昨日の続き
『 それで、それで? 』
『 なんにもないよ。 食事をして、終わりだよ。 』
『 へぇ、残念。 』
『 つまらん話で、すまん。 』
『 あ、でも 彼女さんがいるなら、浮気できないですよね、やっぱり。 』
『 (浮気・・・) まぁ、・・・うん。 』
わたしは 昨日の変な女との一件を、
会社の近くの定食屋で 昼飯を食べながら
同僚である川田くんに かいつまんで話をした。
『 そのあと、彼女さんとは? 』
『 ん? まぁ、それなんだけど・・・やっぱ見間違えだったようだ。 』
『 サプライズじゃなかったんですね。 じゃあ、淋しい夜でしたね。
やっぱ・・・。 』
『 ふっ(笑) いや、おれには度胸が無いから、隠れてAV借りる程度だよ。 』
『 AVって(笑)、せめて配信にしましょうよ。 』
『 ははは。 』
同僚とのバカ話は、ほんと楽しい。
まるで なにも考えなくていいように、気ままで あとに残らない。
『 今度、一緒に息抜きどうですか? 』
『 どうせ、年上ばっかりの店なんだろ? 』
『 嫌いですか? 』
『 川田くん。 絶対、中学生くらいの時に 年上女性となんかあっただろ。 』
『 (笑) 自分こそ、どうなんですか? 』
『 おれは、さ・・・・。 』
その時の自分は、まだ・・・
ただ昨日の続きを
今日もしているだけだったと思う。
あるきっかけを、
あるサインを、
それほど 重要なモノだと感じず、
ただ一日を消費していくだけだった。
『 おれは・・・、何です? やっぱタイプは年下ですか? 』
川田くんの 何でもない会話の催促があった、その時。
『 !!!!! 』
わたしは、息をのんだ。
わたしは、とんでもないモノに
付きまとわれてしまったのでは、ないのか?
わたしの目が正常であれば・・・いま、
川田くんの背後に、
首に傷痕がある 昨夜の女性が立っている。
その女性の目元は、
少し優しくもみえるが、
不気味に わたしを見つめている。
( 幽霊? か・・・ )
いや、違う。
そんな次元のモノでは、ない・・・気がする。
もっと、なにか・・・特別な・・・
【 また、会えたね。 】
わたしの心に直接 届くような
清く凛とした声が 耳に届いた気がした。
~つづく。