【Gravity girl】(恋愛)
「私、地球上の重力を統べる者になったみたいなの。」
俺の彼女がある日突然訳の分からないことを言い出した。勿論戸惑う俺。
「サラは厨二病を発症したのか?」
「違うよ。本当のことなんだってば。」
「そんなバカな話ある訳ないだろ。」
「信じてくれないんだね…」
彼女が悲しみを含んでその言葉を発した途端、ずしりと体が重くなる。
自分自身の体が、というよりも、頭上から押し潰されそうな重みが加わる。
「…くっ、わ、分かった。信じるから。ひとまず落ち着いて。」
「…ホント?」
「ホント。信じる。」
彼女がホッとした表情を浮かべたのと同時にパッと重みから解放された。彼女の言っていることはどうやら嘘ではないらしい。
「ねぇ。私これからどうしたらいいのかなぁ?…どうなっちゃうんだろ。」
彼女の声に不安の色が混じったが、俺は案外軽く答えた。
「お前の心のケアを怠らなかったらいいってことだろ?なら問題ないよ。俺がずっと側で見ててやる。」
途端に俺が、そして彼女が、浮く。二人の体が宙に浮かび上がり、地面からどんどん離れていく。
あたりを見回すと、道行く人たち皆浮いている。
「やめろ、あまり舞い上がるな。」
「そんなこと言ったって、嬉しすぎるんだもん!」
そう言いながら、喜びでゆるむ頬を必死で抑える彼女。しかし、堪えきれず一層体が浮いていく。
…なるほど、これは難しいな。
ふわりふわり。
俺の言葉ひとつでこんなに舞い上がってくれる彼女に愛しさを感じながら、今後の対策を練るとしよう。