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4 レイシアの計画

 

 度重なる怪獣の襲撃に、日本だけではなく世界中が疲弊していた。

 壊れた建物の再建にしても、次々に怪獣が現れるため全く進まない。




 国府谷こうだにあきらの望んだ『日常』を取り戻すために、まずは怪獣を何とかする必要がある。


 レイシアさんがこうも執拗に怪獣を送り込んでくる理由はなにか。

 少なくとも地球の制圧のためではない。


 それなら僕がいる以上、怪獣をいくら送っても意味が無いのは分かっているはず。


 レイシアさんの狙いは多分、僕だろう。

 僕に怪獣を倒させることがレイシアさんの目的だと思う。


 いつまで倒し続ける必要があるのか分からない。

 僕がレイシアさんの要求をのむまで、かなぁ。


 逆に僕が地道に怪獣を倒し続けることでレイシアさんが音を上げることは期待できない。

 レイシアさんは僕に怪獣を倒させること自体を楽しんでいる節がある。



 これは僕の側が圧倒的に不利だ。

 長引くほど地球の側の被害が大きくなる。

 レイシアさんの送り込む怪獣の数にキリがないことを僕は知っている。



 僕に選べる選択肢は3つ。


①現状維持

 怪獣を倒し続ける。

 最終的に地球は大きな被害をこうむる。僕は守るべき『日常』を失う。


②降伏

 レイシアさんの要求をのむ。

 地球は壊滅を免れるだろうが、レイシアさんに制圧される。僕はレイシアさんに従い地球には戻れない。


③レイシアさんに手を引かせる

 方法は要検討。説得もしくは……力ずく。

 勝てる可能性はほとんどない。


 

 うう……。

 マトモな選択肢がないな。


 それでもなんとか説得して③レイシアさんに手を引いてもらえないだろうか。


 説得が無理なら……やむを得ない。

 僕も覚悟を決めないと。




 何度かレイシアさんを呼ぶものの返答がない。

 僕の方でもレイシアさんの居場所を探してるんだけど、簡単には掴ませてくれないようだ。

 

 今日も怪獣退治の合間にレイシアさんを呼んだけれど、やはり返事はない。


 ただ呼ぶだけじゃダメなのかも。

 昔のように呼んでみようか。


 ええと……



⋱✮⋰.:*ଘଓ*:꙳°⌖◌꙳✧˖(僕の輝く光)✧ంః⋱♱⋰✰⋆。◌꙳✧♱⋰⋱

꙳✧˖°❁◌꙳⌖✧:.。.✽.。.:(尊き存在)*::.。.✧ంః˖°⌖꙳✧˖°

。.:*:. ✮.❁.。.+。.(遥かなる栄光)⋰⋱♱⋰˖°⌖꙳✧✽.

໒꒱☽:°*✰⋆。:゜・*゜(愛しき同胞)・⋆。✰⋆。:゜・*☽:゜・

・⋆。:゜*☽。:*:+ଘ(麗しのあなた)☆:+꙳✧˖°⌖꙳✧✧ంః◌꙳

✰⋆:゜・*☽:゜。✰⋆:゜・(レイシオデシデンダイ)*☽✰⋆。:゜・*☽

.:*:.。⋱◌꙳✮⋰⋱♱(会いたい)⋰⋱❁.。.。.˖°⌖꙳✧ంః⌖꙳✧˖°






 うわー……、恥ずかしい……。

 でも昔はこうやって呼びかけていたもんです。


・・・・・・・・・・


 レイシアさんの返事がないなぁ……。

 コレでもダメ?



