奏でる約束
ディソナンスの襲撃から数日。隠れ家で、俺とリフレインは静かな時間を過ごしていた。
俺の指の傷はすっかり癒え、代わりに包帯のいらない新しい「タコ」ができていた。
「すごいですね、奏。毎日あんなに必死に練習して……少し、音が綺麗になってきました」
「そうか? ……まだまだゼノみたいにはいかねえよ」
「ゼノ様は『破壊』です。私は……今の、奏の『音』が好きです」
リフレインが俺のテレキャスターの表面を優しく撫でる。
俺は心臓が跳ね上がるのを感じながら、彼女の顔を見つめた。
「あのさ、リフレイン。全部終わったら……この街が元に戻ったら」
「……はい」
「二人で、本当の音楽を聴きに行かないか? 呪いなんてない、静かで、綺麗な……」
リフレインは一瞬目を見開き、それから今までで一番綺麗な笑顔を見せた。
「ええ……約束します。必ず、奏の『音』で、この世界を満たしてください」
その笑顔を見て、俺は決意した。
この笑顔を守れるなら、俺はどうなってもいい。
――その時、世界を覆う太陽が黒く染まった。
ディソナンスが言っていた「最悪の敵」の気配。すべてを消し去る「真の沈黙」が、街を包み込もうとしていた。
「奏……行かなくちゃ」
「ああ……!」
俺は立ち上がり、リフレインの手を強く握りしめた。
この約束を果たすために、たとえ命を賭けても。




