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プロローグ Ⅱ

こんにちは!!

最近寒いですね〜僕は近頃朝起きたらファンヒーターを付けて、部屋が暖まるまで布団から出られない状況が続いていますw

皆さんも風邪には気をつけてください。


それではどうぞ!!

視界は薄暗く、10メートル先は何も見えない。地面は海のような雲のようなモヤがあり、触っても何も感触がなく、液体なのか気体なのかも分からない。

地面の奇妙なものの正体を調べる為に俺はしゃがんで目線を下げようとした。


しかし、その最中に暗闇から俺を変な名前で呼ぶ声がした。聞いたことのない名前。なのに直ぐに俺だと感じた。


────テイマー


薄暗いモヤが晴れたのか、そのモヤから生まれたのかは定かでは無い。しかしそれはそこにいた、いや浮いていた。シャボン玉の様な球体。口はないのに俺を老若男女の全てが混ざったような声で呼ぶ。


────火のテイマーになる男よ……


「え、俺がっ!?ちょっと待て、何の話?」

俺はいきなり始まった会話に目を白黒させ、疑問を投げかけてもその球体は見ての通り耳が無いのか、話を続ける。


────他の属性のテイマーを殺すとその属性の力が手に入る。要は強いものが勝ち、弱いものは死ぬだけ。ただそれだけの話だ。


「なんで、そんなことするんだよ?」


────私のために、だ。これは全て私によって行われるゲームの様なもの


どうやら耳はあったようだ。い、いや、そんなことより……


「────私……?」


────然り。この属性神『イグルガルに』よって……


瞬間。その球体から、赤・青・紫・茶・緑・白・黄・黒の8色の生々しい腕が色の数だけ出てきて俺を触ろうと迫って来る。それらを見た時俺の心臓が恐怖の腕に鷲掴みされるような錯覚を覚え、焦点が狂い、視線が歪む。

逃げようと足に力を入れたが、恐怖のあまり、まるで氷で固まったかのように足が動かなくなった。しかしそれらはそんなことお構い無しに近づいてくる。指先が俺の肩に触れるとき、





「ヒロー起きてー」


俺は肩を叩かれた拍子に目をカッと見開くと、今日も燦々と輝く日光が俺の網膜を刺激し、朝が来たことを強制的に教えてくれた。チカチカする目を必死に凝らすと、目の前にメガネの良く似合う黒髪の少年が面倒くさそうな目で俺を見ていた。


「ふぁ〜……ソラ、おはよ」


俺は欠伸を噛み殺しながら、ソラに挨拶をした。

黒髪に黒ぶちメガネ。レンズの奥は深緑の瞳。真面目で大人しい、という言葉を具現化したかのような姿。俺達は今年の春に十二歳になったばかりで、物心ついた頃からずっと一緒の旧知の仲だ。


「おはようじゃないよヒロ。何時だと思ってるの?もう6時だよ。今日の朝ごはんは僕とアルで用意したから、ヒロはその……セアを起こしてきてもらっていい?」


────セアかー


俺は気が進まないままセアを起こすべく、二段ベッドのハシゴを滑るように降りてから重い足取りで女子部屋へ向かう。


トントントン


女子部屋をノックしたが、返事はない。


「セア〜セアさ〜んご飯ですよ〜」


部屋の前で呼んでも結果は同じ。仕方がないのでそのまま入り、手札からカードを抜くような気持ちでベッドへ向かう。


すー、すーと聴きたくない寝息が聞こえ、結果が分かる。

でも、無いはずの光を胸に抱いて覗く。そこには気持ちよさそうに夢の世界へと旅立っている、一人の少女が丸くなっていた。

長い髪を羽のように広げ、天使の様な姿は誰が見ても足を止めるだろう。


でも、この少年だけは違った。


────ま、まずい……ババ引いちまった……


光が希望ではなく、絶望への道しるべなのだと俺は今更になって思う。


「お、おいセア起きろ!!」


俺は必死になって肩を揺すると、操り人形のようにムクっと起き上がり膝立ちのまま歩きはじめた。




────壁の方へ


「おい!!そっちじゃ…」


ゴンッ


言い終わるより先に頭から盛大に壁とぶつかる。音を聞く限りものすごく痛そうだが、何も反応がなく、そのまま石のように動かなくなった。心配になり様子を見ると、またしても夢の世界へ旅立っている。