 そう諦めかけていたところ……




「エクスディクタム」


 不意に呼ばれた。

 呼ぶのはもちろんレイシアさんだ。


 ようやく、か。

 恥ずかしいこと言った甲斐があって良かった。




―――――――――――――――――――――



 声のする場所に移動した。


 そこは以前、レイシアさんに会った海底洞窟だった。


 以前はレイシアさんの表情が地球の感覚と同じに判断するこができず、表情からレイシアさんの意図を読み取ることが難しかった。


 けど、今はレイシアさんの表情の意味が分かる。

 僕が来たことを見てとると、表情がぱっと明るくなる。


 レイシアさんは僕との再会を心から喜んでくれている。



「会いたかった、エクスディクタム」


 レイシアさんは僕にその身を寄せた。

 懐かしい感触。



「レイシアさん」


 僕もレイシアさんを抱きしめる。

 途端に抑えようもない愛しさが沸き起こる。


 だって、誰よりも愛していたヒトなんだから。



「昔のように呼んでくれた。嬉しい」



 は、恥ずかしい……。

 でもずっと昔から、僕のホントの気持ちだったよ。


 レイシアさんのこと、心から崇拝していた。

 あなたのためになら何でもできた。

 あなたに喜んで欲しかった。


 何よりも大切な僕の同胞。


 



「エクスディクタム。キミは完全に復活したようだな。祝宴は気に入ってもらえたか?」


「祝宴?」


「キミの復活を確認するため怪獣を大量に投入した。見事だったよ。昔と変わらぬその勇姿をとくと見せてもらった」



 レイシアさんに心酔する哀れな怪獣達を、僕に倒させるために惜しげも無く差し出したってわけか。

 相変わらずだな、レイシアさんは。



「レイシアさん、これは全部あなたの計画通りだったんだね」



 最初から最後まで全部。


 怪獣が出現し、エクスディクタムが怪獣を退治したこと。

 パイロットの順応が進んだこと。

 コアが傷つけられたこと。

 その結果、B・U氏のデータアーカイブのデータをエクスディクタムに復元したこと。


 全部が、レイシアさんの計画通りだったんだ。



あわれな我が同胞、エクスディクタム」


 レイシアさんは僕の目をじっと見つめながら呼びかける。



「キミが姿を消してから、ずっと探していた。広い宇宙からキミの痕跡が消えても、キミが滅びたなどとは信じなかった」


 レイシアさんは僕をしっかりと抱きしめている。



「もう、どこにも行ってはならない。キミはレイシアと同じく支配者としての資質を備える者。たった一人の我が同胞なのだから」


「そうだったね……」



 この世界でただふたりだけ、僕とレイシアさん。


 同胞でありながら、レイシアさんは僕にとっては崇拝する対象だった。


 だってレイシアさんほど美しく尊い存在はない。

 見る者全てがひざまずかずにはいられない絶対的な存在。


 レイシアさんが支配することにより、広大なこの宇宙に秩序がもたらされる。


 それは福音ふくいん

 あらゆる者はレイシアさんによる支配を喜んで受け容れるべきだ。


 あなたは『支配』を求め、僕は喜んでその手足となった。

 僕がこの世の全てを奪い尽くし、その全てをあなたに捧げた。


 それは完璧な世界だったのに。




 だけど、いつからだろう。

 僕はそれに疑問を抱くようになった。



 どんなに尽くしても、どんなに多くの惑星を支配下に収めても、レイシアさんは僕のことは見なかった。

 次のターゲットに関心が移るだけ。


 レイシアさんに心酔し紙屑のように使い捨てられる怪獣達に自分の姿を重ねた。


 あなたにとっては、僕も怪獣と同じ。

 僕は便利な手駒に過ぎない。


 それに気づいてしまったんだ。

 


 それでも僕はレイシアさんから離れることは出来なかった。

 レイシアさんは僕にとって唯一絶対の光だったから。



 愛するヒトのために全てを奪う罪深さに、僕は疲れ果ててしまった。

 いつしか僕は終わりを望んだ。


 僕のコアは無茶な戦い続ける中で毀損した。

 崩れ落ちつつあるコアを修復もせず、僕は滅びの道を選んだ。


 そして念願叶い僕のコアは崩壊した。




 だから僕はもう死んでいる……。







 じゃあ、今こうしてエクスディクタムとして活動している『僕』は何か。


 もう分かるよね?

