表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/93

 ぶかぶかの服に細くて長い手足。

 綺麗な手。

 幼さの残る顔立ち。

 大きな目をぱちぱちさせるなど、少し子供っぽい仕草をする。

 年齢は、……十六歳か十七歳くらいかな?

 そこまでの思考を星は一瞬で終わらせた。

 目の前の少年からはよこしまな感じはまったく伝わってこない。ひとけのないこの閉鎖的な空間の中で、安心感を持っているということはとても大きなことだった。

「えっと、さっきはごめんなさい。ちょっと僕、人違いをしてしまったみたいで……」

 頭を掻きながら頬を赤く染める少年。どうやら星とは違う誰かが門の外に立っていると考えていたようだ。

「別に構いません。間違いは誰にでもありますから」

 星はにっこりと外向けの笑顔を作る。そんな星の様子を見て、魚はやれやれといった感じで暗い世界の奥に引っ込んでいった。

「私、本田星って言います。あの、失礼ですけど、あなたのお名前を伺ってもよろしいでしょうか?」

「僕? 僕は葉山澄って言います」

「はやま、すみさん……、ですね。よろしくお願いします、澄さん」

「澄でいいよ、星さん」

 澄は少し照れくさいようだが、それでもきちんと星に微笑みを返してくれた。

 澄のその笑顔には星のような作り物の笑顔ではなく本当の笑みが宿っていた。それを目の当たりにして星の笑顔もだんだんと本当の笑顔に近づいていく。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