第一章 平民の魔法師
“魔法師”。神の力の一端を借り、奇跡を具象化する術、「魔法」を扱う者。その魔法の用途は人間社会において日常生活、政治事、戦争など多岐に渡り今や人類には欠かせない。そうしたウィザードを育てるための教育機関「魔法学院」が各国に一つ存在している。そして今日は、全国の魔法学院が一斉に入学式を催すめでたい日であった。
「今日は、絶好の入学式日和だな」
ここはアリア魔法学院の男子寮。少年は寮の部屋の窓から差す陽の光を見て独り言を言った。
「入学式に必要なものは、特にないな」
今日は入学式とその後に所属されるクラス確認だけなので、持ち物はたいしていらない。少年は確認して部屋を出て、学院本棟を目指して歩き出す。入学式開始の時間まで結構な余裕があるので、学院内の構内を覚えるのを兼ねて構内図を見て色々と歩き回った。
「うわすごい、ほぼ全部石造りだ」
入学する前から構内の地図は頭に叩き込んだが、いざ実際に見てみるとやはり驚くものである。中庭にある豪華な噴水、綺麗に整えられた並木に目を奪われていると、ふと周りの視線を感じる。
ーねぇ、なんでマントがないの?
ーまさかアレが例の...
ーいつから平民が入れるようになったのかしら、この学院は
嫌な小言や、薄ら笑いの声を嫌でも耳が聞き取る。
魔法学院というのは、基本的にはその学徒全員が貴族である。正確には貴族でなくとも入学試験を突破すれば誰でも入れるのだが、試験を突破するのは貴族でなければほぼ不可能だ。そうなっている大きな要因は二つある、まず一つは教養の問題。入学試験には実技試験と筆記試験があるのだが、まず初めにやるのは筆記試験。魔法に関する色々な知識を試してくる試験だが、そもそも知識があるかないか時点に平民の大半は文字が読めないのだ。なんとか文字が読めたとしても問いに答えるために魔法について勉強しなければならないし、魔法に関する知識を得られる書物など平民の手の届く範囲にはまずない。そして二つ目の要因が血統、才能の問題。魔法の資質というのは、遺伝による先天的要因により決定される。優秀な魔法師になれるかどうかは自分がいかに名門の貴族のもとに生まれるかによって決まると言っても差し支えない。一に才能ニに才能三にも才能で四にやっと努力や経験がくるというのがウィザードだ。そして平民の血統に、魔法の資質なんか備わっているわけがない。備わっていないのだから平民なのだ。そんな当然貴族しか入れないような魔法学院に、貴族の証であるマントを羽織っていない少年が浮くのは当然であった。
「(外の世界ではともかく学院内じゃ対等だろ、俺だってお前らと同じ試験突破したんだぞ)」
それを口に出せば面倒臭いことになるので、悪態をつくのは心の中で押し留めた。ざわつく周りを無視して中庭を突っ切って人気のない広場に来て安心してベンチに腰をかけると、上からおいと言う声が降ってきた。顔を上げると仁王立ちで行く手を塞ぐ、太っちょの貴族の少年がいた。わざわざ、俺に文句つけるためにあの中庭からつけてきたのかと少年の顔が嫌悪に歪む。
「おいおい、給仕の平民が腰をかけるもんじゃないぞ」
少年はその嫌味に顔を顰めながら言い返す。
「給仕じゃねぇ、ちゃんとした生徒だ」
普段学院外の平民は畏まるのに、目の前にいる平民思い通りにならないことに太っちょの少年は腹を立てる。
「んなわけ、あるか。マントもないくせに」
「これが、生徒証だ」
「はぁ!お前それ誰から盗った!」
「盗ってねぇ!」
最初気だるげにしていたものの段々と頭にきて語気を強くして言い返す。
「なら証拠を見せろ!お前がここの生徒である証拠をな。ここで魔法を使ってみろ!」
いままで強気だった少年はそう言われた瞬間困った顔になる。
「ちょ、それは...」
「その躊躇いが、お前がウィザードでない証拠だ!」