 僕は『記憶』。


 僕らはとても長生きだ。

 けれどあまり長期間の記憶を蓄積しておくと記憶が劣化してしまう。


 それを防ぐため僕らは『 B()ack- U()p data archive』を作り出し、その外部メモリーに記憶を保存しておく習性があった。


 それがB・U氏。彼は僕のバック(B)アップ(U)データアーカイブ。


 彼を作り出し、自己保存の能力と適宜活動可能な知能を与えた。



 僕が滅びを選んだとき、本来であれば僕の全てと共にB・U氏も滅びるはずだった。


 だって普通そうでしょ。

 死んだ後に記憶のデータが独り歩きしたら大変だから。



 けれど、僕はもう何かを殺すことに飽き飽きしていたんだ。

 B・U氏は僕が作った生命だったけれど、作った以上、道連れにするのは忍びなかった。

 


 だから僕は自分の身体を残すことにした。


 コアのない抜殻ぬけがらとなったエクスディクタムの身体を、まだ何者の侵略も受けていないこの美しい星のための兵器として供することにする。

 その星が異星からの侵略を受けた場合に、侵略者である怪獣を退治するために役立つだろう。


 B・U氏には、その星でパイロットを見つけ、その者のために補助をしてやって欲しい。と。


 B・U氏に、そう指令を出した。

 僕の魂とも言うべき『コア』が滅んでも、兵器に身を変えた身体さえ残るならB・U氏も存続できる。



 それに……。

 侵略者から地球を守るために兵器を提供することは、侵略行為を続けてきた僕のほんの気休めの贖罪しょくざいのつもりでもあった。


 こんなことで僕の罪が消えるとは思わないけれど。





 僕がバックアップデータと身体を残していることを知り、レイシアさんは確信したんだろう。

 これらを使ってエクスディクタムを復活させることができる、と。


 僕の甘さが招いた事態だ。

 こうして記憶だけの存在としてよみがえることになるなんてね……




 

 レイシアさんは歌うように僕に語り掛け続ける。


「レイシアは、ずっとキミを探していた。そしてこの星にたどり着いた。この星に来てキミを見つけたとき、キミは魂のない抜け殻だった」



 レイシアさんは僕の腕を取り、指に触れた。

 僕が生きていることを指一本から全て確認するかのように。



「だが、送り込んだ怪獣の存在に呼応するかのようにキミがよみがえる気配を感じた。時は来た。ずっと待っていた。キミは甦る。そう確信した」



 僕が初めてエクスディクタムに乗った時。

 頭に浮かんだあの言葉。



『待っていた、ずっと待っていたんだ』



 あればレイシアさんの思考。

 レイシアさんの歓喜が僕に伝わったんだ。



「キミは、怪獣を退治するためによみがえる。だからレイシアは地球に怪獣を送り込んだ。何度でも。そのたびにキミは甦り、その気配は段々と強くなっていく」



 レイシアさんは僕の順応が進む度にエクスディクタムの復活を感じていた。


 だからパイロットが自ら順応を進めるよう、わざと言葉も通じないフリをして自身に翻訳をさせようとしていた。



「だがキミは地球人の操り人形。どんなにキミの気配を感じても、キミではなかった。キミの復活に必要なのは、身体と、魂と、そして記憶」



 足らなかったのは、魂と記憶。

 

 エクスディクタムにバックアップデータアーカイブがあることは確認できた。


 それを復元し、魂は地球のパイロットをコアとして固定させる。


 それでエクスディクタムを復活させることができる。


 それがレイシアさんの計画だった。



 エクスディクタムのバックアップデータアーカイブにアクセスし復元する権限はレイシアさんにはない。



「レイシアさんが僕のコアを傷つけたのは、僕が自らバックアップデータアーカイブを復元するよう仕向けるためだったんだね」



 レイシアさんは、国府谷こうだにあきらがバックアップデータアーカイブを復元せざるを得ない状況を作り出し、かくして今に至るわけだ。


 レイシアさんは満足気に微笑む。



「復活したキミはレイシアのことを思い出す。レイシアを誰よりも強く愛してくれたキミのこと、全てが戻れば帰ってくる。そう考えた」



 うん。僕はレイシアさんのことを誰よりも強く愛していた。

 僕の全てはレイシアさんのものであり、レイシアさんは僕の全てだった。



「我が元に帰れ、エクスディクタム。昔のようにふたりでこの広大な宇宙を支配し続けよう。より広く、より強大に。レイシアは君とふたり、そうやって進み続けるのが好きだった」



