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なにしにきたのって、決まってるじゃん。君を助けにきたんだよ。  作者: 雨世界
第三幕 開演 ……本当の宝物って、いったいなんだと思いますか?
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「なんでなんだろう? 星はどう思う?」

 星は目を開ける。

「雨が降る理由?」

「そう。森に雨がよく降る理由」

「そんなの、わかんないわ」星は自分の頭を澄くんの体に預けた。(不思議と青猫が澄くんの腕の中にいても平気だった。それくらい私は眠かったのかもしれない)

「興味ない?」

「うーん、どっちかっていうと、ないかな?」

 ……自然な答え。……自然な会話。なんだろう? とても懐かしい感じがする。……そう、この感じだ。海だ。まるで海と話をしているような感じがする。

 やっぱり澄くんは海に似ている。

 ……すごいや。海にいている人が、この世界のどこかにはちゃんといるんだ。(……そして、そんな人に私は出会うことができたんだ)

 そんなことを星はとても不思議に思う。

「雨は好き?」

 澄くんが聞く。それが如何にも海が言いそうな言い回しだったので、星は思わず嬉しくて傘の下で吹き出しそうになってしまう。

「私、雨は嫌い」

 星は本当のことを答える。

「どうして?」

「雨が降ると、外、走れないから」

 もちろん、走ろうと思えば雨でも外を走ることはできるし、体育館の中とか、学院の校内であれば雨に濡れることなく走ることもできる。……でも、星はそれが嫌だった。星は別に走ることを競技として捉えているわけではないし、(それほどタイムが良いわけでもない)そもそも星が走るのは自由を感じるためだった。

 星は走るという行為に開放感を(そして青空と透明な風を)求めていたのである。

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