それからセアを覚醒させるのに10分以上もかかり、金を溶かしたように透き通った金髪をくしゃくゃ掻き混ぜてみたら目が覚めたらしく、寝ぼけた顔で、俺と自分の服装を何度も交互に見ているうちに顔がトマトのように真っ赤になった。

片方の肩をはみ出したり、少し脱げかけて黄緑色の布切れがパジャマとパジャマの間から顔を出したりしている。そのような服の乱れを直してから一息つくと、俺のほっぺたを引っぱりながら叫んだ。


「何でこうなる前に起こしてくれなかったのです!!」


────理不尽だろコレ!!


布切れと同じ黄緑色の瞳から涙が溢れそうになっていたので、俺はこのやるせない気持ちが不完全燃焼のまま彼女に謝った。

彼女は俺よりも二歳年下で、なんと今日が誕生日。10歳になる。

しっかり者で、いい子だし、何故か口癖が敬語なのだが、それを聞くと「生れつきです」としか言ってくれない。また朝が本当に弱く大抵は寝坊するし、起こしに行ってもあまりの寝相の悪さに目も当てられない。しかし、そういう所が何故か世話を焼きたくなり、俺は嫌いではない。


セアからの説教が終わり、二人は一緒に階段を降りてからリビングへ向う。するとふと、奇妙な感覚に襲われた。


────何故か物凄い視線を感じる……


俺は嫌な予感をヒシヒシと感じながらも、その方向に顔を向ける。すると俺との双子の兄、アルスロットからの溜め息とともに蒼眼の冷えきった目線に、苦笑いで応じてから、円卓につき料理を食べはじめた。


ここは火の種族と輝の種族が合併してできた国『グラン帝国』の辺境の村『ゼティー村』。その村外れの帝国森林の中にポツンと一つ建っているのが孤児院謙道場の『ドロス道場院』だ。


このドロス道場院は木造三階建てで、一階は玄関とキッチンとリビングそしてトイレだけで、二階は子ども用の男子部屋と女子部屋が両方ともだいたい十畳ぐらいの広さ。三階は丸々ここの院長謙師範夫妻の部屋て、外へ出ると庭に季節ごとの花がポツンポツンと咲き乱れ、今季の庭は一面向日葵色だ。そして渡り廊下を進むと、こじんまりとした道場がある。


生徒は男子四人女子二人計6人。

職員は院長謙師範のカンダルとその奥さんのマイリの二人だけ。たまにカンダルの昔のよしみのダオスさんも遊びに来てくれるけど、とても物静かな人なので活発な性格のヒロとはあまり馬が合わない。

ちなみにここの院長のカンダルは優しく明るい人だが、背中に剣のタトゥーが掘ってあり、孤児院のそれにはあまり相応しくないように感じられてしまう。



ご飯を食べ終わったら食器を洗い、道場院の掃除をして稽古を始めた。

道場師範のカンダルは元帝国軍人で、それなりの地位を築いていたらしいが、幼馴染の友だちを戦争でなくしてから、この道場を開いたらしい。


ここの道場は主に剣を重点的に教えてくれて、その他にも、護身用の武術はそれなりに教えてもらえる。

例えば俺はヒロとソラは剣だけだが、セアは剣の腕はろくすっぽダメで、その代わりに属性弓という希少な弓を扱っている。

アルスロットはすべて完璧にこなせるが特に剣と弓は軍に入れるレベルだとカンダルは賞賛していた。しかし、双子の俺からしてみれば、いつか超えてやる。というライバル精神は少なからずあり、軽くアルスロットのことを嫉妬しているが、されている方はあまり気にしていない、と思う。


しかし、ここにいる子どもたちはみんな両親を12年前に終わった第3次属性間戦争という戦争に巻き込まれ、亡くしている。

もちろんヒロとアルスロットに関してもそうなのだが、その両親はカンダルの幼なじみだそうで、子どもたちを軍に出す気は毛頭ないらしい。


ちなみに属性術とは大昔属性神『イグルガル』によって与えられた、人が生まれながらに持っている能力で、『火・水・雷・木・土・風・輝・闇』の八種類ある。それはそれ相応の力を発揮する。

