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ダイナマイトを作った俺。転生しても変わらない!? 俺の発明が悪用されるとは思っていなかった  作者: 田舎浪漫


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第一話「みいつけた」


 今朝、長老衆の一人グリーンウッドさんに呼ばれた時、僕は嫌な予感がした。


 理由は単純だ。グリーンウッドさんが「ちょっと頼まれてくれんか」と言う時は、誰もやりたがらない、ハズレ仕事だからだ。


「アルフェリウス・テルクァロール、村外れのロザリンド・フランクリンを集会場に呼んできてくれ。今日は村の防衛の話し合いがある。あ奴も変わり者じゃが、村人は村人じゃ、出席する義務がある」


 エルフの僕たちは、名前に誇りを持っている。だけど、それは自分の名前にだけだ。

 普段のグリーンウッドさんは僕を「アル」と呼ぶ。だから、「アルフェリウス・テルクァロール」と呼ばれると、その名に恥じぬ為、出来ないなんて言葉は言えなくなる。

 まあ、それよりも問題は、頼まれた内容の方だ。

 村外れのロザリンド・フランクリン。その名前を聞いた瞬間、集会場にいた数人の村人たちが、さりげなく目を逸らした。全員が「自分じゃなくてよかった」という顔をしている。

 僕は内心でため息をついた。断れるはずもない。「わかりました」と頷いて歩き出した。



 村外れにある家は、来るたびに形が変わっている気がする。

 先月は煙突が一本だった。先々月は煙突がなかった代わりに、謎の鉄塔が屋根から突き出ていた。そして今日は、煙突が三本に増えていた。全部から色の違う煙が出ている。紫、黄、そして不穏な黒。

 僕が足を止め、扉をノックしようと手を伸ばした、その瞬間だった。


 

ドォーン。



 家が爆音と共に弾け飛び、爆風が僕を正面から吹き飛ばした。背中が何かにぶつかる感触。近くの木に激突したみたいだ。

 勢い良くぶつかり呼吸が出来ない。爆音のせいか耳鳴りもする。体中が痛い。

 そして――何かが、頭の奥で、ぱちんと弾け…ふと、こんな考えが頭をよぎった。


(……硝酸グリセリン、か。混合比率が少し高かったのかな)


 硝酸グリセリン? 僕はそんな言葉を知らない。いや、それより――この感覚は何だ。頭の奥から、見知らぬはずの光景が溢れてくる。煉瓦造りの工場、白煙、轟音、泣き崩れる人々の顔――そして思い出した。僕が…いや、俺が死んだあの日のことを。



――――――――――――――――――――



『アルフレッド・ベルンハルド・ノーベル。貴様の罪が分かるか?なぁ、【死の商人】よ。貴様のせいで魂管理部はガチで忙しくて、儂は最後の休みがいつだったかも覚……』


目の前の偉丈夫は、王の威圧をまとったような迫力を放ち腹の底に響く低い声で……


『あなた!!地獄の審判に私情を挟まないでしょうね?』


『げっ!?オシリア、何でここに!?あっ、いや、大臣!私は誓って私情は挟みません』


前言撤回。目の前のヘタレが、誤魔化すように咳払いをしてから俺にこう告げた。


『貴様の作ったダイナマイトは、亡き弟を思い、土木の発展の為に人々の為にと発明されたものだ。それ自体は問題無かった。だがしかし、多くの命を奪う兵器に転用されたのもまた事実。よって来世はポルターレの世界で、その罪を償うべく、人々を救う発明をしろ』



――――――――――――――――――――



 完全に思い出した。俺は……俺は、アルフレッド・ベルンハルド・ノーベルだ。

 記憶が濁流のように押し寄せてくる。弟の死、ダイナマイトの発明、スウェーデンの工場、戦場に次々と転用されていった自分の発明、そして最後にサンレモの別荘で見上げた、青い空――。

 頭が痛い。二つの人生が頭の中で激しく混線している。

 俺はアルフェリウス・テルクァロールで、同時にアルフレッド・ノーベルで――いや、どっちが本当の俺だ。



「………おーい、生きてるかー?」



 だが、俺の混乱を他所に、ひどくのんびりした声と体を激しく揺さぶられたことで、俺の意識は現実へと戻された。

 目をあけると、ボロボロの白衣に、あちこちに煤をつけた、ロザリンド・フランクリンが立っていた。


「ふむ、生きていたな。これを飲んどけ」


 そう言うとロザリンド・フランクリンは村特製の回復ポーションを投げて来た。そして俺が受け取ったのを確認すると、ノートに何かメモをしはじめた。


「爆発の規模は予想の1.3倍。やはり黒煙が出たということは燃焼温度が想定より……」


「記録してる場合か!! 家が爆発したんだぞ!!」


「家は建て直せる。データは一期一会だよ」


 こいつは本当に頭がおかしい。俺はふらつきながら立ち上がり、ロザリンド・フランクリンに聞いた。


「ロザリンド・フランクリン、いったい何があったら家が吹っ飛ぶんだ?」


「ロザリーでいい。その呼び方は非効率的だよ。ところで君は誰だったかな?」


 俺の問いかけには答えず、ロザリンド…確かに非効率だな。ロザリーが名前を聞いてきた。


「……アルフレッド・ベルン……」


 間違えた。今の俺は、エルフだった。


「……アルフェリウス・テルクァロールだ。アルとでも呼んでくれ。よろしく、ロザリー」


 そして俺は、右手を差し出し、握手を求める仕草をしたのだが――。



「アルフレッド・ベルン?……アルフレッド…ベルンハルド……ノーベル」



 は?何でその名前を最後まで知ってるんだよ!?

ロザリーはその名を繰り返し、それからじっと俺の目を見てきた。

 不気味な笑顔で。一歩、また一歩と近づいてきた。そして、ゼロ距離まで近づいたロザリーの唇が、ゆっくりと弧を描いた。




「みーつけた」



俺は腰を抜かし、そして――













う◯こを漏らした。




 


名前:アルフレッド・ベルンハルド・ノーベル

生没年:1833年 − 1896年(享年63)

出身:スウェーデン

職業:化学者/発明家/実業家

知力:★★★★★

化学や工学に優れ、多くの発明を生み出した。

発明力:★★★★★

ダイナマイトを発明し、土木や鉱業の発展に貢献。

財力:★★★★☆

世界各地で事業を展開し、大きな財産を築いた。

影響力:★★★★★

遺産をもとに創設されたノーベル賞は、現在も世界最高レベルの国際賞の一つ。

特殊スキル:

「未来への遺産」

人類に貢献した人物を表彰する仕組みを残した。

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