『帰れ』か。


 そういえば怪獣の言葉を翻訳したとき『帰れ』と言っていたっけ。

 あれはレイシアさんの言葉を代弁していたんだ。

 僕に、レイシアさんの元に帰れと。



「レイシアさんはそんなにも、僕のことを待っていてくれたんだ……」


「当然のこと。キミはレイシアにとってかけがえのないただひとりの愛する同胞。これからはずっとそばにいて欲しい。もう決して離しはしない」



 レイシアさんがキツく僕の手を握る。

 こんなにもレイシアさんは僕を求めてくれたのか。


 長い間、ずっと探してくれて。

 そして見つけてくれた。


 空っぽの僕の抜殻ぬけがらを見ても諦めることなく僕を助けようとしてくれた。


 何度も『キミを助ける』と、ずっと言い続けてたね。




 嬉しい……。

 



 だけどレイシアさん。



「本当にそう思うのなら、なぜ『チャンス』をくれたの? エクスディクタムではなく、国府谷こうだにあきらに」



 僕のコアを壊す寸前に、レイシアさんは一度それを止めた。

『キミにチャンスをあげる』

 そう言って。

 


 これって僕の記憶なんて、なくても良かったってことだよね?

 便利に使える崇拝者さえいれば。



 僕の非難に対し、レイシアさんは全く動じることも無く真っ直ぐに僕を見つめる。



「愛しき同胞、エクスディクタム。

 記憶をなくしてもなお、レイシアを慕ってくれるキミがたまらなくいとおしかったのだよ」



 ……あぁ

 我ながらあきれてしまう。



 国府谷こうだにあきらがレイシアさんに惹かれずにはいられなかった理由が分かったよ。


 エクスディクタムの大切なヒト。

 崇拝し、心酔し、心を寄せていた。

 身体に、脳に、その気持ちが沁みついていたんだね。


 記憶が初期化されても消えなかった。


 国府谷こうだにあきらはエクスディクタムに搭乗するとエクスディクタムの『脳』を通して思考する。

 それで僕に染み付いたレイシアさんへの気持ちに影響を受けてしまったってわけか。


 ……そっかぁ……。



「レイシアさん、あなたがエクスディクタムを待っていてくれたこと、復活のために尽くしてくれたこと、僕は本当に嬉しかった。僕はずっと怪獣と同じ使い捨ての便利な駒としか思われていないと思っていたから」


「キミは怪獣とは全く違う。キミはレイシアの唯一。いつだってキミとの時間はかけがえのないものだった。レイシアはキミを愛している」



 そう言ってくれるのは心の底から嬉しい。


 だって僕は自分でもあきれてしまうほど、この全身、身体の全てに想いが染み付くほどにレイシアさんのことを愛しているんだから。


 ここでレイシアさんの手を取ってしまいたい。


 そうなれば、手始めに地球を制圧するのは僕の仕事になることだろう。


 


 でも……

『もう遅い』んです。レイシアさん。




「レイシアさん、すみません。あなたの手を取ることはできない。僕はエクスディクタムじゃないんです」



 僕だけの僕なら、レイシアさんの元に戻っただろう。けれど、僕の身はもう僕のものではない。

 エクスディクタムは死んだから。




「レイシアと過ごした記憶を持つキミは、エクスディクタムそのものだろう」


「コアが、魂が違う。僕はもう死んだ存在です。今の僕は膨大なデータで自分が復活したかのように錯覚している亡霊に過ぎない。だからあなたとは一緒に行けません。もう支配のために戦うことはできないんです」



