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13、絵画教室


13、絵画教室


夢の中では、僕だけの惑星があって、僕しかいない。それなら、誰にも責められないし、誰にも怒られない。誰にも命令されないし、誰にも傷つけられない。


現実でも、僕だけの惑星があればいいのに。


あの後、また水野さんがやってきて、謝られた。

「隼人君、ごめんね。あの、最初の一回はわざと負けたんだけど、その後、マジで勝てなかったんだよね。」


今さら、だからどうだって話なんだけど……。どうやら、水野さんは自分が悪者にはなりたくないらしい。


僕は大丈夫だという意味で、少し笑って見せた。


それからと言うもの、石守さんの様子がおかしい。水野さんがスマホを買ってもらえる事になったら、石守さんが僕にこう訊いた。

「隼人、お前も持つか?」


石守さんがそんな事を言う訳がない。きっと何か裏があるんだ。そう思って断った。


それに、携帯なんかあったら、余計に水野さんと連絡を取らなきゃいけなくなりそうで…………嫌だった。


「石守の所が嫌になったら家に来いよ。養子縁組してやるよ。」

木下さんは真顔で冗談を言う怖い人だ。


「今日の洗濯当番、隼人だろ?さっさとやれよ。」

石守さんは普通に厳しい怖い人だ。


そんな石守さんと、僕は何故か絵画教室の手伝いもさせられた。手伝いというか、暇なら出ろ。と、半ば強制…………完全強制だった。


絵画教室は、廃校になった小学校の美術室を使ってやる事になっていた。人のいない学校は、何だか不気味だった。


僕はびくびくしながら、美術室の近くのトイレに行った。すると、男の子に話かけられた。


「何びびってんだよ。」

「…………幽霊?あ、足ある……。」

「幽霊な訳ないだろ?僕達は小2まではここに通ってたんだ。その時から、別に幽霊なんか出た噂なんかない。廃校だからってお化け屋敷扱いすんなよ。」


それで、平気なんだ……。男の子はさっと手を洗って、先に美術室に入って行った。


午後の早い時間が、子供の時間だった。夕方3時半になると、様々な年齢の子供達がやって来た。


「こいつ、誰?」

それは、当然の反応だ。僕より2、3学年くらい下の男の子が、石守さんに言った。


「石守謙治です。田中先生の後をしばらく務めまさせていただきます。短い間になりますが、よろしくお願いします。誰って言ったの誰だ~?そいつから自己紹介~!」

「え~!」

「え~じゃねー!どっちみち、回って来るんだから、最初も最後も変わらねーよ。」


男の子はしぶしぶ立ち上がると、自己紹介をした。

「溝口 博也です。」

それが、男の子の名前だった。僕より1つ年下だった。


僕の番が回ってきた。僕は緊張と恐怖で、なかなか立ち上がれずにいると、後ろの席の子に椅子を蹴られた。僕はバランスを崩して、椅子ごとひっくり返った。


近くの子が「大丈夫?」と言ったり、クスクス笑ったり、反応は様々だった。


椅子を戻して、立ち上がって挨拶した。

「大森隼人です……。小6です。」

「聞こえませーん!」


そう言ったのは、後ろの席の博也だった。


僕が、挨拶をして座ると、ヒソヒソ話す声が聞こえて来た。他の子供達まるで、僕の事をよそ者を見極めるような、珍しい物を観察するような、そんな目で見てきた。


転校生ってこんな感じなんだ……。


すると、美術室に、一人の若い女の人がやって来た。みんな、口々に誰?と言い合っていた。


あれは…………誰なんだろう?


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