この無礼な平民を罰してやると言わんばかりに、太っちょの少年が杖を取り出し魔法を放とうとする。
「やめなさい!」
少年の背後から大きな声で叱咤する女性の声が聞こえた。二人は声がやってきた方向に同時に振り向いた。
「いかに平民といえど、同じ試験を突破して弊学の生徒な以上、学院内では対等な立場ですよ」
少年はその顔に見覚えがあった、確かこの学院の生徒会長である人物だ。
「げ、貴方は…」
太っちょの貴族の少年は生徒会長の顔を見ると顔がどんどんと青ざめていく。
「これ以上騒ぎを続けばどうなるか、分かってますよね?」
会長は笑顔でそう言うが、目が笑っておらず恐怖を感じさせるものだった。太っちょの少年はスタコラサッサと逃げていって、その場にいた俺は唐突な助け舟に呆気に取られる。
「大丈夫ですか?」
「あっ、はい。あ、ありがとうございます」
「それは良かった、お隣失礼」
少年の横にその生徒会長は座る。盗み見た横顔は、とっても可憐だった。桃色の髪、目は光り輝くエメラルドを感じさせる碧眼。少年がその美貌に見惚れている最中にも会長は会話を続ける。
「初対面ながらつかぬことをお聞きしますわ。平民でありながら、我が魔法学院に入学する一年がいると聞いていますが、それは貴方ですか?単にマントを付け忘れたとかではなく?」
「誤解ではなく、本当に平民なんですよ」
「貴方の名前は?」
「俺は、カイト・アレクサンダーです」
名前を聞いた生徒会長が、本当らしいですねと言った。貴族ならば名前と姓の後に貴族の印や領地の名前などが付いているはずなのだ。
「すみません、名前を聞く側から名乗るのが礼儀ですね。私はアテネ・アントワネット・ル・ナランズ・トリスニア、この学園の生徒会長を務めさせていただいているの」
カイトは名前を聞いて眼を丸くさせた。なんと、学院に入って最初に名前を聞いたのが貴族の中でも有数の名家である侯爵家の娘、トリスニア家。火の系統を扱うウィザードを多く輩出してきた優秀なウィザードの家系。魔法を齧ったことがある人なら耳にしたことのない人はいないほどだ。
「(なるほど、だからさっきのやつは逃げ出したのか)」
先程の太っちょの貴族の少年はカイトと同じく一年、とても入学する前に生徒会長の顔を覚えるほど殊勝な人物だとも思えない。生徒会長とも知らないのに、いきなり怒鳴りつけてきた人に言い返せずに顔を見ただけで逃げ出したのはそういうことかと合点がいった。
「先程は学院の生徒がごめんなさい、会長として謝りたいわ」
「いやいや、貴方は悪くないですよ。貴族しかいない学院に、いきなり平民が来て気に食わない気持ちも分からないことはないですから。それより驚いたのは...」
「?」
「貴方は、俺が平民と知っても貴族だと偉ぶらずに接してくれるんですね」
「さっき言ったじゃない、同じ試験を突破したんなら関係ないって。むしろ、普通の貴族より貴方はすごいわ。だって今まで平民が試験を突破するなんて前代未聞だもの」
「そ、そうですかね」
「そうよ!文字を読める平民はほんと一握りにはいるけど、魔法の知識を持っていて使える平民なんてどこ探してもいないわ」
「あ、あはは」
「あの生徒から魔法を使ってみろって言われた時に、躊躇わず見せたら良かったじゃない?その方が疑ってた他の貴族達にも示しが付いたのに」
カイトは渋い顔になって目線を下にやる。
「魔法は、使えないんですよ」
「そんな訳ないじゃない。ここに入ってるのだから」
「本当なんです。全くもって小石一つ動かせないんですよ」
アテネは最初冗談だと思っていたが、それを言うカイトの表情からなんだか深刻さを感じて戸惑う。
「え、本当に魔法が使えないの?どうやって実技試験をどう乗り越えたの?」
「実技試験は受けただけで、全く乗り越えられていませんよ。実際に実技の点数は0点ですし。いや、詠唱のスペルは間違えなかったから5点10点は貰えてたかな?」
