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軍帥。

久しぶりの投稿。睡魔に負けずどうにか投稿しました!!

あまり書く時間が無く、文字数も少なめですが、そこには目をつぶって呼んでもらえると幸いです。

それではどうぞ!!


「────燃やせ……」


八枚の刃から荒波のような蒼い炎が俺を縛っていた鎖と、周りを囲んでいた賊たちに触れた瞬間、それらは灰も出ない位綺麗に燃えた。断末魔も波に引っ張られて俺の耳にまでは届かなかった。

その後、身体中から出ていた蒼い炎は姿を消して、老騎士は近づいてきた。


「立てるか坊主。よーく頑張ったな、後で旨い肉でも奢ってやるよ」


ガハハと豪快に笑いながら俺の頭をポンポンと優しく叩いた。俺は本当のグラン帝国の騎士が来てくれたことに今になって気づき、嗚咽を漏らしながら涙を流す。


「ガハハ、もう大丈夫だぞっと……それより、他に仲間入るか?」


耳元で優しく老騎士は囁き、俺はコクコクと頷いて、道場院の入り口を指差した。


「あっ……そこに…アル兄………に、兄ちゃんが……」


どうにかそう伝えると、老騎士は力強く頷いてから、俺に深緑の飴玉を手渡した。そっと口に含めて転がすとほんのり苦い抹茶の味が舌に染み込んだ。


「うめぇーだろ」


老騎士は俺の頭をまたポンポンと叩いてからその場から立ち上がりまた抜刀した。


「久しぶりだなーグラナ、それにワラキア」


あの二人の名前だろうか、まるで旧友と再会でもしたかのように話し始める。


「……ブロム。まさか単独で来るとは、舐められたもんだな俺達も」


ポンチョいや、グラナが口調とは真逆のピリピリとした緊張と殺気を張り巡らせながら、少し強気にそう答えた。


「ガハハ、今はちょっと一人で時間稼ぎしてほしいって言われちまったんだよこれが」


まるで老後の世間話の様に老騎士も話す。後ろから見たその姿は、戦のために生まれたかのようだ。それは甲冑が凄いとか、武器が凄いなどそういうの以前に、その背中が独特の雰囲気を醸し出し、畏怖させる。


「じゃあ、まぁ久しぶりに殺り合うか……」


老騎士は屈伸や伸脚などをしながら、飄々とそう言い放った。今日の朝食の献立を聞くように、普通に聞いていたら聞き逃すような普通な声で。

ワラキアとグラナはなにかに怯えたように数歩後ずさった。俺とアル兄を、まるでボロ雑巾のように吹き飛ばした二人がこういう反応をとるということの意味を察して、今頃になってこの老騎士の凄さが身にしみた。


「なんだよ、テイマー二人が揃いも揃って、齢50のオッサンに怖気ついちまったんかよ」


────この二人が弱いんじゃない。この人が強すぎるんだ……


ランスの様な剣を握るその背中を見つめ、こうなりたいと本心から憧れた。俺も木刀を拾い、杖がわりにして身体中に力を込めると、血が流れ出し、もう戦いたくないと悲鳴をあげてくる。それでも、あの人と肩を並べて闘えるようになりたい。という一心で、もう動かないと思っていた足に懸命に力を入れる。

老騎士は俺を横目で見て、フッと小さく笑った。そして、鉛のような重く響く声で俺の足を止める。


「坊主はそこで休んでろ。大丈夫お前の仲間は誰ひとりとして、見捨てねぇーからな」


俺はいつの間にか頷いていた。あの言葉自体にすごい強制力があるように感じながら。


老騎士が剣を構える。空気がドッと重くなり、肌に控えめな緊張と穏やかな殺気が流れる。

グラナとワラキアも構え、まるで森が俺の場所だけ抉りとったかのような雰囲気に包まれる。鳥がそれに耐えきれなくなったのか、自由を求めて空へ飛び立つ。翼が風の、木々の道を切り開き、微かな音が鳴る。それを合図に老騎士が静かに詠唱を始めた。


「憑依しろ我が蒼き炎の龍よ」


その声に反応したのか、剣に命が宿ったかのように、ドクンッと脈だち、全身を鱗製の青い甲冑に変化し、それはその主にまでにも反映された。

もはや顔以外全てが鱗に覆われた老騎士は片手で掴んでいるそれを高々と掲げ、体の芯まで響くような声で戦意を示す。


「さぁ、どこからでもかかって来やがれ。お前の敵は正真正銘我がグラン帝国その者だ!!」


そして剣が第二の反応を見せる。

今までは薄らとしか見えなかった炎が、今は刃の周りに青白い龍がとぐろを巻いている。そいつから発せられる熱気は、十五メートル程離れているはずの俺にも感じされるほどだ。その証拠に、彼の周りの草木はその暑さに耐えかね、燃え盛り、灰へと変わっているのだ。


「……来ねぇーなら俺から行くぞ!!」


少し興奮状態なのか声を荒らげながら、高々と掲げていた剣を地面が割れんばかりに振り落とす。

その衝撃はとてつもなく、地面は抉れそこの空気までもがそれに耐えかねて消滅してゆく。

それの後を追うように青い龍が地面の上を飛び抜ける。

地面が轟くような爆音と、全てを無に返す炎を俺は────ただ見ることしか出来なかった。


***


仲間達の体が一瞬で灰に変わった。あと三秒ほどすれば、それらと同じ末路を俺は辿るだろう。

内心では分かっていても、ワラキアは冷静だった。何故なら彼にはある秘策があるのだ。そこの少年ヒロの様な緋色の羽衣と同じように。


***


────何をするつもりだ?