「だがキミはもうエクスディクタムとして生きる他はない。キミは地球人ではない。地球では生きられない」



 地球では生きられない、か。

 ……それは実感せざるを得なかった。


 確かに今の『僕』のまま『国府谷こうだにあきら』 でいられるかもと、少し試してみたけれど。


 試してみて分かった。

 僕にはあの世界は狭すぎる。

 満たされないものを満たす喜びがない。


 僕も結局はレイシアさんと同じ。

『支配者』の本質を持つ者。


 残念だけれど僕では地球人の『日常』を生きるのは無理だった。



「今のキミならばレイシアが傷つけたキミのコア、地球人の身体は修復できるだろう。しかし修復したところで戻れはしない」



「それは認める。エクスディクタムの記憶がある以上、もう元には戻れない」



 でも、復元した記憶の再度の初期化は可能だ。

 僕が消えれば、元の『国府谷こうだにあきらの日常』を取り戻せるんだ。

 僕には、国府谷こうだにあきらを日常に返す責任がある。



 けれど、レイシアさんが怪獣を送り続ける以上は、エクスディクタムの記憶を消すわけにはいかない。

 もう国府谷こうだにあきらだけでは地球を守り切れない。




 だから結局僕は懇願することしかできない。



「お願いします。レイシアさん。地球から手を引いてください。エクスディクタムのことも死んだと思って欲しいんです」



 レイシアさんが手を引いてくれさえすれば、僕は安心して消えることができる。


 一縷の望みをかけてレイシアさんを見るが、レイシアさんの視線は険しくなる。



「キミが消えようとするのを、レイシアが見逃すと思うのか? キミをずっと待ち望んでいた、このレイシアが」


 その美しい声は語気を強めた。

 逆らうことを許さない支配者の声だ。



「地球の存在など取るに足らないものでしかないが、エクスディクタムがレイシアのところに帰らない限りレイシアは地球を攻め続ける。怪獣の数には限りがない。いつまで守れるかな」



 それまでの夢見心地な表情とはうってかわり、レイシアさんの瞳に強い『支配者』としての光が宿った。



「それなら仕方ありません。レイシアさん、僕はあなたを止めなければ」



「力づくでということか。

 このレイシアと戦うと?

 レイシアを誰よりも愛するキミが?」



「僕はエクスディクタムじゃない。今は単なる兵器、国府谷こうだにあきらの操縦する機体なんだ。僕は契約により怪獣を退治する。地球を攻撃し続けるならレイシアさん、あなたは怪獣でしかない」



 レイシアさんは一瞬表情を曇らせたように見えた。

  

 うつむいたので、その表情を確認しようと僕が顔を覗き込むと、レイシアさんは静かに低く笑う声をもらした。



「ふ……ふふ……。おもしろい……。

 おもしろいぞ、エクスディクタム!

 キミがこのレイシアを倒す?

 レイシアと戦おうと言うのだな!

 素晴らしい!なんと胸が躍るのだろうか」



 レイシアさんの全身に脈打つ光の脈動が徐々に強く、早くなる。

 光が脈打つ音が聴こえる。


 地が震え、海底洞窟が崩れようとしている。



 


――― 見るがいい、エクスディクタム

 レイシアの力を、戦いを。


 長きにわたり、レイシアは何をしても満たされなかった。


 だが、愛するキミを手に入れる悦びを再び得られるとは、なんと素晴らしいことだろう。


 キミを屈服させ、再びレイシアに愛と忠誠を誓わせてやろう。


 支配こそが我が至上の喜び。


 エクスディクタムよ、その身をもってレイシアを喜ばせておくれ……。 ―――






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― 新着の感想 ―
[良い点] 今話もありがとうございます! [気になる点] レイシアさん、思った以上にとんでもなかった!(動機が) そしてレイシアさんと言えど『魂』はどうにもできないと見える。 [一言] 続きも気にし…
[一言] レイシアさん、少し気の毒な感じはするのですが、いずれにしても、既に死んでしまって、記憶だけが残されたエクスでは、きっと望みは叶えられなかったのでしょうね。 そして、ひょっとしたら、レイシア…
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