「そんな実技が10点でどうやって?」
「筆記試験満点なんですよ、僕」
「え?」
「いやー実技と筆記の配点が五分五分で助かりました。実技の方が配点が高かったら終わってましたからね」
信じられない言葉を聞いたアテネは再びカイトに問い直す。
「いやちょっと待って?筆記満点って本気で言ってる?」
「本気も何も、実技こんだけボロボロなら筆記でこれだけ取らないと受からないじゃないですか」
「そりゃ、理論的にはそうだけど...」
アリア魔法学院の入学試験は筆記と実技の100点100点で合わせて200点満点。大体合格のボーダーは例年110点くらいである。確かに実技10点で筆記100点を取ればボーダーに達するが、そんな変態的な点数な取り方をする者は聞いたことがなかった。
「…貴方、頭良いとかいう次元じゃないわ。どうやって魔法の勉強をしたかも謎だし…本当に平民?」
「運が良かっただけの、平民ですよ」
その言葉を聞き届けると会長はゆっくりと立ち上がった。
「貴方に聞きたいことはまだ沢山あるけど、私入学式で会長挨拶しなきゃいけないからそろそろ行かなくちゃいけないの。貴方も遅れずに来なさいよ」
「はい、分かってます」
そう返事をするとアテネは背を向けて歩き出した。この学院に来て初めて友好的に接してくれた「先輩」ができたことに、カイトは無自覚に安堵した。
◇◇◇
「はぁーっ」
入学式が一通り終わり、生徒達が椅子から立ち上がり自分のクラスに向かう中カイトは椅子にぐったりとなっていた。入学式を経て出てくる感想は疲れたの一言。学長挨拶の時も、会長挨拶の時もずっと周りが自分のことをヒソヒソと言っているのだ。途中で離席することもできないし、カイトは1時間近くそれを耐え続けたのだ。
「ふざけんな、なんで俺がこんな目に」
うだうだ言っていてもここにずっと座ってるわけにもいかず、腰をゆっくりと上げて重い足取りで自分の教室に向かう。ゆっくりと向かったせいもあり、教室の席は大半が埋まっていた。勉強熱心な生徒は最前列、目立ちたくない生徒は最後列を陣取っており、座席の指定などは特になかったので教室に入って1番最初に目についた真ん中の列くらいの席に座った。教師が来るまでやることもないので、教室の辺りを首を回して見渡していると不意に隣の席に女子生徒から声が飛んできた。
「あんた、平民なのになんでここにいるの?」
ああはい、またですか。今日から何回そのセリフを言われるのかカウントしてやろうかと考え振り返る。その声の持ち主は、当然貴族の証として制服となっている白いYシャツ、いや彼女の場合は女性なのでブラウスの上に黒いマントを羽織っている。腰の上くらいまで鮮やかなカナリア色の髪を伸ばし、眼は鳶色のぱっちりとした眼だった。先ほど会ったアテネもかなりの美少女だったが、あっちは美女成分の方が多く、目の前の少女はそれよりは幾分か顔立ちには幼さを残していた。その顔を覗いた瞬間カイトは「多分、俺が今まで生きてきた人生で見た女の子で1番可愛いぞ」と思った。そんなふうに思った美少女から話しかけられた言葉がもっと穏やかなものだったらどれほど嬉しかっただろうかと落ち込んだ。
「ここの生徒だから」
「文字も読めない、魔法を使える血統もない平民がここに入れるわけないでしょ」
「実際、試験を突破して入学の資格を貰っている」
「平民の生徒なんて今まで見たことないわ」
「だったら良かったじゃねぇか、今ここで初めて見れて」
「貴族への口の聞き方を知らない平民も初めて見たわね」