火なら全てを燃やし尽くす程の、属性最大の火力を

氷ならものを流し凍らせる貫通力を。

雷ならものを見るものに残像を観せるほどの速さを。

木なら万人を動けなくさせるほどの拘束力を。

土なら鉄壁の如き防御力と耐久力を。

風なら回りの風を集めることができ、最大の属性量を。

輝なら全てを癒し、助けることができる治癒力を。

闇なら全てを無力化することができ、属性最大の吸収力を


などと、みんな何かしら誇るものを持っている。そして、その力を生かすために使われるのがこの属性術という訳だ。

その応用が属性術を剣や槍などに流し、属性の力を武器に伝える『属性剣技』と言われるものだ。これは属性のコントロールが難しいだけで、コツを掴めば簡単に使え、そして有効に使える。


また、属性一つ一つに『テイマー』という属性を束ねる長がいる。

それらは体のどこかにそれを象徴する刺青が入っていて、それがテイマーの印となる。

テイマーは普通の人の属性力の十倍ぐらいの量を使うことが出来、また『絆詛(ばんそ)』と呼ばれるその属性を強制的に従わせることの出来る権利がある。テイマーの部下の人たちは大抵これに恐れてテイマーの下についている。


修行が終わり、そこを掃除すると木の板だった床が、黒曜石のようにピカピカになるまで磨かれた。その上を歩くと夏なのに足がヒンヤリと心地よい冷たさが俺の足を刺激し、そのまま倒れたい衝動に負けそうになる。

その後は俺とセアで昼食を作ったが、修行でエネルギーを欲している子どもたちの餌食にされるのは目に見えていた。


昼食後は算数、属性学、地歴公民などの勉強をし、終わるころには夕食の時間になろうとしていた。夕食は毎晩料理上手のマイリさんが作ってくれるので、俺の一番の楽しみであるのと同時に、一番の戦場でもある。

みんなが他の人たちのおかずを奪ってきたり、セアのように食べられないものをこっそり俺の皿に入れてきたりと、目を光らせておかないとまともに食事もできない。

夜の戦いから生還した俺達は、その後、セアに誕生日プレゼントを渡した。


彼女の瞳と同じ黄緑色の髪留め用のリボン。大人になっても使えるように、少し長めに切ってもらった。


これは道場院のみんなの少ない小遣いで、出し合って村の布屋からリボンを買いそれを森の葉で染色した、世界で一つだけのリボンだ。作った当初は、木の青臭い匂いが取れなくて心配だったけど、今も元気よくその匂いを出しまくっている。

セアは一瞬、嫌そうな顔をしたが、苦笑いしながらリボンをむすんでくれた。

目にはキラキラ輝く水晶が肌を滴り、肩は小刻み震わせていた。俺は何故かその姿に惹かれ、眼球が固まってしまったかのように、視線をずらすことが出来ない。

でも、俺らの方を向いたセアが、ありがとうございます。と頭を下げて感謝してくれた時、俺は何故か顔が熱くなって、視線を逸らすのと同時に、ぶっきらぼうに応える。


「それ意外と似合って良かったな。まぁ、青臭いけど」


「もう、もっと優しく褒められないんですか、ヒロは」


俺たちは同時にクスリと笑った。


その後ししょーが、出かける。と言って、玄関へ向かう。みんなもそれを送るためにまるでペンギンの様に後をついて歩く。

ししょーは月に三、四回出かけることがあり、大体一泊二日や、二泊三日など泊まり込みが多い。前に聞いたけど、教えてはくれなかった。


俺らは、それをいつも通りに見送った。







────その選択が俺の一生の後悔の始まりだとも知らずに……





はい。

区切りがつかなくなってきたんで、ここで辞めちゃいましたw

まだ自分文章力が全くないんで、説明文ぽくなっちゃいました。

分かりづらかった人のために、ここでのキャラクターを簡単にまとめさせてもらいます。


ヒロ

→この話の主人公。


アルスロット

→ヒロの双子の兄。


ソラ

→上の二人と同い年で幼馴染みの少年。


セア

→上の三人より二歳年下で同じく幼馴染みの少女。


カンダル

→このドロス道場院の院長兼師範。


マイリ

→カンダルの奥さん。


簡単にまとめるとこんな感じです。

引き続き『決して語られぬ緋色の鳥』を宜しくお願いします!!

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