手を出しても足で纏になって終わりだと察した俺はこの三人の戦闘を見ようと決心した。悔しさで手が震えるが、これも修行だと心に強く刻みながら観察する。


ワラキアは腰につけていたランタンを目の前に掲げる。あと一秒ほどでそこら辺の死体と同じように丸焦げになるというのに、逃げる気配すらない。首を傾げていると、ランタンの目の前に黒紫色の魔法陣のようなものが出現した。

盾?と思ったが、それにしてはとても薄っぺらそうでそれには見えない。

それで俺はふと、昔ししょーが教えてくれた事が脳裏に浮かんだ。


『闇属性は他の属性を吸収する力があるんだ。お前らの炎属性や、輝属性もあいつらの目の前で無闇に撃ったら速攻吸収されちまう。多分テイマーとかだったら、軍将から貰える神器の技でも吸収されちまうかもな』


────あの炎を吸収……?


理性ではそんなの無理だと笑っている。でも、どこか心からもしくは生まれながらの野生の本能が俺に警告する。このままだとマズイと。


魔法陣と龍が衝突した瞬間、この世の全てが吹き飛ぶのではないかというほどの、爆音と衝撃が俺を襲った。それに耐えようと試みたが、二秒と待たずに吹き飛ばされ、大杉の幹に背中を強打する。


肺の空気が抜けるような感覚に襲われ、咳き込みながらゆっくりと立ち上がる。龍が勝ったのか、それとも魔法陣が勝ったのか。ただその結果だけが見たくて、俺はそこへ向かう。


向かってから俺は後悔した。彼らはその結果などなかったかのように普通に剣で戦っていた。まるで先ほどの衝突が初めからなかったかのように。しかし、三人とは別に爪痕は確かにあった。


道場院は半壊し、あたりの木々は燃え尽き地面は抉れていた。つまり、あの爆炎を彼は防いだのだ。

信じられない。俺はもうこの人達を人間だと認識すること自体に首を傾げたくなる。全員吹き飛ばされて身体中傷だらけのはずなのに、そもそも傷なんてなかったような動き。俺には絶対真似出来ないとこのろのそこから感じた。


***


────さっきので属性力の殆どを持っていかれた。


激しい戦闘の中で焦りだけが心を蝕んでゆく。少年には確かに全員助けると約束してしまったが、ワラキアと何よりグラナが手強すぎて決め手を出せない。

奴が片手から出してくる、鎖のような拘束具がとても厄介すぎる。一度拘束されれば、そこを炎で燃やして逃げるしかないのだが、先ほどの一撃でそれを消す力さえもったいないも感じてしまう。


もうそろそろまずいと感じていた頃、帝国森林が今度は大勢の兵士を招き入れた。数にして大体三十。先頭の男を筆頭に仮面と兜が合体したようなものを、頭に装着している。


それに気づき、俺は半壊している道場院の屋根へ飛び乗ってから、残りの属性力を使って奴らに属性術を放った。


「────ファックル!!」


属性力切れで体がふらついた。炎の玉はやはりワラキアによって簡単に吸収されてしまった。

しかし、増援を見て引き時と感じたのか、二人共煙玉のようなものを出して、姿をくらました。

奴らの雰囲気が消えるのを肌で感じたのと同時に、《コムン・リター》達が頭と片膝を下げ右手を左肩に当てる最高級の相手に向ける敬礼をしてくる。


「申し訳ございません、ブロム軍帥。そして時間稼ぎありがとうございました。村にいた賊共はほとんど撃退しました。」


***


サラサラと流れが早すぎて目が回りそうな感じもしたが、どうやら呑み込めた。そして、仮面の中で反響して耳にくぐもった声が届く。それを聞いて、仮面の集団の名前を思い出した。


────《コムン・リター》


仮面を被っているグラン帝国直属の少数先鋭部隊。帝国軍だった頃の実績などは全てが不明で、名前も然り。個人個人の詳細を隠していることと、実際に仮面を被っていることから、ついた通り名が《仮面の騎士団》。

少し不名誉な名前だが、今ではコムン・リターよりもこの名前の方が定着している節もある。


昔ししょーが授業で教えてくれたことを、容量の悪い引き出しからなんとか見つけ出し、詳細を引っ張り出す。


『そんで一番面白いのが《そこの騎士長が輝のテイマー》なんだよ。』


何故かあの時はいつも以上に誇らしそうに教えてくれた『輝のテイマー』についての話も一緒に思い出した。

つまり話題になっていた輝のテイマーが、ブロム軍帥と話しているあの男というわけだ。


彼との連絡が終わったのか、数人の仮面の騎士が、俺の目の前に現れて、話を聞かせてほしいと聞いてきた。

俺は気合を入れて直して口を開く。アル兄が半壊した建物の下敷きになっていること、俺ら以外の仲間は村にいること。

全てを報告し終わってから下山して、直ぐにみんなと合流した。

そして言われたのが、明日の早朝にこの村を立ち、央都へ向かうとのことだった。住み慣れたここを離れるのは正直悲しいが、今すぐにでも安全な場所に避難したいという気持ちも、心の中に確かにあった。


俺は今夜限りの避難所となっている、テントの中で泥のようにぐっすりと眠りについた。

最後の方はちょっとぐちゃぐちゃになってしまいました。

本当にごめんなさい。

また、最近は部活と勉強で書く時間が蝕まれてしまっているので、今回の様な感覚になってしまうかも知れません。

これからも宜しくお願いします。

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