売り言葉で買い言葉に言い合いは平行線。ここまでの問答を繰り返してカイトが思ったのは「なんだこいつ、可愛くねぇ」であった。顔だけ見れば、清廉潔白の美少女であり、実際良い所のお嬢様なのだろう。しかし良いお嬢さまというにはいささか言葉遣いが丁寧でないし、気が強すぎる。カイトは容姿を見て一瞬でもこいつ、可愛いなと男心をざわつかせた自分を恥じた。そうしてもう一つ疑問が出てくる、なんでこいつの隣が空いていたのかという疑問だ。確かに性格は全くもって可愛くないが、男というのは容姿だけで異性に惹かれてしまう生き物である。性格が可愛くなかろうとこの美しい美少女とお近づきになりたいと思う貴族の男はそう少なくないはず、なにか他に原因があるのかと勘繰った。
「なによ、私のこと睨んでんじゃないわよ」
「お前ことなんか睨まないって…」
「平民が私にお前ですって?」
「だって名前知らねぇし」
するとその少女は得意げな顔でカイトに威張る。
「ふん!私の名はね…」
まぁ、なんとなく貴族の中でも良い家の方なんだろうなとカイトは予想していたがそれを大幅に超える結果となった。
「シーナ・アレクサンドラ・ド・ロレーヌ・ラ・ノアルエールよ。ノアルエール家よ、平民でも知ってるんじゃない?」
シーナの名前を最後まで聞いてカイトは頭が真っ白になった。ノアルエール家とは、この国に四つしかない公爵家の一つである。公爵とは王以外で王族の血を引いている人物、家系が名乗る爵位であり貴族の階級、五爵の序列第一位。ノアルエール家はその四つの公爵家の中で最も血統が王に近しい、つまりこの娘はこの国一番の大貴族の子女ということである。なるほど、隣が空いていたのはそのためかと心で納得した。ここまで位が高すぎると、学院入学一発目に関わる相手にしては、少々ハードルが高すぎる。公爵家の者から変に顰蹙を買うリスクを負うまで背負って話しかける蛮勇を持つ男貴族はいなかったようだ。
「お前が、あのノアルエール家の?」
「そうよ、ようやく私の凄さがわかったかしら?」
確かにこの娘の位の高さにも驚いたが、それよりも驚いたことがある。ノアルエール家は王国創設時から存在している由緒正しき伝統がある名家だ。学院に入る前はノアルエール家の家の者を見たことがなかったが、さぞノアルエール家の子女は高貴でお淑やかなお嬢様なんだろうなと思っていた。たが、想像とは真逆な性格で今目の前にお出しされている。
「凄いですね」
「でしょう」
カイトにようやく自分の偉大さが伝わったと思い、満足げな顔でシーナは前を向いた。カイトが発言した凄いというのは、カイトが抱いていたイメージをここまで木っ端微塵に破壊した事が逆に凄いという意味でだったが。程なくして、教室にクラス担当の教師が入ってきた。その教師は初老に入りかかったくらいの男性で、髪はまだかろうじて見ていられる茶色の髪であったが前髪の後退がなんともお労しい。研究者でもあるのだろうか、身に纏うローブのポケットになんだが試験管などが飛び出ている。
「皆さん、アリア魔法学院にご入学おめでとうございます。一年間貴方たちの担当教師となりますハインリッヒ・ベルグ・ロマネスクです」
名前だけの自己紹介のあと、彼は明日からの登校時間、授業の日程など必要最低限の事を話すとすぐに去ってしまった。おそらくとっとと続きの研究をしたいのだろうと予想をつけ、この教師は一体どうなんだとカイトは頭をかいた。教師として教育よりも研究に力を入れているのはどうなんだと思う。ああいう教授は生徒達に対して関心がないので行う授業は教科書に書いてある事を淡々と解説していくものになりがちなので、試験が簡単な代わりに授業がとてもつまらないというものが多い。
「(生徒に興味ないから俺のこともスルーしたのか?)」
勿論クラス担任なのだから、自分のクラスに平民の生徒が所属するというのも聞いているだろう。マントの有無を見ればすぐ見分けがつくにも関わらずハインリッヒは席の中からカイトを探そうともしなかった。生徒全員に興味が薄いなら、わざわざ平民のカイトを目につけることもあまりないだろう。採点で工作するという面倒臭いこともしなさそうだと考えるとこの担当は良い方なのか?とまで考えてカイトはこの先を憂いてため息をついた。
