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 星は担いていたボストンバックを地面の上に下ろすとなにやらごそごそと中を漁り、そこから一冊の現代の本にしては大きめのまるで中世の古書のような形をした表紙の真っ黒な本を取り出した。星は少しの間、無言でぱらぱらとその本のページをめくっていく。

 しばらくして星の指があるページの上で止まった。星はそのページに描かれているある内容のものを白い指でなぞりながら何度も往復して確認する。そのページに描かれていたのは文字ではなく、この森の詳細な地図だった。

「えっと、右の道で合ってるのかな?」

『本当? ちゃんと確認した?』

「したよ。もう、言ったそばから信用ないな。大丈夫、右の道であってるよ」

『もし間違っていた場合に備えて、なにか目印になるものでも置いておかない?』魚はそんな提案を星にする。それは星のことを信用していないというわけではなく、魚が元からとても慎重な性格をしているために出た言葉だった。

「目印って言っても、私なにも持ってないよ」

『じゃあ、木になにかサインでも刻んでおこう。それでも十分目印になるよ』

「刻むっていったって、どうやって?」

『ナイフは?』

「持ってきてない」

『どうして? 持ってくるように言ったでしょ? 忘れたの?』

「違うよ。わざと用意しなかったの。ナイフなんて危ない物、わざわざ持ち歩く必要なんてないよ。そうでしょ? 魚」

 魚は返事を返さない。星は自分の意見のほうが正しいと主張するように、先ほどと同じように堂々とした態度を崩さないままで、魚の返事を待っている。

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