即答した。


「村の周囲をダイナマイトで囲んで────」


「却下!!」


「……ふむ」


 ロザリーがこちらを見てくる。上目遣いで。


「愛する妻の私が拐われてもいいの?私……こわい」


 なんて卑怯なんだ。その目に俺は勝てん。


「……嫌に決まってるだろ」


「ふむ、嫌か。なら拐われて囮になるのもありか。興味深いし」


「ありじゃねーよ、考えるから待て」


 俺は腕を組んだ。力任せの集団。数で押してくる。エルフは個々の戦闘力は高いが数で負ける。ならば────。


「ロザリーの錬金薬で魔物を手懐けて、村の周囲に配置すれば……」


「ふむ、案は良いが無理だな。マリーに使った錬金薬は万能じゃない。というかただの甘い飴だ」


「…………錬金薬で手懐けた話は何だったんだよ」


「嘘ではないぞ?錬金術していたらできた副産物の飴だからな。マリーは甘いものが好きなんだ」


 マリーもメモを見せてくる。


『甘いは正義ですわ』


 グリーンウッドさんが立ち上がった。


「まあ、何かいい案が出たら教えてくれ」


 そう言って帰っていった。


 残された俺とロザリーはその後も言い争いを続けた。ダイナマイトが駄目なら無煙火薬はどうだ、使い方次第では同じことだ、と堂々巡りになりかけたその時。


 マリーが静かにメモを差し出してきた。


『エルダートレントに知り合いがいますわ』


「ふむ、興味深いね」


 この時、森の奥に行くのを止めなかったことを俺は後悔するのだった。






名前:マリア・アントニア・ヨーゼファ・ヨハンナ(マリー・アントワネット)

別名:オーストリア女/最後の王妃

生没年:1755年 − 1793年(享年37)

出身:オーストリア

役職:フランス王妃

知力:★★★☆☆

政治的知識より感性で動いた王妃。晩年は困難な状況でも気品を保った。

優雅さ:★★★★★

ファッションや芸術への造詣が深く、ヴェルサイユ宮廷の華と称された。

忍耐力:★★★★☆

革命の嵐の中、処刑台に至るまで王妃としての誇りを失わなかった。

悲劇度:★★★★★

フランス革命 により王政が崩壊し、処刑されるという劇的な最期を迎える。

特殊スキル:

「王妃の矜持」

どんな状況でも優雅さを失わない。ただし本音はメモにしか書かない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