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命懸けのゲーム

 MURIGEの会場が謎のテロリストに襲撃されて数時間が経った。


「なんでや」


 桧山正巳(ひやま まさみ)は悔しさに歯噛みした。この日に賭けて、すべてを捧げてきたというのに。


 全身黒ずくめで怪しいマスクを付けた一人が拡声器で話し始める。


「えー、安心して下さい。あなた達は予定通りにMURIGEをやることが出来ますから」


 ボイスチェンジャーでも使っているのか、電子的で無機質な声をしている。タチの悪いイタズラにしては度が過ぎている。桧山の頭に血が昇った。


「アホ、安心なんか出来るかい。はよその物騒なモンを捨てろや!」


 桧山がテロリストたちを罵る。他の参加選手たちが下手に刺激するなとばかりに非難がましい視線を投げかけてくる。


「桧山さん!」


 声のした方を見ると、完全制覇者の一人である永田が顔をしかめながら横に振っていた。黙っていろという意味だろう。


 少し前までにあった緊張感は、スポーツで感じるものとは別の種類にすり替わっている。一寸先は死――そんな空気で、誰もが息をすることも忘れていた。


 テロリストの足元には銃で撃たれた警備専門のスタッフが倒れている。うつ伏せになった体の周囲に、紅い血だまりが出来ていた。


 ――どうしてだ? どうしてこうなった? 俺たちはただ、暗黒の魔城を倒しに来ただけなのに。


 誰もが理不尽な想いを抱えつつ、テロリストの一挙手一投足に注意を取られる。気が狂いそうだった。


 怪しいマスクを付けたテロリストは続ける。


「これから皆さんには予定通り、MURIGEのゲームに参加してもらいます。ですが……」


 ――ですが、何だ?


 たっぷり間を置いてから、テロリストは続きを言う。


「いつも通りだとつまらないので、命懸けでプレーしてもらいます」

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