異世界に転移してしまった?!
グループのメンバー四人、
大島、きょね、弓月、イラアが異世界に転移してしまうという物語となっております。
第一話【プロローグ】
これは、グループの皆がネタを考えている時に起きたこと。
いつものように集まり、話し合いをしながら動画のネタを考えていた。
「なぁ、きょね。他にいいネタないのか?」
大島がきょねに聞く。
きょねは困ったような表情を浮かべ、肩をすくめた。
「そんなこと言われてもなぁ。最近はどこもネタ切れ気味だし..........。」
すると、イラアがマイクをオフからオンに切り替え、話し始めた。
「大島君、ネタなら一つあるよ。」
「本当か?それは一体どういうものなんだ?」
イラアは深呼吸をし、ゆっくりと語り始めた。
「それは、異世界に行けるかもしれないという都市伝説の話さ。」
彼のその言葉に、一同は沈黙する。
興味と不安が入り混じった空気が流れた。
ちょうどその時、弓月がトイレから戻ってきた。
「都市伝説?そんなの聞いたことないなぁ。」
「そりゃそうさ。この県ではあまり知られていない伝説だからね。
これは君たちのために持ち帰ってきた、お土産的なものだ。」
——わざわざお土産として持ち帰ってきたというのだ。
「もし、その都市伝説が本当なら、すごいことになるぞ?」
そう言いながら、大島は早速撮影道具をまとめ始めていた。
彼はこういう話になると、いつも行動が早い。
「じゃあ、その現場に行きますか。
とりあえず、メールで送った位置情報のところに集合ね。」
イラアがそう言うと、きょねが慌てて声を上げた。
「え?待て!僕の家、遠いんだけど?」
彼の家は他のメンバーよりも離れた場所にあった。
イラアは苦笑しながら答える。
「安心しろ、電車で行ける距離だから。」
そうして通話は終了し、それぞれが目的地へ向かう準備を始めた。
『伝説の森』
位置情報が示す場所にたどり着くと、そこには深い森が広がっていた。
月明かりに照らされた木々が静かに揺れている。
大島が周囲を見渡しながら呟いた。
「イラア。ここさ、俺知ってるぞ?
昔、魔法使いが箒に乗って飛んでいたという噂がある、伝説の森じゃないか?」
「その通り。
十六夜の夜にここを訪れると、異世界が開かれるという噂が流行ったのも、
多分それが原因だろうね。」
ちょうどその日は十六夜だった。
話をしているうちに、あたりは不思議な雰囲気に包まれていく。
すると、大島が突然申し訳なさそうに言った。
「イラア君たち、ごめんな。」
「何がごめんなんだよ?」
「それがさ、タイミングよくビデオカメラの調子が悪くなってしまったんだ。」
ビデオカメラの故障に、一部のメンバーは苛立った様子を見せたが、
最終的には「そんなこともあるだろ」と許すことにした。
しかし、その瞬間だった。
——あたりが、突然暗くなった。
何が起きたのか、理解できなかった。
空を覆っていた月の光が消え、全てが闇に包まれる。
そして——意識が途切れた。
『異世界への転移』
目が覚めると、そこは先ほどまでいた場所ではなかった。
「ここは..........どこだ?」
周囲には見覚えのない景色が広がっていた。
石畳の道、古めかしい建物、そして空に浮かぶ二つの月。
イラアが周囲を確認しながら呟いた。
「皆はまだ寝てるようだが..........ここは異世界らしいな。
あの都市伝説は本当だったのか?」
現実とは思えない光景に、大島たちは困惑しながらも周囲を探索し始めた。
「おい、イラア。あの奥の方にある建物、
魔法学校っていうやつじゃないか?」
イラアは大島が指す方向を見つめる。
「いや、違うんじゃないかな?
城かもしれないしさ。」
すると、いつの間にか弓月が目を覚ましており、はっきりと言った。
「いや、あれは魔法学校だよ。」
「なぜ、そう言い切れる?」
イラアが問うと、弓月は笑った。
「いや、城には時計はついてないだろう?
目を逸らしてみると、あの建物には時計がついている。
そして、よく見てみると体育館的なものもある。
おそらく、学校か何かだろうなとね。」
言われてみれば、確かにそうかもしれない。
城に体育館があるのは、不自然に思えた。
「確かに、そうかもしれないな..........。」
そう話していると、不意に足音が近づいてきた。
「おぉっと、こんな所に異邦からの客人がいらっしゃるじゃないですかァ?」
低く、響くような声。
振り返ると、そこには奇妙な衣装をまとった男が立っていた。
彼の目は冷たく、何かを企んでいるような笑みを浮かべていた。
異世界での、最初の出会いだった。
——続く。
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