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編集中です。

お久しぶりです。なるがうす、です。大学入学してから最初の投稿!

まだまだ環境には慣れませんが、楽しく過ごさせてもらっています。


それではどうぞ!


ガタガタガタガタ……

道を少しでも外せば、街を流れる河へと落ちてしまいそうな細い石畳の道をひたすらに進む。

馬車の座席は多少クッションがあるとは言え、それで全ての衝撃を吸収できる程の力は持ち合わせてはいなく、俺の臀部が微かにヒリヒリする。


「もうすぐで着くからね、もう少しの辛抱だよ」


温和で人が良さそうな男性が(たずな)を握りながら、優しく話しかけてくる。


「えぇ、大丈夫です。ありがとうございます」


ししょーがさっきまで顔を歪めていたのに、すぐに笑顔に変えて応対する。これが大人の対応というものなのだろうか……なんというか面倒だ。


坂を登り森林に入り開けると大きな、とても大きな城のような豪邸が1軒建っていた。


「他の貴族のみんなの家に比べたら、あまり大きくないけど我慢してね」


轡を握っていた男性が微笑みながら馬車を止める。すると、黒くフリルの着いた服の上から白いエプロンを羽織った、いわゆるメイドと言われる者たちが小待っていたかのように出迎える。


「おかえりなさいませ、ご主人様。そちらの方々は……お客様でしょうか?」


「あぁ。居候することになった、道場院の方々だ。他の人たちももう到着しているかね?」


メイドの人達はコクリと首を縦に振る。


「お荷物お持ちします。どうぞ……」


茶髪の三つ編みの気弱そうな少女が、俺に荷物を渡すように促してくる。


「持てる?」


俺の荷物は本などが何冊も入っているので、みんなの荷物よりもだいぶ重い。だが、その少女はコクリと再び今度は俺に首を縦に振ったので 心配になりながらも、俺は自分の手荷物を彼女たちに渡した。


「あっ……」


と、少女は俺のリュックを持った瞬間、それを掴んだまま吸い込まれるように地面に落としてしまった。


「───ひ!ご、ごめんなさい……」


彼女は顔面を蒼白にしながら頭を下げる。そのバッグにはセアからの手紙が入っているが、その中に沢山の本を入れていた俺にも非があるだろうし、一概に彼女を責めるのは気が引けた。


「大丈夫、俺が持ってくから」


 俺が彼女の手からリュックを取り返す。しかし、その少女は体を震わしながら、涙目になっている。


「ダメ。やらないと………」


 小さな声でそう言ったが、あまりにも声が小さいので俺にはよく聞こえなかった。


「すまないねヒロ君。スレヴはここにきてまだ日が浅いんだ、許してはくれないかな?」


「え、まぁ」


唐突な馬車おじさんの乱入に少々取り乱しながら返事をする。別に怒ってもいないので許すも何もない────まぁ少し不思議には思いはした────のだが……スレヴとはあのメイドのことだろうか。


「ん、不思議そうな顔をしているね。そうかまだ私の自己紹介をしていなかったね」


ゴホンッとわざとらしい咳払いをしてから唐突に自己紹介を始める。


「私の名前はオンクル・ジ・ヘイドここヘイド家の現当主だ。あまり豪華なもてなし出来ないが、貴君たちが満足のいくような歓迎ができたら幸いだ」


おじさんではなく、この子の説明をしてほしかった……思いながら聞いていたが、え、当主?


