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40.呪いの森にて集合

 早速アリサは手書きのチラシを書き、相談所の前でビラを配る。



「冒険者の方―! 魔物コン開催します!

 みなさんで楽しく狩って、出会いましょう!」



 アリサの声掛けに、面白そうなイベントだと人が集まってくる。



「おお、こういうイベント待ってたんだよ! 

 最近覚えたスキルの見せ所だな!」



 鍛え上げられた筋肉を持つ、剣士の男性が喜んでいる。



「確かに、戦闘中は性格が出るもんね。

 短気や自分勝手な男は嫌だもの」



 冷静なメガネ姿の魔法使いの女性が、チラシを眺めて納得している。



「興味はあったけど、私お酒が弱いから相席居酒屋は行けなかったのよね。

 呪いの森のモンスターなら私でも大丈夫かも!」



 槍使いの女性は下戸なので、お酒の場は参加できなかったらしい。


 反感を買ったり、人が集まらないかと思っていた魔物コンだったが、そもそもギルドのカウンターの端を使っている結婚相談所だし、冒険者が多い町のため、好感触であった。


 体力自慢の若者が多かったおかげで、意外とすぐに参加者が埋まった。



(どうなるかと思ったけど、さすが冒険者の町。魔物狩りコンも満員御礼ね)



 数日後のイベント開始に向けて、ますますやる気をみなぎらせるアリサであった。




*   *   *



 そしてイベント当日。

 アリサは参加者に分かる様に旗を掲げながら、森の入り口に立っていた。



(呪いの森で行われる魔物狩りコン。

 どうか成功しますように!)



 フィルタウンのすぐ近く、呪いの森と呼ばれる森の入り口付近に、続々と参加者たちが集まってきた。



「魔物コン、参加者の方々こちらでーす!」



 甲冑を着込んだパラディン、杖を持った白魔道士、筋肉バッキバキの武闘家、弓を背に担いだ弓使い。


 さまざまなジョブの強そうな若者達が一堂に集まっており、今から闘技場で対戦が行われるのではないかというようなメンツである。


 しかし行われるのは、男女出会いの場、趣味コンである。



「待たせたな」


「こんにちは、アリサさん」



 集合時間のギリギリにやってきたのは戦闘用の赤いマントを着込み、風になびかせたルビオとクレイであった。



(おお、二人とも戦闘用の服を着ていて準備万端ね。

 さすが華があるわ)



 防御力を上げる服を着込んでいても、にじみ出るハンサムオーラはなかなかなものだ。


 ルビオは軽やかに魔術剣技を使うため、細身のレイピアを腰に刺しており、反してクレイは盾と大剣を持っている。

 ゲームでの戦闘シーンで見るスタイルだ。



「みなさんお揃いですね。

 こんにちは、運営のアリサと申します。

 天気も良く、絶好の魔物狩り日和ですね!」



 明るく告げると、参加者達から笑い声が上がった。掴みは上手くいったようだ。



「男女二人ずつの、四人チームに分かれて、魔物と戦闘していただきます。

 ここではレベルの低い魔物しか出ないはずですが、くれぐれも怪我しないように気をつけてください」



 実際のゲームも四人組で戦うため、それに合わせる。



「チーム分けは、レベルやジョブのバランスも考え、私の方で組ませていただきましたのでご了承ください!」



 近距離と遠距離、剣と魔法、レベル高い低いなど、チームのバランスも考え、戦いやすいように組むのに一晩かかった。


 名前を読み上げながら、四人組を発表していく。


 ルビオとクレイは二人とも剣使いなため、魔法使いの女性二人とチームを組むことになった。



「私はエマ。回復魔法が得意よ、よろしくね」


「アンナです。私は攻撃魔法メインで頑張ります」



 女性二人がルビオとクレイに自己紹介するが、美形二人にドキドキしているようだ。



「ル……ルークだ。剣を使う」


「クレイと申します。

 よろしくお願いいたします」



 王子ということがわからないように再び偽名を使るルビオと、紳士的な礼をするクレイ。


「自己紹介は終わりましたでしょうか。

 それでは、魔物コン、開始です!」


 アリサの声が森の入り口に響き渡り、第一回魔物コンが開催された。

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