◇◇◇
授業が終わった後学院内を色々見て回ろうと思っていたが想像以上に疲れていたので、カイトは教室を後にすると早歩きで歩いて寮の自室に戻った。自室に入るとカイトは乱雑に身をベッドに放り投げ背を預ける。
「...相変わらず生徒の寮室なのに豪勢だぜ」
一人部屋なのにベッドは二人、小柄な女の子なら詰めれば三、四人寝れるくらいに大きく、窓も大きく窓枠には装飾も施されている。貴族の中ではこんな部屋は普通なのかもしれないが平民のカイトにはこれでも豪勢な宿の一室に思える。
「魔法使えないと快適さが落ちるが、ギリギリ許容範囲か…」
ここの部屋は当然、魔法を使える者だと想定されて作られている。鍵は「ロック」の魔法があるから不必要としてドアについていない。普通なら何も問題はないのがカイトは「ロック」のような初歩的な魔法でさえ扱えないのでカイトは鍵をかけられない。わざわざ平民の部屋に物を漁りに来るものがいるかは知らないが、やはり自分が不在の間に自室に鍵がかかっていないのは気持ちが落ち着かない。
「...今度からコイツも持って行った方がいいかな」
カイトは横になりながら壁にかけてある父の形見に目をやる。カイトの父親の形は剣であった。
「この剣、他に持ってるやつ見たことないんだよな」
カイトが父親の形見として貰った剣は見慣れない形状をしていた。騎士が使うブレードは両刃で真っ直ぐなのに対し、この剣は反りがついていて片刃であった。またブレードは分厚く重量のある刀身で重さを乗せて叩き斬る事や突き刺す事を想定しているの対し、形見の剣は薄くて細くて素早く対象を切り裂く事を重視している。
「(いや、父さんは「剣じゃない、日本刀だ。刀とも言う」と言っていたかな)」
形見を見ていたらそれにまつわる父の言葉を思い出して、この形見の剣の名称を思い出す。ウィザードは常に剣や銃よりも強力な武器となる杖を忍ばせているので、学院内で帯刀してもごちゃごちゃは言われはしないのだ。明日からこの刀も持っていこうと決めて、起き上がって棚を開き二つ目の形見を手に取る。
「刀より不思議なのはコイツだ」
カイトの父親の形見二つ目は銃身が黒鉄できており、光沢で綺麗に輝く拳銃であった。今流通している長銃やピストルは一発撃つたびに弾を装填する必要があるのだが、形見の銃は一度に十五発まで装填ができる。一度に複数の弾が装填できて連射ができる銃などこの形見の銃以外にカイトは聞いたことも見たこともなかった。また大きさはホルスターに入れなければいけない流通しているピストルと違い懐に入れれるほどコンパクト、重量もそれらの比べて振り回せるほど遥かに軽い。
「親父から貰ったこれ専用の弾が無くなったらこれもう使えないんだよなぁ。この「マガジン」ってやつに装填できる弾なんて他に見た事ないし」
カイトは父親教え通りに銃のボタンを押しマガジンを取り出す。
「これに弾を込めて、中に入れる。こんな形態の銃見たことないぞ」
形見の銃には弾は他に見たことがない弾を使っているしマガジンというものもあるし安全装置や弾の込め方が他の流通している銃と比べ全く違うので覚えるのに苦労したものである。
「この銃は...あれ、なんて名前だったかな」
その銃にまつわる記憶を頭の中で回想するが、名前に関する記憶がどうも出てこずそのうち面倒くさくて考えるのをやめてベッドに身を翻した。ベッドに横たわっているうちに眠気が段々とカイトを襲ってきた。
「(まだ夕食食べてないのに…まぁ、今日はもういいか…)」
慣れない事ばかりの連続で、想像以上に疲れが溜まっているようだ。今日でこんだけヘトヘトでは、授業が始まる明日からはどうなるんだろうと杞憂を抱きながら瞼のカーテンをおろした。




