表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生した。触手に。   作者: suha
6/6

アリサの苦悩

困った。非常に困った。


私、補助精霊のアリサは今。非常に困っている。

今私はその悩みの種に、説教をしている最中だ。


[千彩都。戦闘が楽しいのはわかるけどいくらなんでも酷すぎ。確かにそうすれば楽に倒せるんだろうけど、見てるこっちの気持ちにもなってよ!!なに?非常食って。]


非常食。千彩都がそう呼んでいたウェポンドールの下半身は反省の意を示そうとしているのか触手を折り曲げ擬似的な正座をしている千彩都の横に転がっている。


〈はい。すみませんでした。今後戦闘をする際にはアリサの気持ちも考えて行動します。〉


本当に落ち込んでいるのか千彩都が暗い声でボソボソと呟いている。


うぅ…かわいい。

最近気がついたのだが私はどうも弱っている千彩都を見ると母性本能が刺激されるのかよしよししたくなってしまうのだ。

まぁ。千彩都かわいいし。


はっ!いけない。

今は今後千彩都がとんだバーサーカーにならないように心を鬼にして千彩都に説教をしなければ行けない盤面。


[そうだよ。千彩都。なんでわざわざあんなむごたらしい方法で敵を殺すの?]


心を鬼にしたはずがどうしても語彙が優しくなってしまう。

だって…かわいいし。


〈うぅ…すみません。なんか。テンション上がっちゃって。つい。〉


テンション上がっちゃってついで敵の上半身ぶっ飛ばすのはよくわからないけど、

なんかスポーツとかする時だけ人格が変わるとかそういうタイプなのかな?千彩都って。


今私が心を鬼にしてまで切れている理由。それは何もほんとに千彩都の行動に対してブチギレているわけじゃない。

今後千彩都に人前であんな戦闘をさせないため今ここできっちりと反省してもらわないといけない。

確かに見てて少し不快だったというのもあるがあのレベルのものなら今まで何度も見てきた。

だから確かに驚きはしたがそこまで怒りはない。

だからこそだろうか千彩都に対して怒っていると千彩都の反省の姿勢も相まって心がチクチクと痛む。


[ホントだよ。今後気をつけてね?]


だからこの話はもう切り上げる。

うん。ちゃんと千彩都に対して怒ったし。

千彩都も反省してるし。うんまぁ良いよね。


〈はい。ごめんね…アリサ。〉


今にも消えそうな弱々しい声で千彩都が謝罪する。


うぅ心が。心がイタイ。

ごめんね、千彩都…でもこれは。必要な説教なんだ。そうなんだ。

耐えろ。私ここで甘い言葉をかけたら。説教尾をした意味が…薄れる…


[でも。千彩都。よく頑張ったね。偉いぞ。方法はどうあれ3体一気にやっつけたんだ、これは誇っていいよ。]


耐えられなかった。しかも我慢してた分いつもより更にべた褒めしてる。

仕方ないよ。こんな縮こまった千彩都の姿見たら。


千彩都の触手は今正座を超えもはや半円に近い程縮こまっていた。


そんな姿を見て励ますな。というのは無理な話だ。

それにやり方はどうあれ3体一気に倒したんだ。

レベルも上がったしこれは大きな収穫だろう。


〈アリサ…うん、ごめん。ありがとう、僕頑張ったよ…〉


千彩都の声が一気に明るくなり縮んでいた触手も元の位置に戻る。


かわいい…。

トニカクカワイイ…

もはやこの千彩都の嬉しそうな声を聞くために千彩都を褒めていると言っても過言ではない。

この声を聞くたびに寿命が伸びる気がする。

まぁ補助精霊には寿命もクソも無いんだけど。


[よし。でも千彩都。今度から戦闘の際は気をつけるんだよ?わかった?]


一様念を押しておく。


〈うん。わかった。〉


また声のトーンが下がり少し触手が縮む。


反省している千彩都をもっと見たいという気持ちもあるが、今はもっと優先すべきことがある。


[よしっ、それじゃあ毎度恒例のステータス確認をしよう。今回もまたレベル上がったし、3体も敵を倒したんだステータスも伸びてるはずだよ。]


優先すべき事。いつも恒例のステータス確認だ。

私はなにげにこの時間が好きだ。

千彩都のステータスが上がっているのを見るたびに、子供の成長を見る親のような気持ちになれてなんとも言い難い喜びがある。


[それじゃっ]


そう言うと私はスキル。鑑定を使った。

このいつも見ているステータス。これは自分に鑑定を使っているのだ。本来。この世界には自分のステータスを見るスキルはない。だから工夫するのだ。他人のステータスをのぞける鑑定。これを自分に使う。でも例外もある。なにかトレーニングなどでレベルアップに関係なくステータスが上がる際はなぜか自分の目の前にその上がり幅が表示されるのだ。


と、まぁステータスの雑学は置いといてステータスを確認しよう。


【個体名 夜野千彩都 

 種族 テンタクル

 レベル16


 ステータス

Hp:241/241 神気:169/172 体力:673/673 攻撃力:102 防御力:62 速力:462 腕力:64


所持スキル

(補助精霊ⅰ)(吸血ⅷ)(再生ⅶ)(伸縮ⅷ) sp 430


称号

(高速の触手)】


うわっまた速力上がってる。

いつも思うけどなんで千彩都って速度だけこんなに速いんだろう。

突然変異?


〈すごい!spがすごく増えてる!〉


私が千彩都速度早すぎ問題について考えている中千彩都は他のところを見て声を上げていた。


spいわゆるスキルポイントはそのポイントとスキルを交換する。という物だ。本来このように可視化されておらず。スキルは溜まったスキルポイントを勝手に消費しなにかスキルを得るというものだ。

多分プレシオファングの毒霧もそうやって手に入れたんだろう。


だけど補助精霊がいれば勝手にスキルを取得するという心配は無い!!