『ふははー!生意気なガキめ、明日処刑してやろうかー?』


頭の中で今までの生意気な行動が脳裏に浮かび道場院での懐かしい思い出がよぎる。


そうなる前に俺は両手を前に出して手枷がかけられるようなポーズをとる。


「どうか…命だけは……!」


その場の俺だけに妙な風が流れた。寒いような、鳥肌がゾワゾワっと立つような変な感覚。


「お前はいったいなにをしているんだ」


アル兄が異物を見るような目で俺を見てくる。スレヴと教えて貰ったその少女も俺から数歩後ずさる。


「え…あの、ごめんなさい…」


そのまま当主さんの方へ走って逃げてしまった。

ソラは苦笑いを浮かべ、頼みの綱のししょーも俺の肩をポンポンと叩き、「ドンマイ」と一言だけ言ってソラと一緒に先へ進んで行ってしまった。


草原のような庭を抜けるとリオスギガルを封印した墓石のように巨大な玄関が現れた。重々しい扉がゆっくり、ゆっくりと動いていき──


パリーン!とまるで硝子が割れるような音がして、その破片が落ちてくる。


何が何だか分からず、音の鳴るほうへ顔を向け────そこからはまるで時間が止まったような感覚に俺は襲われた────玄関の真上にある丸い出窓の所から硝子の破片をキラキラと反射させながら、1人の少年が飛び降りてくる。


背中には片手剣より少し太めの、しかし、両手剣よりは細くて短い色々とアンバランスな剣を背負い地面に着地する。どうやら彼が硝子を割ったようだ。


「───な、なにやっているんだ、このバカ息子は!」


あの怒りとは無縁そうなオンクルさんが顔をマグマのように真っ赤にしながら吼える。それはまるで縄張りを穢された獣の如くであった。


 「へ、うるせぇ!こんな家もう出て行ってやる!」


 ベーと言って舌を出し、片目の下瞼を指で下げる。その後元気よく森のほうへ走って行ってしまう。沈黙が風を吹かせる。ピリピリとくるこの静寂を耐えるので精一杯だった。


「い、いやぁーアローン君大きくなりましたね。こいつらと同い年だから、もう12歳ですか……」


どうにかその場しのぎにししょーが口を開くが、オンクルさんはもう上の空だ。もう駄目だと悟ったのか俺たちを見ながら目が語っている。


「あのーアローン君を探しに行きますか?」


と、ソラが俺たちに目で語られた言葉をそのまま口にする。先程の怒りはどこへやら。やせ細ったもやしになっていたオンクルさんの顔にパァッと花が咲く。


「いいのかい!?この年になると、あいつを追いかけるのがもう限界で……」


「まぁーかせてください。こいつらがちゃんと捕まえてくれますよ、僕達はゆっくり中でお茶にでもしましょうよ」


そう言いながら俺たちにししょーはウィンクしてくる。30代の男性からのそれを受けても需要など皆無だが、俺たちは頷いてから木剣を取り出し、彼の足跡を追った。


数分走るとアローンと言われていた白髪の少年はすぐに見つけることが出来た。木の上で座って小鳥達と一緒にいるその姿は異質な雰囲気を放っていた。


「お前たち何?父ちゃんたちと一緒にいたけど、新しい執事?」


目線の先は変わらず鳥達から離さずに俺たちを言葉で見下ろす。アル兄はやってられないと言わんばかりにため息を零している。どうやらもう彼には興味が消えてきたらしく、森を見渡している。


「僕達君の家で居候させてもらう予定なんだけど、オンクルさんから聞いてない?」


ソラがここに来た経緯をジェスチャーなど加えながら話し始める。それを少年は聞いているのがどうか分からない仕草で楽しそうに鳥と戯れている。


「あぁ、お前たちだったんだ。へぇー、あの事件から逃げてきたんだ、じゃあ絶対に強いでしょ。ちょっと手合わせをお願いしたいね!」


小鳥達が一斉に羽ばたき始める。羽根がゆらゆらと舞い落ちてくる。だか、その中に一筋の稲妻が俺の頬を掠める。


────攻撃!?


