第一夜
初投稿です。ジャンルとか間違えてないかな?・・・まあジャンル通りになるかは未来の自分に任せますか。
とりあえずここのシステムに慣れようと思い、行き当たりばったりで適当に書いてみようと思ってます。よろしくお願いします。
あなたは見たことはないだろうか?
──はぁ、はぁ
そこはいつでも夜で、見たことも無い町をいつも彷徨っている。
自分以外の人はあまり見かけることはなく、見かけても、まるで影がユラユラ動いてるかのように人の形をしている以外分からない。
──はぁ、はぁ
それなのにその人型の影は、どんな服装でどんな顔立ちか、装飾品は付けているかどうか、さらには今どんな表情をしてるのかさえ何故か分かるのだ。
──はぁ、はぁ、はっんっく、はぁ、はぁ
「はぁ、まだ、追いかけて、はぁ、来てるっ!」
怖くて後ろを振り向いていない。それでも何故か分かる。ヤツがすぐ後ろまで迫ってきてるのが分かる。
このたまに見る夢だが、今回は少し様子が違っていた。
今回も気が付けば見たことの無いはずの町で、畦道をとぼとぼと歩いていた。今回はどこぞの田舎町の様だった。ふと、この道の先に確か小川があった筈だな、と知らないはずの事を思い出してそこまで行ってみることにしたのだ。
やがてその先ほど湧いたイメージ通りの小川へと着いたが、こうしてみると少し様子が違う。イメージより川の流れが速いのだ。雨でも降っていたのだろうか?少なくとも今は雨は降っていないのだが。
そんな事を考えていると、少し離れたところから複数人がやってくるのを感じて咄嗟に近くの岩陰に身を潜めた。そっとその人達の様子を伺ってみると人影は三人いて、内二人は何か横に細長い物の端を持って川渕へと運んでいた。最後の一人はその二人を背にして、辺りの様子を伺っているようだった。
やがて何かを運んでいた二人は川渕まで辿り着き、その運んでた細長い物を数回ブラブラと揺らした後に、川へポイと投げ捨てたのだ。その瞬間に、運んでいたソレが何なのかが分かった。
細長いソレは人を詰めた麻袋なんだ、と。
それを知った瞬間に怖気が走り、早く逃げなければ、と慄いた。それがいけなかったのだろうか。辺りを探っていた最後の一人に見つかってしまったようで、何かを言いながらこちらを指さしてきたのだ。それを切っ掛けに、弾けるようにその三人とは逆方向へ僕は走り出した。
──はぁ、はぁ
僕はただ只管に走っている。
──はぁ、はぁ
あいつ等とはもうそんなに離れていないのが分かる。この分からない事が何故か分かるこの町による理解とも違う。このすぐ後ろから迫っていると感じる圧迫感が、奴らの存在を知らせているのだ。
──はぁ、はぁ
もうほぼ真後ろまで来ている。そう感じる。僕はもう駄目だと思い、つい後ろを見やる。ごつごつとした男の腕が、今まさに僕の右肩を掴もうとしている瞬間だった。僕は悲鳴なのかよく分からない、息が抜けたように小さな声を漏らした。
その時、僕は不思議な浮遊感に包まれた。
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「──るの。起きろ春野夢路。」
僕は怖々右肩を見ると、担任の先生が右肩を掴んでいた。ごつごつとした男らしい手だ。
「あ・・・ええと、スイマセン。」
まだ少しぼやけながらもそう返事を返した。
「先生のこの魅惑的なバリトンボイスに夢現になるのも分かるがな、今は授業に集中しろよ。」
「せんせー、俺も先生のバリトンに魅了されて眠いでーす。」
クラスに一人はいるムードメーカーの柿崎 守だ。
「柿崎、寧ろいつも真っ先に寝てるお前がまだ起きてるなんて奇跡的だな。」
ドッとクラス中が笑う。僕もそれに倣って笑う。あとで柿崎にフォローありがとうと言っておこう。
ひとしきり笑い終わった頃に丁度よくチャイムが鳴ったため本日最後のその授業が終わる。その後掃除してホームルームへとなったが今日は担任の先生が簡潔に済ませてくれたのですぐにお開きとなった。勿論帰り際に柿崎にお礼を言っておくのは忘れない。当の柿崎は「何のことだよ。」と言いながらもニヤリと笑い、肩をポンポンと叩くと部活に行ってしまった。僕は帰宅部だ。
