決意
俺と妹は孤児院でもあるこの屋敷の最上階にある図書館に来ていた。
ここは、俺らの一族ヘルメス家の者しか入ることの出来ない場所で、使われることがあまり無いのでこのような秘密の話をするのにはもってこいなのだ。
そして本題に入った。
「俺は、このヘルメス家を潰そうと考えている。」
妹がハッと息を呑むのが聞こえる。
「もしかして、お父さんとお母さんも殺しちゃうの?」
「いや、違う。言葉が少し悪かったな。俺が言いたいのは今の地位や力に慢心しているような者や、自分が分家だからって他の人を差別し見下すようなやつらを潰したい。」
俺は続ける。
「地位や力に慢心しているからもうひとつの魔法士一族に抜かれた癖に、それは相手が悪いと言って目を背ける。まるで、子供みたいじゃないか。」
ここで、妹が反論してきた。
「でも、悪いとしても人を殺すのは良くないんじゃないの?話してわかりあえばそれで十分じゃないの?」
「そんなんじゃこの現状を変えることは出来ない。何かを変えるためにはそれ相応の力がいるんだ。せめて上級魔法は使えるようにならないと。そうすれば、すべてを変えられる。安心して暮らせるんだ。」
これは俺のエゴだ。そんなことはわかっている。でも、誰かがやらないといけないんだ。話し合いでいじめが無くならないように、話し合いで人が変わることはない。そういう生き物なんだ。
「わかんないよ......お兄ちゃんが言ってることがわかんないよ!!」
妹は目尻に涙を貯めて言った。
「なんでそれをお兄ちゃんがやらなきゃいけないの!?私は普通に暮らして、遊んで、魔法について学びたい。それじゃあ駄目なの!?ねぇ......答えてよ......」
そんな妹の様子に少し罪悪感を覚えたが、この決意を変えることはできない。妹もそれが表情でわかったのか
「もう勝手にすれば良いじゃない!お兄ちゃんなんてもう知らない!!」
と言って出ていってしまった。
(すまない......俺はそれを成し遂げなければいけないんだ#%$#&%の為に。
ってあれ?俺は何のためにこんなことをしているんだ?)