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プロローグ
暗い闇の何処かで、金属と金属が「カチリ」と噛みあうような音がした。それが大きな悲劇の始まりとなった。
『それ』が、目覚めた時、辺りは暗闇が満ちていた。『それ』自体は光を知らず、闇だけが世界だった。『それ』は、自身の存在について何も疑問を抱かなかった。そして、自分が『何をすべき』かを知っているような気がしていた。
『それ』が目覚めてから、永き時が経ったが、『それ』には分からなかった。時を経ても、そこには闇しかなく、光のない世界では時の経過を知らせる変化を感じ取ることは出来なかったからだ。
そして遂に『それ』は光を見た。目指すものは、その先にある。
『それ』は、自らの目的を思い出したかのように思った。『それ』は光を目指した。しかし、そこに立ちふさがるモノがあった……
……俺は『虫取り屋』。アカシックレコードのバグを見つけて消す掃除屋だ。貴様を第一級のバグと判断する。これよりデバッグを開始する……