表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

25/54

勇者の奇行


 ――――僕はなぜこんなにも優れているのか?


 あらゆる物事をその手腕で乗り越えてきた勇者レクレスの唯一無二の悩み。


 こればかりは自らの頭脳を以てしても解けなかった。



「……周りに聞いても平凡な答えばかり。僕はこの孤独と向き合うしかないらしい」


 ドローススが巨怪討伐へ行った後、彼は更に足を進め別の場所へと辿り着いていた。

 そこは魔王軍が支配する辺境の地。


 たったひとりで魔物相手に無双し、その本拠地を落としていた。


「ちょっと本気になったらこれだ。……力もあり、知能も抜群。選ばれた存在にしては出来過ぎだ。……そう、僕は優れすぎている。優れすぎた僕が出来ることなんて……もう宇宙を統制することしかないじゃあないか」


 ため息と共に倒れ伏している女幹部を見つめる。

 どうやらまだ息があるようだ。


「お、のれぇ……勇者め。魔王様の所へは、行かせぬ、ぞぉ……ッ!」


「ムカつくなぁアンタ。……そうだね、その無駄に淫乱な身体でそんな生意気なこと言うんだったら……」


 ニタァッと表情を歪めると女幹部に歩み寄る。

 その表情に悍ましい欲情と殺意を感じ取った彼女は思わず戦慄し動けなくなった。


「こうしてあげるよッ」


 倒れ伏す彼女を抱きかかえるように腕を背中に回す。

 そしてそのまま目一杯締め上げ始めた。


「う゛ッ!? がぁぁああああああッ!!?」


 鯖折りの要領でその細身の身体からは考えられないほどの膂力で女幹部を圧殺していく。


「ムカつくなぁ、大抵の女の人は僕に優しくしてくれるのに……僕と一緒になりたがるのに……君は違うんだ? ムカつくなぁ。こんなにも気持ちいい身体してさぁ……、なんで僕を受け入れてくれないのかなぁッ!?」


 勇者レクレスの特徴として全肯定者は女性の割合が非常に高い。

 その誰も彼もか彼を心酔し、あろうことか一緒に添い遂げたがる。


 レクレスもそれが普通だと考えていた。

 女性は自分を肯定してくれる、なぜなら自分は優れていて正しいから。


 ただ、自分に振り向かない女性や否定してくる女性に関しては辛辣な態度をとる。

 今締め上げられている女幹部やグルイナード王国の王女ティヨルのように。


「ふざけるな……認めないからな。せめて僕を満足させてから死んでもらうぞッ!」


「や、……やめ、ろ! ひっ!? やめっ!」


 レクレスの顔が敵の豊満な胸の中に埋まる。

 いや、彼自身がそうなるように位置を整えた。


「やめろこの変態! ……クズッ! クズ野郎ォオ!」


 柔らかな感触とむせ返るほどの女の薫り。

 顔の動きに合わせて形を歪めるそれとその奥から聞こえる心臓の音。


 その柔らかさと薫りにむしゃぶりつき、舐め回す。

 興奮と光悦が更に力を増幅させ、彼女の身体をメキメキと壊していった。


「あがッ! ……が、……ぁ」


 とうとう息絶えた女幹部は脱力状態で勇者にずっとそのまま抱かれていた。

 勇者の荒い気遣いで身体が揺れるたびにその動きとシンクロする。


 まるで男の抱擁を受け入れた女のように……。


「……フン、雑魚が」


 無造作に投げ捨てると、今度はその死体を情欲を以て味わい始めた。


 人間の女のように妖艶な女幹部の身体を乱暴に、ただ乱暴に嬲りつくした。


 小一時間にも及ぶ行為の後、一仕事終えたかのように伸びをする。


「さぁて、この山を越えればすぐに魔王の城につく。一気に行ってしまおう」


 まるでピクニックに行くかのように鼻歌交じりで地獄の光景を進んでいく。

 人々の希望にして救世主、勇者レクレス。


 その道は常に犠牲と殺戮によって彩られていた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