奴等の来訪
___西暦2185年
奴等が地球へやって来た
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「一緒に帰ろヒナタ」
なんだ
「やる事も丁度終わったしいいよ、一緒に帰ろう」
僕と、彼女は誰だ
「今日本屋に寄ってもいい?
セン乙の新刊が出たから!」
彼女の事はわからないがとても大切な様な
「じゃあまた読み終わったら貸して」
これは僕の記憶?
「えー?またー?たまには自分で買いなよ〜」
だめだわからない
「また今度買うことにする」
もう寝てしまおう
「今度がいつくることやら」
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___2185.5.14
ピピピピピ
青春真っ只の高校生にしては地味な部屋にけたたましい目覚まし時計の音が鳴り響く
カチャ
17歳高校2年生 男 アレクサンダー・ヒナタ
身長167cm 体重60kg 髪色金、黒 国籍日本 戦闘術ブラジリアン柔術
青年はボサボサの頭を掻き回しながら身体を起こした
鋭い目つきと
「あぁ朝か…」
この低い声のせいであまり友人は多い方ではない
2038年、移民に対しての規制緩和が行われた日本にはヒナタの様なハーフやクォーターの混血種と言われる種が必然的に増えていった
そして約150年も経つと純血種と言われる両親、祖父母が完全に日本人というのは少なくなっていき今その割合は全人口の4%という僅かなものになるという話をこの前テレビできいた
ただ純血種と混血種で名前こそ別れているがそれに対しての差別などは特にない
階段を降りると味噌汁の匂いがしてきた
「おはよう」
リビングに入り台所に立つ母親に挨拶をする
「おはよう、今日は自分で起きれたんだね」
38歳主婦兼雑誌の編集長 女 アレクサンダー・陽子 身長154cm 体重ー 髪色黒 本国籍日本 戦闘術なし
そう笑うとリビングの椅子に座るヒナタの前に先ほどの匂いの正体である味噌汁や白飯、魚の干物などを置いて行く
THE日本食だ
それを口に運ぶヒナタを見ながら洗い物を始める
母親は主婦をしながら婦人誌の編集長として働いているのだからかなり大変だと思う
ただヒナタの父親であり陽子の夫でもあるアレクサンダー・テイシェイラは民間軍事会社で働いていたが4年前に太平洋にある島へ行ってから連絡が取れなくなっている
母親はまだどこかで生きていると言い切っているが僕はその島で亡くなってしまったのだと思う
他人事の様な言い方だが居なくなる前も全然家に帰っていなかったのでハッキリ言うと父親との思い出がほとんどないのだ
その事もあってか僕は優先順位を間違えない様にしようと常に思って生きている
朝ごはんを食べ終わり自室に帰り学校へ行く準備を整える
ピンポーン
家のチャイムの音が聞こえ窓の外を見てみると隣に住んでいる幼馴染みの女の子が立っていた
17歳学生 女 東雲遥 身長152cm 体重ー 髪色黒 本国籍日本 戦闘術弓道
こっちに気が付き何か言っているが窓が隔たりとなりよく聞こえないので用意をすませ外に出ると
「おそいー」
そう顔を膨らませている遥の姿があった
「ごめんごめん」
「別にいいけどねー」
遥は謝ると結構なんでも許してくれる
なんでも座右の銘が謝ったら許すというよくわからないものらしい
学校に向かって歩き始めると遥が
「そういえば今地球に隕石が向かって来てるんだってよ」
「あぁそういえば朝のニュースでやってるの見たわ、でも衝突しても地球全体に少しの揺れをもたらすだけみたいな事を専門家の人が言ってたよ」
「じゃあ心配する必要ないじゃん!」
大袈裟に驚く遥を見るとやはりドキドキしてしまう
ずっと一緒にいていつの間にか好きになっていた
いつからこういう感情を持っていたかもわからないが本当に気づいたらという感じである
今日は学校でも行事は何もなくいつも通りの授業であるその授業が終わると家に帰りまた今日と同じ行動をする。いつも通りで何ら変わりない1日である。
学校に着くと自分の席に座り授業の準備を始める。たしか1時間目は国語である。国語は僕の得意な科目でもあり、1番好きな科目である。
そうして今日もいつも通りこなしていき1日が終わった。
「一緒に帰ろヒナタ」
「やる事も丁度終わったしいいよ、一緒に帰ろう」
「今日本屋に寄ってもいい?セン乙の新刊が出たから!」
セン乙とは戦国時代乙女コレクションという男性向けの漫画ではあるが書店で遥が見つけて購入、それからはハマっていく一方であるコミックスの事である。ちなみに僕も読者の1人である。
「じゃあまた読み終わったら貸して」
「えー?またー?たまには自分で買いなよ〜」
「また今度買うことにする」
「今度がいつくることやら」
そんな会話をして教室をあとにする。
「どこの本屋に行くの?」
僕がそう聞くと遥は
「帰り道にある西洋堂書店に行くつもりだよ?どっか他の本屋さんに行きたい?」
「いや。西洋堂でいいよ」
「じゃあ西洋堂に行ってセン乙買って読みた……」
ドーン!!!!!
!?
何かが爆発する破裂音がとてつもない爆音で僕と遥の耳を貫く
この爆音の正体が姿を現す
第一印象はデカイ身長は180cmくらいあるだろうか
次に目に入るのは歪に膨れ上がった筋肉と身体の所々から吹き出す湯気
``それ``はゆったりと動いたと思うと次の瞬間目に見えない速さで近くを歩いていた男性の首をはねた