と、判断する前から俺の足は動いていた。刃折れの剣を手に体を前に動かす。体に緋色の羽衣が現れ、全身に力がみなぎる。


耳を澄ますとソラも後ろで何やら詠唱をしているらしい。彼らも厳しい環境下で戦いのやり方が身に染みてしまったのだろうか。

アローンは背中から剣を取り出すと飛び降りながら俺に降り掛かってくる。


いいだろう、受けて立つ!と思い、正面から鍔迫り合いに持っていこうとした瞬間。


ガジッ


 木剣と剣がぶつかり合う音が耳に届く。俺とアローンの間に一人白髪の少年が現れ。────アル兄だ。

彼は瞬時にそこに現れ、アローンに斬りかかったのだ。予測不能な攻撃のはずだったが、それをさも分かっていたかのように防御し、そのままゴロゴロと転がって受け身をとった。


「容赦ないなぁーアル兄は……」


 思ったことをそのまま口にしたが、こっちを向くだけだった。

 瞳は4分割にされていて、その顔は俺を見ているが目は映っていなかった。これが彼のギフト、俺でいう狂者の羽衣だ。その名も『刹那の瞳』。視界に入るところならどこにでも瞬間的に移動することができるらしい。

彼はつまらなそうにため息をつくと、珍しく俺を少し苛立ちのこもった目で見てくる。


「戦いに綺麗もかっこいいもない、勝てばいいだけの話だ。真っ当な真剣勝負だの考えているうちはいくら頑張っても強くなどなれるものか!」


口の中に砂でも入ったのか、アローンがペッペッと渋い顔をしながら立ち上がる。彼が真っ先に見たのは俺だった。その目は憎悪や戦いへの恐怖ではなく、ただひたすらに強さへの好奇心で満ち溢れていた。


────こいつどこか俺と似ている……


ゾクッと背筋が凍るような感覚に陥り、俺はそう感じた。戦うのは少し怖いと思うが、それ以上に駆け引きや単純な自分の強さを試せるというのがたまらく好きだ、というその感覚。

アローンが落ちていた手に丁度合うサイズの石を握りしめ、聞きなれた詠唱を始める。


「ファックル・アロー、ショット!」


詠唱は同じだ、しかしその矢がいつもと違った。 通常のファックル・アローは炎の矢が飛ぶ速さと命中力を重視した技だ。だが、アローンが放ったその技は矢の先端に握っていた石が装填され、矢の重さが何倍にもなっている。しかも、速さはあまり変わっていない。もしあれをまともに喰らってしまったら火傷だけでは済まないだろう。   


「フレジュナァー!」


背中のほうからソラが大声で属性術を放つ。

目の前にレンガが楕円状にたくさんはめ込まれているような盾が現れる。


「行って、ヒロ!」


矢と盾が衝突した瞬間、石は音を立てて弾け飛び、その破片が飛び散りながら壁も消え去り視界が晴れる。

再びアローンと目が合う。


────かかってこいよ。


アローンの目はそう語り、口元は笑っていた。


「お前はあの襲撃から生き残ったやつらがどれほど強いかと言っていたな、アローン」


俺のこの気持ちが移ったのか、剣に属性力と刃が混ざり燃え上がる。


「だがな、あいつは俺よりも強かったぞ!」


少女の笑顔が心に一輪の花として咲く。


みるみるうちに刃折れの剣の刃が伸びていく。否、伸びているのは刃ではない。属性力で編まれた炎の刃が伸びているのだ。そうこれが属性剣技のもう1つの能力だ。だが、今からするのはそのさらに先、1度も成功したことがないと言うよりも、やったことも無い大技。両手で柄を握り集中する。


────イメージするんだ、己の剣を……


 ふと、脳裏に漆黒の剣が一振り浮かぶ。両刃で平均より少し太めか。それを俺が握りしめた瞬間、剣から悪魔が俺に憑依する。


目を開けると、両手に漆黒のゴツゴツとした籠手が、足はブーツのような靴を履いていた。


「自らの起源と憑依したのか……!」


ここの空間にいた誰かがそう言葉を零した。


「────アル兄悪い、やっぱり俺は真剣勝負が向いているらしい」


どこかでため息が聞こえた気がした。真紅に染まった剣を俺は構え、アローンもあのアンバランスな剣を構える。

アローンは一瞬驚いた表情をしたが、それでも直ぐにまた楽しそうに力強く笑っていた。俺も返すように八重歯を見せて笑う。

 審判などいない。だが、俺たちは鏡のように地面の土を飛ばした。



アローンは個人的に上位に入るぐらい大好きなキャラクターです。

書いていてとても楽しかった……

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