3、ため息
3、ため息
最悪だ……。
急いで家に帰ると、隼人を汚れた服と一緒に風呂場に放り込んだ。
「自分で綺麗にしろよ~!」
しばらくすると、シャワーの音が聞こえて来た。
面倒な事を引き受けたのかもしれない。本当に、あの姉貴の子供の面倒なんてみられるのか?もう既に、ギブアップ寸前だ。戦闘開始直後、かいしんのいちげきをくらった気分だ……。
でも…………姉貴にバイト代をもらってる手前、すぐに送り返す訳にもいかない。
それにしても…………車の助手席がゲロまみれって…………マジで最悪だ。雑巾がけして、消臭剤かけたけど…………まだ臭う。
隼人が水浸しで風呂から出て来た。
「タオルここ。洗濯機ここ」
「…………」
相変わらず無口な奴……。
隼人は俺の手からタオルを取ると、頭を拭き始めた。ありがとうの一言もねーのかよ。
雑に全身を拭いて、服を着初めていた。まだ全然頭をふけていない。長い髪から水が滴り落ちていた。
「お前さ、無口が悪いとは言わないけど、何か言う事あるだろ? 」
「…………」
隼人はどうしていいかわからないという顔をしていた。
「着替えもタオルも、俺が用意したの。本来お前がやる事を俺がやったの!はい、これでわかるな」
「…………ありがとう?」
何で疑問符ついてんだ?
「おい、大人が子供に何でもやってやるのが当然だと思ってる?最初に言ったよな?自分の事は自分でやれって」
「じゃあ、別に…………やらなくていいです」
「はぁ?お前、人の車に吐いといてその態度はないだろ!?」
ムカついた。何だ?その態度!!
隼人は俺の口調にビビって、すぐに言った。
「…………ごめんなさい」
何だろう…………。とりあえず言った感のある謝罪の言葉。
なんか…………イラつく!!先に謝られたら、これ以上ゲロった事を責めたら、こっちが心が狭いみたいじゃねーか!
「もういい。過ぎた事はこれ以上言わない。でもお前さ、そのウジウジすんのどうにかならねぇ?すげーウザイんだけど」
「…………ごめんなさい」
そう言うと、隼人は泣き出した。
俺は、大きく深呼吸した。いや、これはため息だ。
先が思いやられる……。
俺、こいつとやってく自信…………全っ然ないんだけど……。