家に帰ると面倒に感じる前に宿題を済ませ、紅茶を煎れてから自室で読みかけの小説を読み進める。
暗くなり始めた頃に妹が部活から帰り、少しして母と父が順に帰ってくる。全員で夕食をとり、他愛ない事をだべりながら過ごし、順に風呂へ入ってから歯を磨いていつもの様に寝る。それが、何処にでもあるようなありふれた僕の日常だ。
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瞼を開ける。ここは夢の中だ。すぐに分かった。
部屋の中なのか、それとも外なのか。遅々としか進まない中、僕は人型の影の後ろに付いて歩いていた。後ろにも同じように影が付いて歩いている。どうやら列に並んでゆっくりと進んでいるようだ。少し先にはこの列を並べていると思しき影も見える。
ここもあの町と同じく何故か分かるのが分かる。ここは入り口なんだと。
何の?それは知らないが、あの町へ続いているのだろう。そうぼんやりと思っていた。
やがて何に並んでいたのかが見えるようになった。
直径4、5メートル程、膝くらいまでの高さの円柱の中が下りの螺旋階段になっていて、その中に順に入って行ってるのだ。その階段は液体のようなものに満たされていたが、入っても苦しくならない事を知っていたのでとくに焦ることも無かった。体は自然と動いていて自分の意思で動かせなかったが、それも知っていた事なので気にならない。
やがて螺旋階段まで辿り着き、液体のようなものの中へ入っていく。静かに波打ちながらも零れる事は無く、僕は階段を下りながら段々と沈んでいった。
いつの間にか瞑っていた目を開けると、そこは古ぼけたレンガでできた塔の螺旋階段を下っていた。前にも後ろにも誰もいない。人の気配も感じなかった。僕は取り合えず、引き続き階段を下りていく事にした。明かりは見当たらないのに何故か当たりの様子がよく分かる。
途中で幾つか、ダンジョンらしき部屋があった。ダンジョンと言っても昨今のゲームの様にイメージされるものではなく、立て籠もりの出来る堅牢な部屋という本来の意味でのダンジョンだ。
試しにその中の一つに入ってみたが、一言でいえば監視室とでも言えばいいのだろうか?片方の壁面に沢山ならんだモニターがあり、その下によく分からない機器が付いた台が連なっていた。何だろうと思っていると、急に何かに押されるように部屋を追い出され、重厚な扉が閉まった。
再度開いてみようとしてみたのだが、扉はもうビクともしなくなってしまった。一体何だったんだろうか・・・。いつも分からない事が分かるわけではない。それは多分、誰も知らないからだろうとふと思う。
仕方がないので階段を下りるのを再開する。途中にまた何度かさっきのと似た扉があったが、どれもビクともしなかった。
どれくらい降りたのだろうか?よく分からないが結構な時間をかけて階段を降りると、漸く最下層まで降りる事が出来た。
両開きの扉に触れると、ひとりでにゆっくりと開き始めた。その隙間から撫でるような風と共に外の香りが入ってくる。
「今度は何処だろう・・・。この前の続きじゃないといいんだけど。」
今のところ同じ場所に出た覚えは無い。最も、同じ町の別の場所だったならあったかも分からないけれど。
扉の先は何故か暗くて見通せないが、心配は無い事は知っている。僕は不安と期待を半々に感じながら一歩扉から出る。
瞬間、ぐらりと酔いにも似た感覚と共に着いた事を感じた。
●集合的無意識
カール・グスタフ・ユングが提唱した分析心理学における中心概念であり、人間の無意識の深層に存在する、個人の経験を越えた先天的な構造領域である。普遍的無意識とも呼ぶ。個人的無意識の対語としてあり、ユングはジークムント・フロイトの精神分析学では説明の付かない深層心理の力動を説明するため、この無意識領域を提唱した。 - Wikipedia
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今回はこの辺で・・・。
一応は適当に完結を目標に立てるつもりですが、あくまで予定は未定です。^^;
因みに元ネタは、作者が中学時代に見た夢です。印象的だったので覚えていました。