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この世とあの世の生活

この世とあの世の生活〜第13話〜

作者: 福紙

「…」


「…」


「…」


「ぷふ…っ!!」


現世のアパート。閻魔大王と白刃(しらは)は読書、こん助はタブレットで現世の“怖い話”を読んでいる。ただ1人笑う者がいた。


「怖いくないじゃん!これ笑い話!」


現世へ許可を得た半人半龍の杏慈(あんじ)は笑った。杏慈はこん助が作った黒地に白字で“獄卒娘。”と書かれたTシャツと短めのスカートをはいていた。下半身は龍である。


「まぁ、杏慈さんがいれば…」


「っ!こん助!」


「ひゃあ!すみません!!」


白刃が牙を出して反射神経で怒った。だが咳払いをしてまた本を読み始めた。


「夏といえば、怪談とは現世も不思議な者よ。昔からあるがな。直接冷水などで涼を求めればよいであろうに。だから、心霊すぽっとだがなんだがに行くのだ。幽霊より怖いものが待っていると言うのにな…」


「人の私有地に勝手に入ったら不法侵入ですよね」


「現実の罰が待っている」


と閻魔大王とこん助はとても現実的な事を言った。


「中の人が頑張って怪談物を書いていると言うのに…」


「あちらはあちらだ!こちらはほのぼの路線であるからな!」


「て言うか、地獄じゃそんな事言ってられないじゃないですかー!でも河原の子供には効果抜群そうだなー」


「子供には罪は…まぁ親より死んだ罪はあるが、怖らがせなくてもいいだろう…」


と白刃は杏慈に苦言を言う。閻魔大王はクスクス笑った。


「白刃よ、相変わらず杏慈に優しいな…。だがもう遅い。私が河原の子供に話をしてやった。みんな泣いて獄卒どもにしがみついていた」


「何をしてらっしゃるんですか!?この鬼!」


「私は鬼の親玉だ」


「くっ!そうだった!!」


と白刃は奥歯を噛み締めた。するとこん助が何かを見つけた。


「閻魔様!白刃さん!杏慈さん!西洋の怖い動画なんて見つけました!」


「ぬう?西洋か…そう言えば見た事がないな…。だが、怪談話などは日本が1番恐ろしいと聞いたが…」


「まぁ、日本は独特の怖さがありますからね」


「してこん助」


「動画とは」


「何?」


「そう来ると思いました。早い話は映画と同じく、閻魔様の浄玻璃鏡(じょうはりのかがみ)と同じです」


「…映画って何?」


「そうだ!杏慈さん映画知らなかった!今度、白刃さんに連れてってもらってください!」


「何故私が?!」


と納得しない白刃をさておき、こん助はちゃぶ台の真ん中にタブレットを置いた。そして3人と1匹はタブレットが見えるように座った。小さいタブレットを囲む地獄の者たち。こん助は再生ボタンを押した。


「わ!ホントだ!浄玻璃鏡みたい!人間が箱の中で動いてる」


「浄玻璃鏡は現世の行いを映す物だがな…。現世にも似たようなものがあるとは…。そしてこれは全世界地獄会議に行った時だった」


「あぁ、ありましたね」


「西洋のさたん殿とはです殿曰く“日本の現世に彷徨う霊は何であんなに大人しいのか?”と言われた」


「霊?私は見た事ないなー。亡者しか見てない」


「…亡者も似た者だろう?」


「貴様、現世で禁忌を犯しておきながら何を言っている?」


「うっ!も、申し訳ございません!!」


「ほらほら!例の場面に入りますよ!」


と動画はナレーションつきで外国人の若者が映っていた。みんなで火を囲んでキャンプをして楽しんでいるようだ。


「…こん助よ、こやつら何をしている?」


「キャンプと言う娯楽です。テントと言う、布で家のようにして外で楽しむのです」


「ふむ。楽しそうだな。今度行こうぞ」


と、杏慈が動画を指差した。


「ねねね!この男の人の後ろ…ほら林のところに白い服来た女の人が立ってるよ!」


杏慈の言う通り、ナレーションより先にもう見つけていた。


「こやつ、本物ぞ。しかし、これでは日本の霊と同じではないか?」


やっとナレーションが女の霊に気づいたように話す。こん助はちゃぶ台に顎を載せた。


「何だー。これじゃ日本と同じじゃないですかー。つまんないですね」


「む、皆気づいたようだ…と言うことは見えていると言う事か?」


動画ではビデオを写している者が林に立つ女の霊に気づき、仲間たちもそちらの方を向いている。


「こんなにハッキリ見えてたら人って思うよね〜」


「つまらぬ。こん助、何か他のないのか?」


「そうですね…」


とこん助がタブレットの画面を触ろうとした瞬間、


《と、次の瞬間!!》


とナレーションが言った時だった。林にいた女の霊が画面に向かって青白い顔をしながら、ものすごい形相で飛びかかって来た。


ガタンッ!!!


「「「「!!??」」」」


驚いた閻魔大王はあぐらをかいていた膝をちゃぶ台の裏にぶつけ、こん助は驚いてタブレットを倒し、白刃は杏慈を(かば)うように前に出、杏慈は白刃の背中に反射的にしがみついた。タブレットのスピーカーからは叫び声が聞こえる。


「なななななななななななななんですかかかかかかかかかいいいいいいいいいいまままままままののののの…」


「こ、こん助…!お、落ち着け…!ただ、ただのおどかしに、す、すぎん!!」


「と、飛び出て来るかと思ったぞ…!」


「ご、獄卒より怖い顔してた…!」


初めて見る西洋の霊。日本の獄卒たちはカルチャーショックを受けていた。


「そ、そう言う意味か…?!さたん殿やはです殿が言っていたのは…?!」


「にににに日本…、ソットデルカ…フリムイタライルパターン」


「こん助!!気を確かにしろ!貴様も一介の獄卒であろう!!」


「白刃ぁぁ〜!私、ビックリ系ダメーー!!」


「ぐぉぉおお!!く、苦しい…!!杏慈…鱗…!!刺さる…!!」


その後、落ち着かせるために日本の怖い動画を見直し、心を落ち着かせるのであった。

閻魔大王たちは霊の気配をすぐ感じるので背後に立たれても気づくため、驚かないけど、まさか飛びかかってくるとは思わなんだ。

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