なにせ補助精霊だし。補助できるんだし。

スキルくらい選べるし。


〈ほら、前アリサ言ってたじゃん。スキルポイントがある程度溜まったら新しいスキルが得られるって!〉


言ったっけ?そんな事。千彩都が転生したての頃にそんな事を言ったような言ってないような。

まぁいっか。


[うん。そうだね言ったね。うん。言った]


千彩都も期待してるしここはうまい具合に話に乗ろう。


〈だよね!?もう400溜まったんだから新しいスキルとかゲットできるんじゃないの?〉


千彩都が期待に満ちた声で聞いてくる。

私はどうもこんなふうに言われると弱い。


[うん。そうだよーゲットできるよー]


本来はもっと貯めるべきなんだろうけど千彩都の期待を裏切りたくない一心でそう答える。


〈本当!?やったー〉


その声が聞きたかった。

たとえスキルポイントを使ってもその声を聞くためなら安い出費だ。

孫にお金を上げるおじいちゃんおばあちゃんの気持ちがわかった気がした。


[今の時点でおすすめなスキルは……探知。かな。]


スキル 探知 はスキルポイント400を消費して取得する。回りの神気の流れを読み取り、どこにどの程度生物がいるのかがわかるようになるスキルだ。

敵が周りにいなくてレベル上げに苦しみそうな今の千彩都にとっては喉から手が出るほど欲しいスキルだろう。


〈探知!!どんなスキルか知らないけど字面で大体わかるよ。探知かー確かにそうだね。じゃあその探知のスキル取得で!〉


そんな当てずっぽうで良いのだろうか。将来騙されそうで心配だ。

まぁ、将来も私が千彩都に助言をしてそんな輩に騙されないように補助するんだけど。

そうするんだけど。


と、将来の幸せな妄想をしながら補助精霊の固有スキル。スキル選択 を使いスキルを会得する。


[スキル (探知) 会得]


という表示と同時に千彩都の


〈やったーーーーー〉


という声が重なる。


その反応が見たかった。

かわいいな。おい


〈じゃ、じゃあ早速ステータスを見てスキル取得できたか確認しよう!!〉


興奮冷めやらぬ調子の千彩都の期待に満ちた声が響く。


[あ、あぁーそのことなんだけど…いや、説明が難しいし見てもらったほうが速いか。]


そう言うと私はスキル鑑定を使い千彩都のステータスを出現させた。


【個体名 夜野千彩都 

 種族 テンタクル

 レベル16


 ステータス

Hp:241/241 神気:172/172 体力:673/673 攻撃力:102 防御力:62 速力:462 腕力:64


所持スキル

(補助精霊ⅰ)(吸血ⅷ)(再生ⅶ)(伸縮ⅷ) sp 430


称号

(高速の触手)】


〈あれ?所持スキルの場所に探知がのってないよ?ほんとにスキル取得って出来てるの?〉


恐る恐る千彩都が問いかける。


うぅぅそんな声をしないでくれ。治りかけていた心の傷がまた開いてしまう


そう。実はスキル(探知)は自分の所持スキルの欄には記載されていない。

まぁその理由は今から説明しよう。


[うーんとね。あーほら私ってなんか補助精霊特有の色々なスキルを持ってたでしょ?]


〈うん。〉


[実は補助精霊って自分の固有スキル以外も所持できるんだよ。まぁ補助精霊以外も同じ系統のスキルが集まるとそれも併合されるんだけど。]


〈へぇ〜それは最初に聞いてなかった。〉


まぁそりゃそうだろう。私が最初に教えたことは大体がこの世界の常識。

スキルがランダム取得なこの世界じゃそうそうスキル併合なんておこらない。補助精霊の併合範囲がひろすぎるだけだ。


[まぁそれで、その〜探知も補助精霊のスキルに併合されたってわけ。]


〈はぇあ〉


と、千彩都がわかったようなわかってないような気の抜けた返事を返す。


まぁわかりにくいよね。

私も予備知識無しでこの説明を受けてもわからなかっただろうし。


[うん。まぁ見てもらったほうが速いか。]


そう言うと今度は鑑定を使い補助精霊のスキル事態を鑑定する。


【(補助精霊ⅰ)憑依ⅰ・スキル選択ⅰ・スキル補助ⅰ・探知ⅰ・鑑定ⅰ・念話ⅰ・念動ⅰ・念視ⅰ 

称号 他界の者 】


目の前に出ていたステータス一覧が消え代わりに補助精霊の併合スキルが出現する。


あ。まずい。確かにそりゃそうか少し考えればわかるよな。

補助精霊のスキルを鑑定したんだまずいな。見られる前に消すか…

いや、だけどあの千彩都の悲しそうな声はもう聞きたくない。

これは…あれだ。私の運にかけよう。

頼む見ないでくれ


〈えぇ?!すごいアリサってこんなにいっぱいのスキル持ってたんだ。あ。ホントだ中に探知のスキルもある…〉


どうやら私の祈りは届いたようだ。

千彩都の目はスキルに向いているため私の称号は見えていない。


それに千彩都の声のトーンがまた上がった。

これで私の心の傷も癒えることだろう。


[よしっそれじゃ確認もできたことだし早速探知使ってみますか。]


よしっこれで千彩都すべてを読む前に合法的にスキルを切れる。

それに私も早く探知使ってみたいし。


〈あ、うん。たしかにそうだね。それじゃ、探知使ってみよう!〉


千彩都が嬉しそうな声で同意する。


よしっ

それじゃあ


[スキル探知発動!]



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