プロローグ Ⅰ
初めまして、なるがうすです。
正直、前書きってどう書けばいいのかわからないので、このまま始めさせて貰いますw
それではどうぞ!!
辺りを見渡せば、純白の空間にヒロと緋色の英雄のみ。全てが終わり、やがて自分たちも彼らと同じように消滅することを悟った。
ヒロは英雄との最期の別れを惜しむあまり激しく慟哭し、願った。別れたくないと、終わりたくないと。
思い返せば実感する。楽しい事ばかりではなかったし、それ以上に悲しいこと、辛いことの方が多かったかもしれない。それでも受け入れなくてはならない。自分で決めたこの結末を。
消滅が開始され、体が光の結晶となる。それは吹雪のように舞散ってやがて文字通り跡形もなく消える。その現象はまず英雄に伝染していった。
爪、脚、目。と次々に見慣れた部位が消滅していく。
────これ以上は見てられない。
それでも、頭では矛盾しているのは分かっているのに、目を離すことが出来なかった。いや、本当はしたくなかった。それをしてしまったら、自分がしてきたこと全てにも目を背けるような気がしたから……
ヒロは両手を床につき、数多な感情を込めて謝罪と罵声を浴びせる。これが自分の気持ちだと言わんばかりに、喉が枯れるほど叫んだ。しかし、それ以上の感謝を嗚咽を混ぜながら一言だけ、心の欠片をかき集めて、最後の一言を吐き出した。
「────あ…ありがとう……」
もっとこの気持ちをぶちまけたい。でも、上手く言葉が出てこない。心が先回りして空回りする。頭と口が追いついてきてくれない。それらをもどかしく思っても、終わりは刻々と迫ってくる。
その時英雄がただ一言だけ、お別れだ。とだけ言って光の粒に変わりそして消滅した。
ヒロは彼が消えたその光に触れようと手を伸ばす。掌には光の結晶が今度はお前だ、と嘲笑うように光っていた。それを何故か落ち着きながら眺め、無気力に笑う。
「これで良かったんだよな」
目を閉じると、英雄の声が脳裏に蘇る。
────ああ。これが俺達の夢だ。
「お前は俺と一緒にいれて楽しかったか?」
────まぁ、退屈ではなかったかな。
もう、肩ぐらいまで光に変わっている。でも不思議と痛みはなかった。まるで、鏡の自分を見ているような気分だ。
「────俺は……」
何か言わなきゃ、もっとこいつと話していたい。気持ちを共有していたい。楽しかったこと。辛かったこと。憎かったこと。何だってていい……やり残したことでもいい。
一人は辛い、だったらもう────終わらせていいのかな?
ゆっくり、ゆっくりと視界も光に変わっていく。この世界においての俺はここで消滅する。
俺、つまりヒロという名のこの体は死ぬわけだ。
────体が消滅しても、魂は消えない
昔読んだ本にこう書いてあった。体はただの入れ物の。その中にある魂こそ人間としての証だと。
「誰か俺のこと覚えててくれているかなぁー」
疲れた口元がニッと笑う。それを最後にその男はこの空間を道連れにして消えた。
────彼の魂はどこへと消えたのか知るものは、今はまだ誰も知らない。
……さて
────この話をどう話そうかな
ある日のある晩、一人の男が分厚い本の最後の項ををめくる。部屋には質素なベッド1つと、狭く薄暗い部屋を灯すランタン、所々にある木製の装飾ぐらいで、これと言って目立った家具などはあまりない。
この男も無地のタンクトップとハーフパンツで、身軽な服装をしている。ただ肩からむきだしている筋肉は丸太のように太く、引き締まっている。
男は本を枕元に置き、ため息とともに頭を抱える。その原因は男の気持ちなど無視して軽快なステップを踏んで男の部屋に向かって来る。
「よし!」腹を決めた時とほぼ同時に、部屋の扉が壊れんばかりの乱暴さと一緒に、1人の少年と20代後半の女性が招き入れる。
「おやすみーおとうさーん!!」
絶対におやすみのテンションじゃない。心の底からそう感じるも、子どもというものは何か問題を起こさないと気が済まないのか、そのまま男の方へダイブしてくる。
それを丈夫な体でガッチリとキャッチしてから、コツンと頭に拳骨を落とす。
「ったく、夜にそんな大声出すなよ」
声を荒げず、そっと囁くように注意をすると、いたずらっぽく、ニッと笑い、父親譲りの八重歯が顔を出す。
「ごめんなさーい」
「絶対反省してないだろ。全くもう」
男はそっと頭を撫でると、くすぐったかったのか手を振り払い、キャハハと可愛く笑う。
すると、微笑みながらその光景を眺めていた金髪の女性がベッドに腰掛け、それと同時に優しく包容力のある声で少年を注意する。
「ほら、もう夜なんだから静かになさい」
3人の親子は川の字に眠る。彼女は器用に少年の唇に自分の人差し指をそっと添える。すると、すぐに静かになった。
心の底から湧き出てくる愛おしさを、ぐっと堪えて後ろから優しく頭を再び撫でてやる。
すると、大人しかった頭が再度ブンブン左右に振る。
「あ、あぁ。悪い」
こちらを振り向くと、ぷぅーっと、風船の様に頬を膨らませながら、苦言とともに男が恐れていたセリフを口にする。
「おとーはん、今日はどんなおはなし、してくれるの?」
そう。先程の男が頭を抱えていた理由がこれだ。この家では、毎晩寝る前に息子にお話を聞かせるのが日課になっている。そして最近では男の一番苦手な時間でもある。昔は有名な昔話やおとぎ話などを話していたが、時間とは反比例に話す話題が消えてきた。なので、奥の手として、今まで誰にも読ませたことのない、この本を選んだ。先程は内容を確認しながら読んでいた。これならいっぱい話せるだろうと自分を信じて。
キラキラ目を輝かせながら待つ息子の頭を撫でた後、本の1ページ目をめくる。
────昔大きな戦争があった。国と国との大きな争い。
まだ昔の人間が神秘の力『属性力』が使えていた時代。その属性力を束ねる者即ち『テイマー』達の殺し合い。
戦争は30年という長きに渡った。しかしその終盤、1人のテイマーが他属性の者の手にかかった。しかし彼女はその力を双子の息子、ヒロとアルスロットに預けこの世を去った。2人は彼女の幼なじみが経営する孤児院に預けられ、健やかに育つ。
────そして施設に入って12年という月日があっという間に流れていた。施設はいつも笑いや幸せに満ち溢れていた。しかしそんな平凡な日常の歯車は気付かぬ欠け始めていた。
どうでしたか?
プロローグなんで、正直意味わかんないと思いますw
これから面白くなる筈なんで、応援よろしくお願いします!
「続き読んでみたいけど、時間が無い!」という方のために、第1章の総集編を作成しました。こちらの方が少し読みやすくなっております。
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