6、金平糖
6、金平糖
段ボールを開けたら、暖かい風みたいのが僕の胸に流れてきた。
白黒だった僕の世界が少し色づいた。中にはきっと、お母さんの色が入ってた。
これは何色って言うんだろう?とにかく、柔らかくて暖かい…………優しい色だった。
石守さんと、玄関に座っていると、配達ドライバーがやって来て、荷物を一つ置いて行った。その茶色の段ボールは、お母さんからだった。石守さんが段ボールの封を開けると、中には着替えや、僕の好きな食べ物が沢山入っていた。
その中に、金平糖を見つけた。
金平糖を見ると、お腹の大きいお母さんが、荷物を詰めている姿を思い出した。金平糖を見つめていたら、石守さんが金平糖を僕に渡してくれた。
僕はその一つを口に入れると、何だかほっとして、涙が出た。泣いている僕に石守さんが言った。
「何泣いてんだよ。お前、やっぱりまだまだ子供だな~!」
そうやって僕の事を冷やかした。
「子供の好きな物って、コーラとかポテチじゃねーの?あ、ポテチは入ってる」
石守さんはポテトチップスを開けて食べ初めた。
「お前も食う?」
ポテトチップスを勧められたけど……金平糖が…………
「これ、なめてるから……」
僕は口の中を指差して断った。
「そんなもん、すぐ噛め!どうせ砂糖の塊だろ!」
なめていた金平糖を無理矢理噛もうとしたら、食べ終わる前に無理矢理ポテトチップスを食べさせられた。
「味が混ざる!」
ポテチと金平糖がコラボして、口の中が甘じょっぱい味になった。僕の顔を見て、石守さんがゲラゲラ笑っていた。
石守さんは、僕のペースなんかお構い無しだ。そうゆう所、なんだか少し、シェロに似てると思った。
「しっかし、姉貴のやつ、何で画材なんか送って来たんだ?」
段ボールの中には、僕の絵の具セットも入っていた。
「ポスターの宿題があるから」
それを聞いた石守さんは、さらに疑問を抱いていた。
「いや、画材なら家にいくらでもあるのに……。何もわざわざ送って来なくても。まさか…………俺がもう絵を辞めたとか思われてる?ただのニートだと思われてる?」
石守さんはどこかへ行ったかと思えば、携帯を持って戻って来た。すると、お母さんに電話をかけ始めた。
「もしもし姉貴?荷物届いた。画材なんか送って来るなよ!こっちにあるだろ?」